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035 なんか黒い筆頭四天王!















 再び迫り来る沈黙。しかし、同じ轍は踏まない。



「「「お、お先にどうぞ」」」



 いいやぁあああああああああああああ!!思いっきり踏み抜いてんじゃねえかようっ!!


 神がかり的なハモリを見せる蒼流、リリエル、魔王ちゃんの三人。

 空気は最悪も最悪。気まずさマックスの地獄の空間。身体から吹き出る変な汗が、容易に全身の皮膚を蝕み、今すぐ掻きむしりたい欲求を持たせる。


 ──だが、人間落ちるところまで落ちてしまえば、やけくそもなんでもやってしまうわけで、失える物を失った者ほど危ない人間はいないわけで。既に奈落の底、気まずさの最下層にいる彼らはこれ以上転落することもない。


「──じゃ、じゃあ私から」


 何かが吹っ切れたのか、多少しどろもどろになりながらもリリエルが切り出す。


「──きょ、今日は······いい天気、ですね────なんちゃって」


 最下層貫きやがったーー!!なんちゃってじゃないんだよ!奈落の底から真っ逆さまだよぉおおおおお!!どうすんの?この空気どうすんの!?


 蒼流は表情こそ無表情の仮面をつけてはいるが、その実背中は冷や汗でびっしょりだ。


 ──その時、救いの女神が舞い降りた。


「──さて、そろそろ話を戻しますね」

「おい元凶」


 意味不明なことで魔王ちゃんを怒ったヤミリー(げんきよう)は、まるで自分は関係ないといった雰囲気で余裕の笑みだ。

 ちなみに元凶他二人は、片方が妄想の世界に旅立ち、もう片方は立ったまま穏やかな寝息をたてている。


 そんな彼女らの空気読まなさに今だけは感謝しかけた蒼流だが、よく考えれば彼女らのせいでこんな状況に陥ったということを思い出し、恨みを込めた半眼を向ける。


「今起こっている世界規模の魔物暴走が、多国家で厄災認定を受けたため、契約に従い、魔王及び筆頭四天王を勇者パーティに加えることとなります。よろしいですね?」

「は、はい」


 ──あ、魔王ちゃんがくるんだ。それに筆頭四天王か······筆頭っていうからには四天王最強の奴なんだよな······可愛い娘だといいな。


 理想の美少女の妄想に耽ける蒼流の後方から、光が筋となって差してくる。

 全員が一様に振り返ると、閉じていたはずの大門はフリーダムに開け放たれていた。

 その中の一点に、全ての視線が集まる。

 ──曖昧だが、恐らく人型であろう逆光のシルエット。


 この部屋はそれなりに信頼されてそうなピョン吉ですら立ち入りが許されていない、そしてこのタイミング。門を叩くことを許される者は、最早一人ぐらいしかいはしないだろう。

 ──筆頭四天王、その一人しか。


 ──筆頭四天王、一体どんな美少女だ!?


 逆光収まらぬ内に、ソイツから答えが放たれた。





「──四天王が筆頭、魔王軍の信頼を一身に背負う、真っ黒黒な鎧の怪物。頭はあるけど首はないよ。超デンジャラスな不気味生命体······そう、吾輩の名は、ディィィイイイランンンンンンン!!!!」





「······」



 ──あー、殺してー······。












おい、闇ギルドどこいった。

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