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Ancient Alchemist Online  作者: はむだんご
一章
9/39

1-9




「準備はいいか?」

「問題ないわ!」


 肉も食べ終え、皆準備出来たようなので金ウサギに近づいていく。敵との距離が5mほどをきったところで突然視界がグニャリと歪んで暗くなった。






~ ???(草原) ~


 視界が元に戻ると、そこは先ほどまでとは違う場所にいた。どうやらイベントボスの専用フィールドにワープしたらしい。5mほどの距離にいた金ウサギはどこから出てきたのか、取り巻きの通常サイズの金ウサギ20匹を引き連れ、30mほど離れたところにいた。


「私がボスを押さえるわ!皆は周りをお願い!」

「「「「応!!」」」」


 姉がボスウサギに攻撃を加えると、姉にヘイト(敵対心)が向き、ここから離れたところに引き連れていった。って、待てい!取り巻きまでついて行っているぞ!


「皆、取り巻きに攻撃してくれ!ヘイトを稼ぐぞ!」

「「「了解!!」」」


 俺は取り巻きが密集している地面に向かってファイアーボールを放つ。ファイアーボールは敵以外の障害物に当たると、直径約1メートル程の爆発が起こる。現時点では魔法師にとって唯一といっていい範囲攻撃だ。しかし…


「あれ?」


 ファイアーボールによる爆発が数匹を巻き込み、こちらにヘイトを向けることが出来た。出来たのだが……


「いくら何でもダメージ1はないだろ……」


 ファイアーボールによる爆発は通常の威力より幾分かは減少する。だが、決して弱い訳ではない。


『キュィッ!!』

「うおっ!?」


 あんまりなダメージ判定のせいで油断してしまい、とっさに避けようとしたが若干かすってしまった。


「ちょっ!?かすっただけでレッドゾーンかよ!」

「「ヒールボール!ヒールボール!」」


 気が利く神官のお二人様から回復魔法をもらいHPが全快する。やっと神官として活躍できたからか二人はどこか満足そうだった。


 それにしてもレアイベントとはいえ、こいつら強すぎじゃないか?……あっ、鑑定するの忘れてた!


「鑑定」




――――――――――――――――――


ゴールデンホーンラビット Lv.28


ホーンラビットの希少種。経験値がうまい。


  HP : 19/20

  MP : 1/1

  STR : 100

  VIT : 300

  INT : 1

  MND : 250


――――――――――――――――――



 ……いや、うん。全然ダメージがでない理由はわかった。被ダメージがヤバい理由もわかった。でもな……これくらいは叫んでも許されるだろう。


「はぐれメ○ルかよぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 攻撃力が半端ない分、本家よりたちが悪い。しかも数で攻めて来やがるからこのイベントを考えた運営の悪質さがよくわかる。


ヒット&アウェイ(殴って逃げる)しかないか……」






 そこからは本当に大変だった。まず金ウサギの攻撃を見切れるのが俺だけだったので神官二人には回復に専念してもらい、メノウにはヘイトを集めない程度に攻撃してもらい、逃げ回った。それだけなら簡単そうに思えるかもしれないが、問題はMPが切れた後だった。


 MPポーションを使い果たした後は、杖で殴らなければMPを回復することが出来ない。だが、敵の集団に突っ込めばいい的だろう。さすがに避けきる自信はない。そこで、運良く一羽だけ先走ってもらわなければならないのだ。そして突進してきた敵をたたき落として、攻撃される前にゴルフのごとく的の集団に向かってホールインワンだ。角兎が軽かったのが幸いだ。


 数が減り始めたころにはすでに1時間以上経っていた。その頃には姉はボスを倒し終え(ボスはHP200あったらしい)、こちらに参戦してくれた。そのこともあってそこからは何事もなくすべての敵を倒し終えた。




 ピコンッ


――――――――――――――――――


Uイベント(R) : 怒り狂う金角兎の王 をクリアしました


称号 : 角兎の新王 を獲得しました▼

  角兎の新たなる王の証。稀に角兎族から貢ぎ物をくれるかも?


  INT+10

  MND+10



防具 : 金兎のワンピースセット(U) を獲得しました▼

  金角兎の素材で作られたワンピースセット。魔力を込めると淡く発光する。


  STR+10

  VIT+(メインジョブのレベル×2)

  MND+(メインジョブのレベル×1.5)


――――――――――――――――――



 レベルアップを知らせるメッセージボックスをすべて閉じ、改めてイベントクリアのメッセージボックスを見る。Uはおそらくユニークのことだろう。しかし、ユニークイベントにレアなんてあるのか……。


「まあそんなことより……にしし」


 貢ぎ物。なんていい響きなのだろうか!というわけで最初の姫プ犠牲者は角兎さんでした!え、ユニーク防具?なにそれおいしいの?おいしいですねはいすいません。早速着てみよう。


「「「「おぉ~」」」」


 着替えてみると、本当に金角兎の素材を使っているのか疑いたくなるくらい真っ白で、おしりあたりに丸い尻尾の付いたワンピースに、兎マークのついたサンダル、兎の髪留めを身につけていた。ずっと使っていける上に可愛いだと!?最高ですありがとうございます!


 皆も同じ防具をもらったらしく早速装備していた。みんな同じ格好でものすごく目立つな……。


「さすがに目立つし、町に帰ってから装備しようぜ」

「じゃな、ばれたらしつこそうじゃしのぅ」






~ オウカの町 ~


「おお、こいつは金角兎王の角じゃないか!10,000,000Gで買い取るぞ!」

「「「「……」」」」


 後ろからの視線が痛いです。いや、一千万て……。


 まあご想像通り、先ほどのイベントのドロップアイテムが原因だ。イベントでのドロップは宝箱以外すべて換金アイテムだったらしく、こうしてNPCに売りに来た訳なのだが……。


「パーティでせんごひゃくまん……なのです」

「そのうち千二百万はヨシノちゃんのですか……」


 はい、すべて売ったら15,000,000Gになりました!いえーい!


「ヨシノちゃん、ものは相談なんだけどぉ(にっこり)」

「……はい」


 相談(脅迫)ですねわかります。


 姉の話は至ってシンプルで、次の町《王都ルブルム》で家が買えるらしく、活動拠点として買わないかということだった。まあそういうことなら金を出すのはやぶさかではないので素直に了承しておく。


「というわけで、宝箱開封タ~イム!」

「ついに」

「このときが」

「来てしまったのです」


 息ぴったりだねあんたたち……。


「まずは私から開けるわよ!」


 現在持っている宝箱は、フォレストベアー、レッドスケルトンウィザード、ゴールデンホーンラビットキングの3つだ。


「ぬがぁぁぁ!全部ポーションじゃない!!」


 姉は3つとも安定のポーションセットだった。南無。


「……弓は絶対使いません。絶対」


 サーヤは3つとも弓だった。どうもゲームでまで弓は使いたくないらしい。運営絶対狙ってるだろ。


「おお、魔術書じゃぁぁぁ!」


 メノウはレア度6のそこそこいい魔術書が手に入ったらしい。


「す、スキルスクロールなのですっ!!」


 リーゼは<錬金>のスキルスクロールだった。<錬金>自体、解放条件がわかっていないためかなりの大当たりと言えるだろう。ぜひ錬金術師を目指していただきたい。


「「「「……」」」」


 皆がはよしろ、と視線で訴えてくる。いやな予感しかしないわ……。




 ピコンッ


――――――――――――――――――


スキルスクロール : 魔法陣 を獲得しました▼


  Lv.1 : マジックサークル▼

  APを消費することで詠唱を破棄出来る(消費AP : 100)


  Lv.15 : ???


使用しますか? Yes/No


――――――――――――――――――


――――――――――――――――――


マジックパーツ : [エフェクト]桜吹雪 を獲得しました


使用しますか? Yes/No


――――――――――――――――――


――――――――――――――――――


上級ポーションセットを獲得しました


――――――――――――――――――



「ヨシノちゃんからついにポーションセットがっ……!!」

「出たのです!」

「上級じゃがな」

「それは言わないお約束です。とにかく、今日はめでたい日ですね」


 ひっどい言われようだった。泣くよ?マジ泣きすんよ?






「もう昼だけど、午後はどうするんだ?」

「王都行きましょう、王都!早く家が欲しいわ!」

「う~む、βよりボスの適正レベルが跳ね上がったからのぅ……まだきついかもしれんぞ?」

「え、そうなの?」

「うむ、適正レベル35じゃ。その代わり初回撃破ボーナスでユニークアイテムが貰えるらしいの」

「ユニークイベントの適正レベルは30だったわよね?だったらいけるんじゃないかしら?」


 現在の皆のレベルは26だ。金ウサギのおかげで10レベル近く上がったのだ。


「それなら今日は生産に力を入れて、王都は明日にしませんか?」

「なるほどね、私はオッケーよ!皆は?」

「俺も大丈夫だ」

「そうしようかの」

「了解なのです!」


 そういうわけで、昼食を食べるためにログアウトした。







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