30話 実は気にしてる
ドン!
「いったーい!」
「す、すいません」
友人が廊下を歩いていると突然飛び出してきた女子とぶつかる。
だが、その衝撃が小さかったので友人は一歩さkがっただけだったが、相手はしりもちをついてしまう。
「大丈夫ですか。花香先輩」
その友人がぶつかった相手は花香だった。
高校1年生としては平均よりも小さい飛鳥以上に小柄で、相変わらず1つ年上には友人には見えない。
「もう! 前を見て歩けよ!」
「いやいや、俺歩いてたんですよ。明らかに花香先輩は走ってましたよね。だめですよ、廊下を走っちゃ」
「……うるさーい!。私が先輩で私が女子なんだから、ぶつかったらそっちが悪いんだ! 悪いんだー!」
そう言われては友人も言い返しづらい。先輩後輩の関係についてはやや理不尽だが、確かに見た感じでは花香のほうが転んでいるし、男女がぶつかれば確かに男性側が悪いといえばそうとも言える。
「そうですね。でも花香先輩も気を付けてください」
「なんだ! 私に説教する気か! 子供っぽいって。ぶつかったんだから、こっちが謝れって!」
「いえ、別にぶつかったのはいいです。でもそれで花香先輩がけがをしたら大変です。大丈夫です?」
そういって友人は手を差し出す。
「……うん、けがはしてない」
「良かったです。先輩はちょっとしたケガでもうちのチームには痛手です。だから、気を付けてください」
「……うん」
「はい、それならいいです」
友人は何気なく花香の頭の上に手を置いた。
「あっ……」
「あ、すいません! 妹にやるみたいにやっちゃいました!」
友人は怒られると思い手をすぐにひっこめた。
「…………」
(やばい、顔を上げないということは怒ってる)
友人はある程度メンバーとの付き合い方を理解していて、花香の場合は子ども扱いをしないことを念頭に置いてきた。だが、ここで、妹がいる友人がちょうどいい位置にある頭に触れてしまったのである。周りに人がいなかったのが幸いではあったが。
「えーと、すいませんでした!」
友人にできたことは純粋に謝ることだった。
「……別に嫌じゃないし……」
「へ? でも子ども扱いされるのは嫌いなんじゃ……」
「友人が私を子供扱いしてないことくらいわかってるし。その友人が私の頭を触ったってことは、私を大事に思ってくれたっていう気持ちだけっていうのはわかる。それに……」
「?」
「友人は手も清潔だし、上手だし……」
「すいません、何言ったか聞こえないです」
「……、うがー! そんなところで鈍感やるなー!」
タッタッタ!
「あ、また廊下走ってますよ!」
「…………」
友人がそう言うとちゃんと歩き始めたが、友人を振り向くことはなかった。
【花香の評価が上がった】
花香のウワサ③
甘えん坊らしい




