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40話 名勝負

「無事上がってきたようで何よりよ。今年は去年と違って、きっちり勝たせてもらうわ」


「いいえ、今年のうちは強いですよ、こちらが勝ってベスト4をいただきます」


試合前のあいさつで鈴代と生粋が話す。


ついにベスト4、甲子園をかけた試合。全4試合が行われる準々決勝。どの試合も四天王が有力候補だが、その中でも予想を覆す可能性が高いと思われる屈指の好カードとして注目が高く、観客の入りも多かった。


「わわ……お客さん多いですね! 緊張します!」


そしてやはり1番緊張しているのは友人であった。


「去年と同じところまできたわね……。でもみんないい感じで緊張が解けてるわね。去年の経験が生きてるわ」


「生粋、それもあるとは思うんだけど、約一名が緊張しすぎてて、私たちが緊張できないのよ……」


「いわゆる一緒にいる人が余裕がなくなると、逆に自分は冷静になれるというものですね。しかし緊張しないことは合理的ですから」


「赤が丘高校も去年より強くなってるとは思うけど、私たちは負けないわ! 全力で行きましょう!」


生粋の激励に全員が首を縦に振った。





「ストライクバッターアウト!」


「ストライクバッターアウト!」


今回の日比野高校の攻撃は後攻。そのため先に守備につき、杏がマウンドに立つ。今日も調子がよく、いきなり連続三振スタートであった。


「3番ピッチャー武間さん」


そして打席に鈴代が立つ。


(去年より球のキレがいいわ……)


ネクストで見ていた鈴代も感じているのか、不敵な笑みを浮かべる。


「ストライクバッターアウト!」


そして三振を取る。スタートは絶好調だった。


「ストライクバッターアウト!」


だが鈴代も絶好調。三振を粘り強い1、2番である椿、冬香からあっさり奪う。


「どうかしら、鈴代さんの調子は?」


生粋が2人に尋ねる。


「コントロールでは杏が上だと思うが、ストレートのキレがすごい。去年より変化球のキレもすごい」


「ええ、持ち球は杏さんと同じですが、タイプは異なります」


カキーン!


「ナイスバッティング!」


しかしそのキレのいい変化球をうまくとらえて京里がセンター返しをする。


「さすがね。あの子は上手だわ」


現在打率ではチームトップ。1年生ながらクリーンナップを打つ天才打者は伊達ではない。


そして生粋が打席に立つ。


カキーン! バツン!


「スリーアウト、チェンジ」


あたりは悪くなかったが、サードライナーになる。


「うまく打たされたわ。気を付けていかないと去年と同じになる……」


生粋が笑みを浮かべながらも、苦い顔をする。


「生粋先輩、ちょっと調子悪いんですかね?」


メンバーが守備についた後、友人がベンチにいた英子に尋ねる。


「うーん、正直に言っちゃうと、生粋は去年鈴代さんから無安打だからね。相性はよくないの。誰も生粋を責める人なんていないけど、去年生粋は全打席ランナーがいる場面で回ってきたから仮にだけど、1回でもヒットを打ってれば勝てたかもしれないわね。その意識もあると思うけど、練習試合含めても生粋は武間さんからヒットを打ったことはないの。これは単純に相性じゃないかしら」


英子の話を聞いて友人は納得した。



試合は進み、5回裏。この回も無得点の雰囲気があった。


「厳しい展開ですね」


得点上は0-0だが、ヒット数は日比野高校が京里の打った2本だけ。良くも悪くも生粋が打てないことが、ほかのメンバーにも伝染してしまっている。


それに対して赤が丘高校は2回以降はとらえられ始めて8安打。フォアボールがなく、うまく打たせて併殺打や野手正面をつく当たり、盗塁死など運や相手の拙攻にも助けられなんとか無失点だった。


「去年はチャンスを生かされて4失点してたから、これもみんなの成長だね」


凪が激励する。


ガキーン!


「あ、これは入ったわね。さすが」


打席に立っていたのは弥生。追い込まれながらも、ストレートを完璧にとらえて、文句なしのホームランを打った。


「去年の2点はランナーがいた状態で弥生が打ったホームランなの。結果としては3安打で2点取れたのはこのおかげ。そして今日は先制できた」


均衡が崩れて1-0となった。


「この回を抑えれば勝ちね」


準々決勝からは試合は9回行われる。


そのまま試合は最終回9回表。ホームランの1点を守り抜いて迎えたが、ピンチになっていた。


ツーアウトランナー満塁。打席にはキャプテン鈴代。


「はぁ……はぁ……」


均衡した試合でうかつにメンバーを動かせず杏がこの回もマウンドに上がっていた。


ヒット3本をしぶとくつながれ、大ピンチになっていた。


(大丈夫、追い込んでる)


しかしカウントはツーストライクワンボール。ピッチャー有利のカウントである。


ビュン!


杏が決め球に選んだのはぎりぎりコーナーをつく見逃せばストライクの可能性もある絶妙なコントロールである。


カキン!


(よし!)


それをさすが鈴代は当てて外野まで飛ばすものの、レフトへの定位置のフライになった。


杏は振り返りレフトに視線を送り、ほかのメンバーもレフトに注目した。











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