3話 幼馴染
「わー」
友人幼馴染である丹羽飛鳥。
彼女は良くも悪くも大体のことはこなせる。
そのため、彼女は何をやるかよりも誰とやるかを意識して行動することが多かった。
小学生の頃は当時のトップクラスの先輩につきそって、生徒会、中学では歌声に惚れて合唱部。そして今回は野球部と言うわけだ。
だが、これまでの2つと違って、さすがに野球は一朝一夕でできるというわけでない。
野球の練習には、地味なランニングや筋力トレーニングも入っているのだ。
俺と同じく体育会系ではない彼女はなかなかヘロヘロになっていた。
「大丈夫か? 飛鳥」
飛鳥に手を出してやりたい気持ちもなくはないが、そもそも俺は体育会系じゃないし、割と覚えることが多くて手がかかる。
ボール磨き、ほつれているボールの縫い直し、バット磨き、ドリンク作成、洗濯、日誌などやることが多い。
そもそも、この女子野球部にはマネージャーの先輩がいないので仕事自体が整理されていないのもある。
「うーん、すごいね。男の子とは思えない」
「え? そうですかね?」
「器用ねー、何か家でやってたの?」
「はい、家ではこれが俺の仕事でしたし」
「すごいなー、私達教えること無いじゃん。むしろ教えてもらわなきゃ」
とても褒められて友人は困惑する。友人としては比較的いつもやっていることなので、むずがゆいようだ。
「ゆ、ゆーじん君。ドリンクを頂戴……」
「飛鳥、お疲れさん」
【部活へのやりがいが上がった】
丹羽飛鳥
日比野高校1年生。女子野球部の新入部員で、まだ適正打順、ポジションはなし。右投右打。
真面目でものおじしない頑張り屋。野球の経験はないが、前向きな姿勢は好感を持たれている。
女子野球部のメンバーの中で1番寝起きが悪い。