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Ancient Alchemist Online  作者: はむだんご
二章
36/39

2-3




「な、なんか緊張してきたのです」

「こ、こんなことで緊張するなんて、リーゼさん子供みたいですねっ!」

「サーヤちゃん、人のこと言えてないわよ?」


 ギルド対抗戦初日、午後の部が始まるまで後10分ほどとなっていた。つまり昼休憩中なのだが、サーヤとリーゼは緊張のあまり、食事がのどを通らないようだ。


 何で二人がこんなに緊張しているかというと、午前の部が終わってすぐに来た一通のメールが原因だ。それがこれ。



――――――――――――――――――


ギルド"春風"は、ギルド対抗戦初日の午後の部において、戦闘の様子がメインモニターにて放映されることになります。


メインモニターの放映を承諾しますか? Yes/No

※無回答の場合、承諾したと見なします


          ~運営スタッフより~


――――――――――――――――――



 このメールが届いたのだが、俺たちはこれを承諾した。別段映して欲しくないところはないしな。ただ、突然のアクシデントによってフードが脱げてしまわないように気をつけなければならないが……。大丈夫ですもうやりませんはい。


「それで、対戦相手はもう決まったのか?」

「ん~、そろそろ発表されると思うのじゃが……お、メールが来たぞ!対戦相手は……"流星"じゃな」

「あ~……昨日やたらと絡んできた勇者君がいるところじゃん」

「「ぶっ潰しましょう(すのです)っ!!!」」


 急に元気になったね君たち……。


「流星といえば大規模ギルドのなかでもトップクラスじゃ。そう簡単にいくわけがなかろう」

「勝つんですよ!勝たなきゃいけないんですよっ!!ギャフンと言わせなきゃいけないんですよっ!!!」

「その通りなのです!!」


 何だろう、この某有名テニスプレイヤーみたいなノリは……。


『大変長らくお待たせいたしましたぁぁぁ!!まもなく午後の部が開催されまぁぁぁす!!』


「おっと、もう時間か」

「流星だかなんだか知りませんが、ボッコボコにしてやりましょうっ!」

「ボッコボコなのですっ!!」


 うん、ホントに元気だね君たち……。






~ 特殊フィールド(渓谷) ~


 ピコンッ


――――――――――――――――――


特殊フィールドに転送されました。


対抗戦ポイント : 10250 pt (10000 pt + 250 pt)が支給されました。


支給品が配布されました。本拠点司令室にて受け取り可能です。


メニュー機能の一部が制限されます。


――――――――――――――――――



 ピコンッ


――――――――――――――――――


傭兵の雇用が可能になりました。


        残り時間 : 3時間14分59秒


――――――――――――――――――



 ピコンッ


――――――――――――――――――


ギルド"春風"の紹介を許可しますか? Yes/No

※無回答の場合、承諾したと見なします


        回答時間残り : 4分59秒


――――――――――――――――――



「おっと……」

「フィールドは……渓谷エリアね」


 待機時間となり、メインモニター前の観客席から特殊フィールドの自陣本拠点司令室に転送された。司令室の窓からはフィールド全体が一望できた。本拠点はどちらも山の上を陣取っているらしい。フィールドの全体図としては、真ん中を流れる川を境に山が対照的に位置しており、その上にそれぞれの本拠点がある感じだ。川の幅と深さはそこそこありそうで、流れもかなりはやいので橋を渡るのが無難だろう。橋は真ん中に一つと、そこから左右2kmの地点にそれぞれ一本ずつ設置されている。


「本拠点周辺と川のほとり以外は大体木に覆われておるな」

「本拠点から敵が見えないのはやっかいですね……」


 木の密度が結構あるので橋を渡られて見失ってしまうと、再び見つけることは困難になるだろう。このフィールドでは橋の占拠が勝利のカギになっていそうだ。


「あ、そういえばギルド紹介は許可しない方が良いよな?」

「もちろんじゃ」


 5人一致で拒否だったのでNoを押しておく。まあギルマスの名前を言われたらたまらんからな……一応ギルマス俺ってことになってるし。


「じゃあ役割決めるか~。総司令官やりたい人~」

「はいなのです!今回バッファー(付与魔術師)はあまり活躍できそうではないので」

「じゃあリーゼに決定だな。では総司令官殿、作戦の立案をお願いするであります!(ビシッ)」

「「「……(ビシッ)」」」

「え!?あっ、ま、任せなさいなのです!」


 突然みんなの態度が変わって驚くリーゼ。こういうイベントにおいて、なりきりは士気に関わったりするので大事なのだ(多分)。ほら、メノウとか目をキラッキラさせてるし。


「え~、ごほん。まずは雇える傭兵の確認からするのです!」

「「「「はっ!(ビシッ)」」」」


 敵を知る前におのれを知るべし、である。自陣の戦力が分からないのでは作戦もクソもないのだ。


「総司令官殿!雇用可能な傭兵は農民兵Lv.10(1 pt)、各職一般兵Lv30(10 pt)、各職上級兵Lv.60(30 pt)、一般指揮官(15 pt)、上級指揮官(50 pt)、司令官(100 pt)、総司令官(300 pt)、各職英雄Lv.100(1500 pt)であります!また、ポイントを使用して支給品の増量、騎馬の貸し出しなども可能であります!」

「ご、ご苦労なのです。取りあえず各橋に1人は英雄を配置するので、4500 ptは確定なのです」


 ちなみに、傭兵達のステータスはこんな感じだ。



――――――――――――――――――


農民兵 Lv.10


武装した農民。練度は低い。10人で一般兵1人を相手に出来る


  HP : 300/300

  MP : 30/30

  STR : 30

  VIT : 30

  INT : 30

  MND : 30


――――――――――――――――――



――――――――――――――――――


一般兵 Lv.30


初級ジョブの兵士。練度はそこそこあり、スキルを1個所持している。1人で一般兵1人ほど相手に出来る


  HP : 800/800

  MP : 80/80

  STR : 100

  VIT : 100

  INT : 100

  MND : 100


――――――――――――――――――



――――――――――――――――――


上級兵 Lv.60


上級ジョブの兵士。練度はかなりのもので、スキルを3個所持している。1人で一般兵3人ほど相手に出来る。


  HP : 1200/1200

  MP : 120/120

  STR : 150

  VIT : 150

  INT : 150

  MND : 150


――――――――――――――――――



――――――――――――――――――


英雄 Lv.100


レジェンドジョブの兵士。化け物クラスの戦闘力を誇り、スキルを10個所持している。また、指揮権を持つ。1人で一般兵100人ほど相手に出来る。


  HP : 3000/3000

  MP : 300/300

  STR : 300

  VIT : 300

  INT : 300

  MND : 300


――――――――――――――――――



 英雄のステータスを見てもらえれば分かると思うが、かな~り強くてしかも指揮権まで持っているのだ。平地で戦うなら1500 ptもかけてまで雇いたいかと言われると微妙だが、狭い橋の上で戦うとなれば大活躍間違いなしである。


「ところでヨシノちゃん、そろそろその口調止めてほしいのです……」

「……うん、俺も飽きてきたところだ」


 俺っちは飽き性なのだ(適当)。


「それで、残りの5750 ptはどうする?」

「各英雄に上級兵20人と、一般兵80人、予備の上級指揮官2人を付けるのです。あ、一般兵の半分は神官なのです」

「4500 pt使うから……残りは1250 ptになるな」

「一般兵の弓術士20人と指揮官1人を各英雄の後ろに配置するのです」

「645 ptだから……え~っと」

「残り605 ptじゃな」

「上級兵10人と農民兵5人を本拠点の防衛に当てるのです。そして、残りの300 ptで上級兵10人を雇いたいのですが……これをメノウさんが指揮してください」

「我がか?」

「はい、基本的に自由に動いてもらって構わないのです」

「了解なのじゃ」

「それで、ヨシノちゃんとマヤちゃんは橋を使わずに川を渡って相手の裏を取って欲しいのです。場合によってはフラッグも狙ってもらうのです」

「「了解 (よ)!」」

「あの、私は?」

「サーヤちゃんはもちろん狙撃なのです。……本拠点のてっぺんから」

「……なるほど、わかりました」


 サーヤはこのイベントにおいて、最重要人物と言っても過言ではない。<遠視>スキルから<鷹の目>スキルに昇格したサーヤであれば、本拠点のてっぺんから川の全貌を監視することが出来る。敵を見ることさえ出来れば、サーヤのユニーク武器――魔弓フェイルノートの餌食である。


『試合開始まで後5分です』


「そろそろ始まるな」

「あ、支給品の無線機とポーション類を渡しておくのです」

「傭兵達に昨日作った装備も渡さないといけませんね」


 何だかんだで準備を終えて、試合開始の笛がフィールド全体に鳴り響いた。





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