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037 神速の男と純白のアレ












 白く白く、どこまでも白く、只々続くだけの空間に、彼は立っていた。

 触り心地の良さそうな淡い青色の髪。


「──やあ、来たね、清水蒼流君」

「······あんたは」


 蒼流の問いかけに、彼は薄く笑う。


「僕は、アーサー・ペンドラゴン」


 ──知っている。知っているさ。忘れるものか。


「君には僕が、どう見えるかな?」


 ────俺は、










 ■■■










 ベッドの上で目が覚める。

 相変わらず身体の上に感じる圧迫感、自らの上で寝息をたてるシルを見て、蒼流は状況を整理する。


「──夢、か?」












 ■■■











 蒼流はクエストボードに貼り付けられた依頼書の数々を眺め思考する。

 自分たちのパーティに合ったクエストはないか、と。

 クーラとついでにディランの歓迎会として、なにか簡単なクエストを一緒にやろうという話になったのだが、よく考えると最低難度のスケルトン討伐クエストですら失敗してしまう自分たちに、簡単なクエストなどないと思い至ってしまったのだ。


 もう本当ダメじゃないこのパーティ!?


 蒼流が一人絶望していると、陽気な声とともに、ギルド全体がざわつき始めた。


「──やっ、ミアちゃん。今日もお仕事ご苦労さん」

「ザ、ザッシュさん······」


 ザッシュと呼ばれた焦げ茶の髪の青年は、たまたまカウンターの外に出ていた受付嬢さん──ミアに人当たりの良さそうな笑みを向ける。


 ──ん?なぜ冒険者たちは緊張した面持ちなんだ?しかもミアさんのあの警戒っぷり、何か始まるのだろうか?


 ぎこちない営業スマイルでスカートを抑えるミア。

 緊迫する空気。

 知らず、蒼流が固唾を飲む。


 ──瞬間、ザッシュが消えた。


 いや、正確には消えたように見える程の速さで移動したのだ。

 蒼流の後ろに控えていたソウリューズの面々も目を見張る。

 スピード型のシルでさえ目で追うのがやっとの速度だった。


 ──しかし、注目すべきは別にある。


 すなわち、ミアの捲れたスカートの下に光る純白のぱんちゅ。

 また、周知に震えながらも必死にスカートを抑えているミアの姿が、より一層背徳感を煽る。


「十点」

「十点」

「十点」


 表情、体勢、ぱんちゅの柄、スカートのなびきに至るまでを全て一瞬の内に評価し点数化した蒼流、キース、ディラン。

 文句なしの満点である。


 なるほど、冒険者たちが緊迫したのはこのためか。


 蒼流がぱんちゅを凝視したまま大いに納得していると、突如視界が黒く染まる。


 ──シルによる無言の目潰しが炸裂した。


 悲鳴を撒き散らし転げ回る蒼流の隣では、同じくリリエルに目潰しされたキースが倒れていた。


 ──ディラン?あいつはサミに蔑んだ目を向けられながらギルドの外に投げ捨てられたよ。











 ■■■










 対面する蒼流とボブカットの受付嬢ミア。

 蒼流以外のソウリューズのメンバーは、只今スライム討伐のクエスト中なので、当分は帰ってこない。

 蒼流を抜いた状態でのクエストということに、シル、ヤミリー、サミが猛反発したが、シルは頭を撫でることで、ヤミリーは耳元で囁きかけることでそれぞれ納得させた。

 サミに関しては勝手に思考が勘違いしたようで、「そーりゅうはそういうプレイが好きなんだね!」と、嬉嬉として討伐に向かっていった──誤解だ。


 まあ兎も角、蒼流はあのザッシュという男のことが気になって仕方がなかった。

 シルでさえ目で追うことしか叶わなかった超スピード。

 文字通りのチート性能だ。


「彼は──ザッシュさんは、Bランクの冒険者で、」


 Bランク?あの速度で?


 一瞬の間の後、ミアは再び言葉を紡ぐ。




「──二つ名は······〝スカートめくりのザッシュ〟」




 ──────なんて?














ミアさんはちょっと前に出てきたの受付嬢の人と同一人物です。

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