28話 高すぎる技術は客観的な凄さを失わせる
「カキーン!」
陽菜の見事な初球打ちはきれいなシングルヒットになる。
相変わらずの卒のないプレーだがヒットもやはり地味である。
ポテンヒットや内野安打、野手が飛びつくようなヒットすらない。きれいに野手の間を抜くので、あ、ヒットだ。というヒットがほとんど。これはバットコントロールが優れているからこその技術の高いヒットなのだが、結果的に地味になる。しかも早打ちをするので、打席にいる時間も短いので目立たない。
そして、後ろを打つ杏はバッティングでは昨年のチームで4番を打っていたので、打撃力もあり、ピッチングでも目立っているのでそっちに注目が行く。
タタタ!
するとあっさり盗塁を決める。
陽菜は盗塁の企画数そのものは少ないが、成功率だけならチーム盗塁王の飛鳥を上回る。
陽菜は必要な時以外はただ盗塁しないので、ほとんどリードも取らないため、ランナーとしてほとんど目立たない。あまり走らないランナーを警戒して、打撃のいい杏につながれると、上位打線につながってしまうので、必然的に陽菜への警戒は低くなる。
これも高い技術なのだが、いかんせん地味である。
守備でもレベルの高いポジショニングで右中間までカバーしているのだが、ポジショニングがうますぎて好プレーに見せないので地味である。
「漆原先輩は器用ですごいですね」
「あ、あんまり褒めないで……、気にしちゃう」
このプレーは陽菜独特のもののため、あまり人に教えることもないので、ただ地味なのえ、ほかのチームもあまり注目していなかったが、それを友人が生粋の指示で見るようにしていたため、その細かい動きに友人が気付くようになった。
「普段まで見られてるし……、いや、うれしいんだけど……、褒められたくてやってるつもりもないし」
そう、これだけなら生粋や凪もときどき気にしていたので、まだ陽菜も耐えられた。
ところが、普段の生活で細かな気遣いをしているところまで、友人が気付いているのである。いったいどこから見ているのかと驚くレベルで。
陽菜はこれは本当に善意でやっているいい子なのである。だが、影が薄く、自らそれを言わないので、目立つことはなかった。
「すごいですね。日直じゃないのに仕事して」
「教室がきれいですし、いい香りもしますよ。気遣いの人ですよね」
とまぁ全部褒めてくる。やることなすこと褒めてくる。
「……むー」
褒められてうれしいので、結果的にどんどん精度はあがりさらに地味になる。だが友人はそれを褒め続けるので、無限ループである。
【陽菜の評価が上がった】
陽菜のウワサ②
友人は普通にいるが、1人でもどこにでもいけるらしい




