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050 どんだけ〜

令和もヨロシクお願いします!

今短編小説を書いているのですが、全然進まない……。















 こんにちわ、清水蒼流です。

 皆さんはこんな体験をしたことありませんか?

 面倒臭いから次の日に先送りしたら更に面倒臭くなって後悔したことが。

 ──え?お前はあるのかって?はい、今です!


「蒼流、見回り、頑張った······褒めて······」

「ア、アー。お水を零してしまいましたー。これはお仕置きされてしまっても仕方ないかもしれませんー」

「そーりゅう、クエストクリアしてきたよ。これでボクのこと捨てないでくれるよね?嫌いにならないでくれるよね?」

「······じー」


 これどうやって収拾つけんだよ。あとクーラはなんで隠れてこっち見てんの?普通にこわいよそれ。

 起きた瞬間この光景って、寝起きドッキリかなにか?

 まずこいつら鍵かけたのになんで俺の部屋に入ってこれんだよ。


 よし、こういうときは瞑想だ。一旦気持ちをリセットするんだ。

 精神統一、頭の中を空っぽにするんだ。

 大地の息吹、その全てを感じられるように、空っぽに、真っ白に、白いパンツぐらい真っ白に。

 そう、シルが履いてそうなヤツだ。ヤミリーはきっと黒だ。そういう顔してる。

 ······サミはどうだろうな。クマさんのプリントとか入ってるヤツかな······ふふっ、かわいい。


「って全然煩悩だらけじゃねえかよーい!

············一人で何をやっているんだ俺は······」


 ──ダメだ。プラスになると思ったことが全部マイナスになっちまう。※尚、全て自業自得である。


「────ん?プラス?マイナス?······」


 脳裏に引っ掛かりを覚え、蒼流は顎に手を当てて熟考する。


「プラス······マイナス······褒める、叱る······元に戻す」


 頭の中で決定的な〝ナニカ〟が音をたてて組み上がっていく。



 ──ニヤり、と蒼流が口の端を吊り上げた。



「これだ!!」


 完璧にして完全な解決策が、できあがった。

 プラスとマイナス、即ち褒めると叱る。褒めるがプラスで叱るがマイナス。

 元に、ゼロに戻す為には、プラマイゼロにする為には、褒めた分だけ叱り、叱った分だけ褒めればいいのだ。


「──蒼流、褒めて」


 シルが蒼流の服の袖を控えめに引っ張り催促してくる。


「······ダメだ」






「────え?」






 シルが瞳を大きく見開き、身体を小刻みに戦慄(わなな)かせる。


「──な、なん、で?······私、なんか、しちゃった?······ごめ、なさい。ごめんなさい······蒼流」


 あれ?またこのパターン?学習能力ミジンコかな俺?

 もういいよこれ、飽きちゃったよ。叱っちゃダメなんだろ?蒼流覚えた。


「いや、ごめんなんでもない。良くやったぞシル」


 だがタダでは終わらんぞ!もう安易に頭は撫でない!主に逮捕されないために!


「······うん」


 とんでもなーく不服そうにシルは引き下がった。


 ハハッ、罪悪感!

 だがオーケー、先ずは一人だ。撫でない俺に褒めてとせがむことはないだろう。······何だろう、なんか泣きそう!


 気を取り直して蒼流はヤミリーに目を向ける。

 視線を感じ取ったヤミリーは、水入りコップを床にぶちまける作業を中断して見つめ返してきた。


 いや君何やってんの?コップ六個も転がってるけど。絨毯水浸しだよ?


 期待に膨らんだ胸を更に膨らませ、宝石のような真紅の瞳に輝きを灯すヤミリー。


「あ、あー、お尻をペンペンされちゃいますぅ、でも罰なら受けるしか······」


 お尻を蒼流に突き出してジリジリとにじり寄る。


 ──フッ、甘い、甘いぜヤミリー!チョコレートのように甘々だ!ついでに脳内もチョコレートみたいに煩悩でドロドロなんだろうなあ!!


「そんなことよりヤミリー、服は濡れてないか?零しちゃったのは残念だが、俺に水を持ってこようとしてくれたんだろ?ありがとなー」


 いくぜ必殺!殺しちゃダメだけども!対ヤンデレ用奥義〈邪法流水型頭部利(ナデ)用心操掌握懐柔術(ナデ)〉!!


「よーしよしよしよしよしよしよしよし」

「んぁああああ、こ、これもこれで······イイ!!」


 ······最近さ、俺、人を撫でるだけで生きていけるんじゃないかって思うんだ。てかシルヴィアさん、そんな餓狼みたいな眼光で見つめないで。


 息絶えだえになりながらぐったりと倒れるヤミリーを眺め、蒼流は二人目完了と、心の中で零す。


「······じー」


 次なる標的を定めるために部屋を見回す最中、バッチリクーラと視線が交錯した。

 ──が、蒼流はまるでなかったかのように逸らす。


「な、なんでぇ!?」


 クーラの涙混じりの声が嘆きが聞こえるが、無視しよう。

 だって俺、クーラには何もしてないもん。


 ──さて、さてさて、最後にいっちばんヤバいの残しちゃったが。


「そ、そーりゅう、あのね、ボク、クエストちゃんとできたよ?だから、その······捨てない、よね?」


 しどろもどろになりながらも必死に言葉をひり出すサミ。


 いや、お前キャラ変したのか?まったく、誰があの健気だったサミをこんなにしてしまったんだ。見つけたらぶん殴ってやる。


「······ふふふ、サミ、こっち来い」


 微笑(アルカイツクスマイル)を浮かべ蒼流は手招きする。


 ······え?なんでそんな気持ち悪い顔してるかって?優しさを最大限に引き出す方法を脳内模索したところコレにたどり着きました。南無阿弥陀仏。いや殺しちゃダメだけども。


 サミは明確な恐れを双眸に写しながら、おずおずとてとてと可愛らしく近づいてくる。


 あれ?もしかして俺って嫌われてんの?ふふふ、でも悟りを開いた私には全然効きませーん。残念でしたー。ギャハハハハハ!!あ、笑ったら涙が。おかしいな、IKKOに止まらないぞ?どんだけ〜。


「ど、どうしたんだい?そーりゅう」

「背負い投げ〜」

「ほ、本当にどうしたんだい?」


 いかん、俺の中に眠るオカマの部分が。鎮まれオカマ。南無阿弥陀仏。


「いや、クエストクリアしてきてくれたんだろ?偉いぞーサミ」


 いくぜ必殺!でもやっぱり殺さない!〈邪法流水型(ナd)(以下略)〉!!


「あーたたたたたたたたたたっ!!!!」

「んにゃぁああぁああああぁぁああぁあ」


 あまりの撫でるスピードに、掌が無数の残像を残す。

 ものの十数秒でサミもヤミリー同様床に痙攣しながら倒れ伏す。お前はもう、撫で倒されている······。

 もう人間業じゃない。

 あと撫でられてない二名からの視線が痛い。

 背後に般若が見える。怖い。


 まあ何はともあれ、これで捨てられないためじゃなくて褒められるために行動してくれるはずだ。少しはマシだろう。


「そーりゅぅ、ボク、今人生で一番幸せだよぉ」


 やべえ、俺の必殺〈邪法(n)(以下略)〉はそんなに凄まじい技だったのか······。しばらく使わないようにしよう。


 未だ並のように押し寄せる快感に脳を支配され、身体もマトモに制御できない。

 そんな中、蕩けた瞳でサミは何やら狼狽している蒼流を見上げる。



 ああ、こんなに幸せなものがあるなんて。······もう二度とそーりゅうに捨てられるなんて怖くて寒いのにはなりたくないよ、絶対に。······絶対、絶対絶対絶対に。ふふ、そーりゅう、愛しているよ。ずっと、ずぅーっと僕のこと見捨てないでね?ゼッタイ、ダヨ?



 ······悪化しちゃった。



 軽い硬直状態が場を満たした時、不意に扉が叩かれた。


「おーい、蒼流起きてるカー?」


 この声はキースだ。

 ······誰だっけそいつ。


「いやオレソウリューズの頭脳だヨ!?」

「ああ、キース・カラメルソースね」

「大好きだナそれ!?僕キース・カルマリオンだけどネ!!」


 喧しい声量に、蒼流は心底面倒くさそうにベッドから這い出て扉へ向かう。

 鍵を捻って解錠してから扉を開ける。

 そこには、意外にもソウリューズの頭脳(笑)ことキースの他に、残りのソウリューズのメンバーのリリエル、そしてディランがいた。



 蒼流の部屋に、勇者パーティ〈ソウリューズ〉の全てのメンバーが揃う。

 大人数のためか、少し狭く感じる部屋で、先ず蒼流が口を開く。


「それで?なんの用なんだ?」


 その言葉を聞いた瞬間、キース待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑い、全員に届くよう大きめに発した。


「狂化の原因が、一部分かっタ」




 何こいつ普通に優秀。どんだけ〜。


















やっと50話かぁ。

まあ皆様の言いたいことは承知しております。

うん遅いねごめんなさいッ!!

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