29話 ハイスペック乙女京里
「ふー、テスト終わったね」
友人、飛鳥はテストが終わり息を吐いた。1年生最初のテストの返却が終わったのである。
「どうだった?」
「普通の点数だよ。60点くらいじゃないかな?」
「俺もそんなもん」
友人も飛鳥も成績は中の中もいいところ。赤点をとることもないが、とびぬけるわけでもない。
「京里ちゃんはどう?」
「うん、まぁまぁかな?」
京里はあまり顔色があまりすぐれない。
「大丈夫か? あまり勉強得意じゃないのか?」
「う、うーん、そういうことでもなくて」
「んーと、えっ?」
「あ、見ないでよ」
飛鳥が京里のテストを覗く。
「数学系と理科系が100点で、残りも92点以上で平均95点……、え、京里ちゃんって頭よかったの……」
テストには92点を下回る得点がない。それは成績のよさを示す以外のものがではなかった。
「えーとね、昔から勉強は好きだよ。夏休みの宿題も終業式の日に終わらせるタイプだったし、スポーツするのも好きだしね」
「それだけしっかり学べるんだったら、料理とか掃除もできそうなもんじゃないのか?」
「空き時間はスポーツとかしてたから……。野球以外にもいろんなことしてた」
「ほんとに男の子みたいな生活だよね……、でも文武両道だからすごいよ。なんでもできるんじゃない?」
「……昔よりは女の子ぽくなったと思うんだけどな……。髪も長くして、肌のケアにも気を遣うようにしたのに……」
京里はすでにファンがついている。女性のファンが。さっぱりしていて、長身なので同年代の女子メンバーにかなり好かれている。野球部メンバーでは椿に並んで練習中の女性の声が多い。総数では生粋が1番だが、生粋には男性ファンも多いので、女性ファンに限るとこの2人が強い。
だが、対照的なのは、その声を椿は喜ばしく受け入れているのに対し、京里じは傍目には喜んでいても、内心は気にしている。同じ力持ちでも弥生は品があるので、あまり男勝りとは言われないのである。それも京里が落ち込む要因でしかなかった。
「いいんじゃないか? そういうところを気にしてるっていうのは、ギャップがあってかわいいんじゃないのか? 実際髪をきちんと手入れしてるのは俺にはよくわかるぞ」
「……ありがと。でも男の子なのにわかるの?」
「ああ、飛鳥がちょっとほっとくとすぐに髪が痛むんだ。きれいな髪だけど、細いからすぐ癖がつく癖に梳かないから」
「さ、最近はやる頻度は減ったでしょ」
「まぁな。でな、京里も飛鳥と同じタイプの髪なのに、癖1本もないし、さらっとしてるから、気遣ってんのはわかる。しかも大変だろ。まったく女子力ないみたいなこと言ってたけど、それだけでもすげぇって」
「…………」
「京里? どうした?」
「……何恥ずかしいことさらっと言ってんの! こっちが恥ずかしい! ちょっと頭冷やしてくる!」
京里は顔を覆って教室を出て行ってしまった。
「飛鳥、まだ授業中じゃなかったか?」
「そうだね。呼び戻してこよっか」
京里の評価があがった。
京里のウワサ②
髪の手入れは苦手なのだが、女の子っぽく見られたいという理由で伸ばしているらしい




