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Ancient Alchemist Online  作者: はむだんご
一章
4/39

1-4




「着いたわ。この店よ!」

「……ボロボロですね」

「こういう店の方が味があっていいと思うぞ。寂れた見た目の店が隠れた名店とういうのはよくあることだ」

「そういうものなんですかねぇ?」

「それは中に入ればわかることよ!さ、入りましょう!」


 めちゃくちゃに入りくんだ裏路地を進んだ奥にあった寂れた店の扉を開けて中に入ると、液体の入った瓶や大きな宝石のついたネックレスなど、様々なものがカウンターの上に並んでいて、奥に店員らしいおじいちゃんが座って本を読んでいた。他に客は居ないようだ。


「おや?いらっしゃい。ここに若い娘達が来るのはいつぶりかのぉ……。まあゆっくりしていきたまえ」

「はい、ありがとうございます」


 姉はもうすでに店内を物色している。さて、俺もいろいろ見てみるか。


「あ、そうだ二人とも。はいこれ」




――――――――――――――――――


マヤ からプレゼントが届きました。


 200000G


受け取りますか? Yes/No


――――――――――――――――――




「……多くね?」

「大丈夫よ、β得点で所持金の二分の一持ち越せたのよ。あのときは全然お金使わなかったし」

「所持金も持ち越せるのか……かなりβテスター優遇されてるな」


 まあ先立つものが無ければ買うものも買えないしな。早速店内を見て回る。高いものから安いものまでと品揃えは豊富なようだ。


「おお!これいいんじゃないかしら。ヨシノちゃん見て見て!」

「ん?……おお確かに俺たちには使えるな」


 そう言って見せてきたのはこれだ



――――――――――――――――――


前衛魔術師の腕輪(☆☆☆☆☆)▼

  STR +10

  INT +15

  MND +5

  装備条件 : STR 50 以上


購入しますか? Yes/No 150000G


――――――――――――――――――



 装備条件がかなり特殊だが悪くない効果だ。まさに俺たちのための装備だ。他にいいものがなければこれにしようかな。


「……そういえばお嬢ちゃん達、なぜ魔法師になったのかね?お嬢ちゃん達を見る限り戦士とか盗賊の方が向いているのではないかね?」


 そう言っておじいちゃんが声をかけてきた。お嬢ちゃん達というのは俺とマヤのことだろう。


「そんなの魔法を使いたいからに決まってるじゃない!」

「右に同じく」

「……ふむ、そうか。ちょっと待っていなさい」


 そういって店の奥に引っ込んでいった。戻ってきたのは1分ほどたった後だった。


「これをお嬢ちゃん達にあげよう」




――――――――――――――――――


ホーエン(NPC) からプレゼントが届きました。


前衛魔術師の極意書(☆☆☆☆☆☆)▼

  使用すると ジョブ : 前衛魔術師 を解放する

  使用条件 : 魔法師ジョブをマスターする


受け取りますか? Yes/No


――――――――――――――――――



 ……前衛魔術師ってなんぞ?


「ちょ、これって隠し派生ジョブの極意書じゃない!」

「隠し派生ジョブ?」

「そうよ、このジョブをを育てていくとレジェンドジョブに派生するかもしれないって言われてるわ」

「マスタージョブの上があるのか?」

「ええ、有名なのは錬金術師ね。公式が発表してるのよ」

「あ~、なるほど」


 古代錬金術師が伝説化してる世界だしな。まあ、迷わずYesボタンを押す。


「もしそのジョブをマスター出来たなら、再びここに来るといい」

「「はい!」」





 ホーエンじいちゃんの店で買い物を済ませた後、俺たちは予定を変え東門に来ていた。


「さ、パーティー組むわよ」


 そう言ってパーティー申請を出してきたので、Yesを押してパーティーに参加する。


「よし!じゃあしゅっぱ~つ!」

「「おお~!」」


 東門の門番さんに挨拶し門を抜けると左側には雄大な草原が、右側には深い森が広がっていた。相談した結果、今回俺たちが行くのは森の奥にあるエリアⅡだ。このゲームは敵の強さや難易度ごとに大まかに区別されている。それがエリアだ。エリアⅠなら駆け出しの初心者でも比較的安全に戦えるという指標になる。βテストで確認された最大エリアはエリアⅣで、強さ的には上級ジョブをマスターしていないとお話にならないと言われている。いつか挑戦してみたいねぇ……。


 何度か戦闘が起きたが、(りふじん)の敵ではない。このエリアⅠで出てくるモンスターはゴブリンとグレイウルフ、稀にホブゴブリンが出てくるくらいだ。エリアⅠにはエリアボスはいない。エリアⅡに着く頃には全員Lv.5になっていた。


「順調ね~」

「私たち何もしてないんですが……治癒魔法使わせてください~……レベルが上がりません」

「あッ!」

「ん?どうかしたの?」

「……SP振るの忘れてた」

「バカね」

「……アホですね」

「ぐっ……」


 言い返せねぇ……。待っててくれるみたいだしさっさと振ってしまおう。SPは初期の残りの9と、ジョブレベルが4が上がって合計13SP残っている。SPの使い方としてはスキル取得の他、SP1でスキルレベルを1上げることが出来る。まあ、スキルレベルは使っていれば勝手に上がるため、レベルの上がりやすい序盤でSPを消費するのは愚策だろう。


 スキルの取得に関してだが、メインジョブやサブジョブに関係のあるスキルなら一律SP1で取得可能だ。ただし、ジョブに関係の無いスキルは取得できない。また、ジョブに関係のあるスキルを取ってから別のジョブに転職しても、そのスキルは使用できないようになっている。


 また、ジョブに関係なく取得できるスキル ―― 無所属スキルがある。その数は派生も合わせると3000を超えると言われていて、一律SP3で取得可能だ。もちろん、ネタスキルも多いが。そして、この無所属スキルはゲーム内の行動によって解放されたり、派生したりすることがある。その条件はほとんど知られていない。というのは、知っていても秘匿する人が多いからだ。あくまで掲示板に書き込んだり人に教えたりするのは善意なのだ。


 最初に選べるスキルはかなり少ないため、取るスキルは大体決まっている。少々悩んで火水風土の魔法と、鑑定、マップ、危険察知を取得する。このゲームにおいて鑑定とマップは必須スキルだろう。あと、危険察知を取得していれば、後ろからの不意打ちなども対応できると思ったので取っておく。


「よし、お待たせ」

「はいはい~、んじゃ行くわよ」






 ~ エリアⅡ(森林・奥) ~


「えいやぁ!」


 マヤの杖で殴られ、塵になっていくホブゴブリン。エリアⅡに入った俺たちは相変わらず姉が杖(物理)無双していた。攻撃力の低い魔法師が杖で3発殴ればHPが消し飛ぶんだから、ゲームバランス崩壊もいいところだ。エリアⅡの適正レベルは初級ジョブで20レベルくらいだしな。こんな序盤、しかもゲーム開始からゲーム内時間で5時間も経っていないのにこんな高難易度の場所に来ている時点でどうかしている。まあ俺も杖で4発殴れば倒せるんだけどね!


「手応え無いわねぇ」

「いえ、マヤちゃんが強すぎるだけですよ…」


 危なげなく淡々と敵を倒していると……


―――― ……ォ ―― ォォォ……


「「「!?」」」

「聞こえたか?」

「はい、もしかしたらエリアボスじゃないでしょうか?」

「その可能性は高いわね……たしかここのエリアボスはフォレストベアーだった気がするわ」

「行ってみようか」

「「ええ(はい)!」」






『ギャオオォォォォォ!!』

「「ひえぇぇぇぇ!!」」


 咆哮が聞こえた方に行ってみると、なんと先客がいた。犬人族と兎人族の二人の女の子がフォレストベアーの攻撃をかろうじて避けながら必死に逃げ惑っている。


「め、メノウさん!こ、攻撃!早く攻撃してほしいのです~!」

「む、無理じゃ!避けるので精一杯なのじゃ!」

「ふえぇぇぇ~、そんなぁ~~」


 ……の、のじゃ?犬耳とのギャップが激しすぎるんだが。ロールプレイというやつだろうか?もしかしたら素だったりして……。そんなことより、困っているようなので声をかけてみる。


「よかったら手伝おうか~!」

「「お、お願いなのですぅ(なのじゃぁ)~!!」」


 了承を得たのでマヤと一緒に敵に向かって飛び出す。


「やぁぁぁ!」

「はぁぁぁ!」


 フォレストベアーが標的を俺たちに変え、助走を付けて飛び上がり大きな爪を振り上げたと同時に、それをしゃがんで躱し、杖でそれぞれの足の脛に<強打>ぶちかます。


『ギャンッ!』


 森の王者らしからぬ声を上げ、ベシーンッ!とこけた。そして、殴りやすい位置にある後頭部に二人がかりで<強打>を連打していく。


『ギャンッ!ギャンッ!』


 「イタイやめて殴らないで!」と言わんばかりに後頭部を両手で覆うフォレストベアー。まるでリンチしてる気分だ。オレタチハヤンキージャナイ。コワイマモノヲタイジシテルダケダ。


 APが尽きてその隙にフォレストベアーが起き上がろうとしたので、そこに<火魔法 Lv.1>で覚える<ファイアーボール>を乱れ撃ちする。


『グ、……オォォォ……』


 掠れた声を上げながら倒れ、塵になって消えていった。そしてピコンピコンとレベルアップのメッセージボックスが現れる。


「「ふぅ~……」」


 二人で「終わったぜ!」と、かきもしない汗を拭いながら三人の方に目を向けると、一人は片手で頭を押さえながら下を向き、呆れていて、他の二人はだらしなく口を開け、ポカーーンとしていた。







空気な幼馴染サーヤちゃん……

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