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5話 バッテリー

パァン!


「お、投球練習か。あの人はいわゆるピッチャー?」


いい音を鳴らすミットに耳を傾けると、帽子に隠れてはいるが、長めの茶髪がゆるふわになっているツリ目の女子が球を投げていた。


「投げてるのは2年生エースの南雲杏なぐもあんず)先輩だよ。左投げで2種類のスライダー2種類のフォークを持った制球力抜群のピッチャーだよ。後受けてるのが安池凪やすいけなぎ先輩」


「やっほー、そっちにいるのは誰かな?」


キャッチャーと紹介された女子から声をかけられる。


マスクを外したので、おっとりした表情と、後ろに結んだ金髪が現れた。


「はじめまして、マネージャーで仮入部中の野津友人と申します」


「へー、男の子か、面白いね。私のことは凪って呼んでいいよー」


そして握手を求められる。女子の中では警戒度の低い気さくな感じで友人もにこやかに握手をする。


「あちらの先輩にも挨拶してこないと、はじめまして」


「…………」


「もしもーし?」


「…………」


「おーい……?」


ところが全く何の反応もなく、友人は首をかしげる。


「駄目だよゆーじん君。杏先輩はマウンドでは寡黙で全然話さないんだよ」


「あーなっちゃうともう生粋ちゃんでもなかなかコミュニケーションを取れないんだ」


飛鳥と凪が説明する。


どうやらかなり癖のある性格のようである。


「駄目ですよ。そんな我がままを許しちゃ! 先輩! 杏先輩!」


「……」


反応はない。


「挨拶くらいはきちんとしないといけませんよ! それもできないんじゃ野球人以前に人間として駄目です! 俺がここにマネージャーとして入部するかは分かりませんけど、そうなったらコミュニケーションは必要ですし、詳しくありませんけど野球はチームスポーツなんですから……」


「うるさいな! 勝手にマウンドに上がってきて文句をいうんじゃねえよ! あと勝手に下の名前で呼ばないでくれ!」


それでもあきらめずに声をかけ続けていると、急に杏が反応して友人は一瞬驚いた。


「それならちゃんと言ってください! 言わなきゃ伝わりませんよ!」


「おまえには関係ないだろ!」 


「さっきまでは関係ありませんでしたけど、今関係が出ました!」


ひたすらの言い合いは最終的に友人が勝ち、会話に無視をすることは禁止にした。



「すごいね……、ゆーじん君」


「あそこまで杏ちゃんが押されてるのは始めて見た。たまに切れるとアレくらい話すけど、言い負かされるのは見たことなかったなぁ……、面白いね。本当にあの子は面白い」


【南雲杏と安池凪に出会った】

南雲杏


日比野高校2年生。打順は9番でポジションはピッチャー。左投左打。


抜群のコントロールが自慢の女子高校生屈指の好投手。


女子野球部のメンバーの中で1番思考が乙女。



安池凪


日比野高校2年生。打順は6番でポジションはキャッチャー。右投左打。


チームの頭脳として攻守に要となる名捕手。


女子野球部のメンバーの中で1番料理が上手。

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