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10話 強いチームとエース

日比野高校女子野球部の打順は理にかなっている。


1番を打つ椿は、出塁率、盗塁成功率トップ。

2番の冬香はバントやエンドランの小技含めて、クレバーなプレーが魅力である。

3番パワーヒッター京里と4番のクラッチヒッター生粋はこのランナーを確実にどちらかが返す。

5番弥生は鋭いスイングでホームランのプレッシャーを与え、ランナーの有無を気にしない6番凪がチャンスメーカーもクラッチヒッターもこなす。

センス抜群の7番花香が出塁すれば、両打で何でもできる8番陽愛がチャンスを作って、打撃も上手な9番杏が上位につなぐ。


気をてらわないながらも、下位打線でも点が取れるかなりの攻撃的打線である。


正直言ってかなり強い。


今日は練習試合なのだが、現在最終回で12-0である。


「さすがね。杏」


打撃ももちろんだが、エース杏も無失点で完封ペースである。


「……問題ない」


最終回の守備につく前に生粋が杏に声をかけている。さすがの気遣いである。


「だけど杏先輩は無愛想だな」


「まぁあれはああいう人だから」


飛鳥はスタメンではないので、友人と一緒にベンチにいる。


他にも2年生が2人と1年生が3人いるので、合計7人がベンチにいる。


つまり、この日比野高校女子野球部には、メンバーが16人いることになるのだ。


2年生は控えピッチャーと外野の守備固めの2人。1年生は経験者もいるがまだポジションは決まっていない。


「だめですよ! ちゃんと生粋先輩が気にかけてるのに、そんな無愛想な返事をしちゃ!」


そして、おせっかいな友人が無愛想な杏に絡む。


「な、何よ、なんでそんなに絡んでくるのよ!」


「何度も言ってるでしょう! ちゃんと義理を果たさない人は野球以前の問題だって!」


どうも態度の悪い杏が無視できず、友人はまた指摘する。


友人はこのメンバーと長い付き合いではないが、基本的にこの野球部のメンバーは仲がいいのは感じていた。


やや癖がありそうな椿は、実は普通にいい人で、話し方が変わっているだけのこと。


だが、杏は本当にひねくれている。ピッチャーがそういうものだという意見もあったが、友人はあまり納得がいかないのであった。


「い、いいのよ! マウンドは孤独な場所だから! み、皆も見てないで早く守備につきなさい!」


「何でそんあ……「ゆーじん君、それくらいにしとこ」


友人も粘ったが飛鳥に止められてしまった。



「ストライクバッターアウト! ゲームセット!」


最終回の杏は三者連続三振だった。


「……フフ」


杏が友人に向けて、どうだ見たことか! みたいな顔をした。友人はそれに言い返せず、口をゆがめるだけだった。


「すごいわね。いつも最終回でこれだけ点差があって完封ペースだと制球が乱れて失点するのに。いつもと何が違ったのかしら?」


「……、う、う、生粋~! もう知らない!」


ずっとニヤニヤしてたのに、生粋が何かを言ったら顔を赤くして走って行ってしまった。友人は急に態度を変えた杏に首をかしげるだけだった。


「いいのよ友人君には分からなくても。でもこれからもあの子を気遣ってくれると嬉しいわ」


そして生粋に肩を叩かれた。


とりあえず生粋が笑顔だったので、悪いことはしていないと判断し、気にしないことにした。



【杏の評価が多分上がった】

【生粋の評価が上がった】

杏のウワサ①


私服はかなり可愛いらしい。


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