12話 勉学
「ん? まだ帰ってない人がいるのかな?」
学校では土曜日は午前中のみしかグラウンドを使うことができないので、午後は野球の練習はしない。
友人は片付けを終えて帰宅しようとしたが女子野球部の部室がまだ人の気配があり、実際に近づいてみると話し声が聞こえたのだ。
コンコン。
「失礼しまーす」
「あ、友人。まだ帰ってなかったんだ」
「お疲れ様です。花香先輩」
部室の中には花香がおり、他に椿と冬香もいた。
「どうしたんです? もう練習するわけでもないですよね」
3人とも既にユニフォーム姿から、制服姿になっている。だが、帰宅をする感じでもなかった。
「はい、テストが近いから勉強中です」
冬香が質問に答える。
「やっぱ高校の勉強は大変ですか」
「そんなことはないさ。結局は己がどれほど学びたいか、という問題でしかない。高校が義務教育ではないとはいえ、ほぼ強制みたいなものさ。だから、中学校のときほど頑張る必要は無い」
「でもやっぱり最低限はできないといけませんよ、椿さん」
「大丈夫、そのために私達がいるんだ」
「え、花香先輩が教えるんですか?」
「どういう意味だ?」
「いえ、なんでもありません」
「花香さんは学年トップクラスです。正直文系科目だけなら、私も負けることがあります」
「本当ですか! すごいですね」
「もっと褒めてもいいぞ」
「いや、勉強できる人は尊敬します。頑張れる人ですもんね。しかも、部活と両立してるんですよね。すごいです」
「ふふふふ、よきにはからえー」
あっさり超ご機嫌になる花香。友人も彼女の扱いに慣れてきたようである。
「まぁそれでも生粋には勝てない」
「へー、生粋先輩はどれくらいいいんですか?」
「学年1位だよ。しかもずっと」
「あの人はなんなんですか」
野球部キャプテン、見た目も完璧で成績まで良かったら何一つ欠点がない。
「確か1年生の最初の期末テストで900点中887点とかいう最高記録を出してましたからね。非現実的です」
「ああ、しかも苦手な家庭科のテストが87点だったらしいから、残りは100点だと聞いているよ。まぁ、あそこまでできる必要は無いさ」
「へー、ちなみに椿先輩はどれくらい……え?」
「こ、こらっ。勝手に見るな」
椿の以前のテスト、数学23点、国語13点、理科47点、社会32点、英語0点。赤点3つ。
「なんすかこれは。つーか0点て」
「人を点数で判断する社会なんて嫌気がさすばかりさ。0点は測定不能。つまり虚数さ」
「やかましいですよ! ちゃんと勉強してください! 花香先輩お願いします」
「え、ええ、何で急にそんな感じに……」
いきなりテンションをあげた友人に、花香がやや引いた。
「勉強は最低限できなくちゃいけないんです! 赤点を取る人は部活なんかやってる場合じゃありません!」
「テ、テストごときできなくても野球には……」
「関係ありませんけど、関係あります! バカな人は野球やっても勝てません! 俺も見てますからちゃんとやってください!」
そして、友人が監修の元、椿の勉強会が始まった。
「基本ができてなさすぎです。数学はさすがに無理ですけど、他のは俺も手伝います!」
「く、屈辱だ……。年下と年下みたいな2人に教えられるとは……」
「涙目になってないでちゃんと勉強してください! 頭の悪いかっこつけとかかっこわるいです」
ちなみにその後の椿のテストは今までよりずっと成績が良かった結果となった。
それはそれで屈辱な椿であり、今後は少しは自分で勉強しようと誓った。
【椿の学力があがった】
椿のウワサ①
野球だけでなくプライベートも魅せることを意識しているらしい。
花香のウワサ①
母親と妹はもっと背が低いらしい。
冬香のウワサ①
高いところは苦手らしい。




