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Ancient Alchemist Online  作者: はむだんご
二章
35/39

2-2

HAPPY NEW YEAR!!

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。




『レディィィィィィスアァァンジェントルメェェェェェェェンッ!!!盛り上がってるかぁぁぁぁぁぁっ!?』


「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」


『うんうん、気合いは十分みたいだねぇ!さあ待ちに待った公式イベント、ギルド対抗戦のはじまりだぁぁぁぁぁぁぁ!!!』


「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」


『実況は私、ミスタァァァァァァタナカとぉ!』

『……』

『実況は私、ミスタァァァァァァタナカとぉ!』

『……』

『……あの、ツツジさん?何か言って――』

『――ちっ』

『……』


「「「……」」」


 ……。






「俺たちの試合は午後からだったっけ?」

「ええ、試合時間の登録は全部午後からにしてるわ」


 今日から十日間(ゲーム内)、一日に午前と午後の二試合が行われ、参加ギルドははどちらかに登録する必要がある。


「そういえば皆さんはゴールデンウィークの宿題、終わったんですか?」

「……」

「あ~、確か休み時間中に終わらせた気がするわ」

「私もなのです」

「我はもう少しで終わるところじゃ」


 ……やっべぇ、完全に存在を忘れてたわ。


「……ヨシノちゃん、まさか」

「は、HAHAHA、いやだなぁ……俺が終わらせてないわけがないだろ?」

「……」

「……すいません全くやってないです」


 サーヤのじと目が痛い。


「だ、大丈夫だって!後四日もあるんだからさっ!」

「……頼まれても見せませんからね」

「そ、それだけは勘弁してくださいサーヤ様ぁ!それだけはぁぁぁっ!!」

「ヨシノちゃんヨシノちゃん、私が教えてあげるのです!」

「っは!?あなたが女神様かっ!」

「なっ!?ヨ、ヨシノちゃん!私は見せないとは言いましたが、教えないとは一言も言ってませんよっ!!」

「ヨシノちゃん、あんな意地の悪い女は放っておいて、私と一緒にお勉強するのです!」

「い、今意地の悪いって言いましたかこの女狐!?」

「私は狐じゃなくて兎なのです!!」

「そういうことを――」


 ……。


「止めなくてもよいのか?」

「俺が介入するとなぜか悪化するんだよねぇ……」

「……そうか」






『さあ記念すべき第一回戦が始まりましたっ!今回メインモニターに映されることになった運の良いギルドはこの二つ!"紅騎士団"と"新星おべっかチーム"だぁぁぁぁぁぁ!!』


「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」


『なお!明日以降は勝率の高いギルド同士の試合が優先的に映されるのであしからず!見たい試合がある場合は、メニュー画面から対抗戦イベント専用ページに飛んで確認よろしくぅぅぅぅ!!』


 このタナカとかいう司会、やけにテンション高いな。いや、プレイヤー達もだけど。


「あ、紅騎士団って確か……」

「前回のイベントランキング10位のパーティーが作ったギルドね」


『さあ!両ギルドともに特殊フィールドへと転送されました!本試合のフィールドはぁぁぁぁぁ……平原エリアに決定だぁぁぁぁぁぁ!!』


「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」


 う、うるせぇ!


『これから15分間、待機時間になります!しばらくお待ちください!』


 なるほどな。この時間に傭兵を雇ったり戦術を決めたりするわけか。


『おっと、紹介の許可を得たのでこの時間を利用して両ギルドの紹介でもするとしましょうか!さてまずは西陣"紅騎士団"だぁぁぁ!ギルドマスターはグレン、副ギルドマスターはローテとウルガスだ!紅騎士団は大規模ギルドで、現在のギルドメンバーは500人中392人!そしてなんと、ギルドマスターであるグレン率いる筆頭パーティーは前回の公式イベントの戦闘部門ランキングで10位という成績を残しています!ここでギルドマスターから一言!「ギルメン募集中だぜ!」だそうです!』


 ギルドの紹介とかあるのか。普通のギルドなら売名出来てうれしいことなんだろうけど……。


『対する東陣は"新星おべっかチーム"だぁぁぁ!ギルドマスターはシャチク、副ギルドマスターはドーリョーとコーハイだ!新星おべっかチームは中規模ギルドで、現在のギルドメンバーは100人中34人!ここでギルドマスターから一言!「社畜はつらいよ……」だそうです!うおぉぉぉぉぉぉ!わかる、わかるぞその気持ちぃぃぃぃ!!』


 ……お仕事お疲れ様です。


『さて、ギルドの紹介はここまでにしまして、フィールドの説明に参りましょう!今回使用される平原エリアはモニターに映されているとおり多少の高低差はありますが、基本的には見晴らしのよい平地になっております!それではツツジさん、このフィールドについて何かコメントをお願いします!』

『……』

『お願いします!』

『……』

『……あの、ツツジさん?せめて何かひ――』

『――ちっ』

『……』


「「「……」」」


 ……。






『3、2、1、スタァァァート!さあ、戦いの火ぶたが切られました!両ギルドともどのような動きを見せるのでしょうか!?おぉぉぉっと!東陣新星おべっかチームが最低限の守りを残して進軍!一方、西陣紅騎士団は少人数の騎馬隊で北と南に進軍!これは一体どういうことでしょうか!?』


「東は殲滅、西はフラッグ狙いね」

「だな」


 新星おべっかチームの方はわかりやすい。高低差がほとんどなく見晴らしの良いこのフィールドなら、フラッグを狙いに行ったところですぐに気づかれて集中狙いされるのがオチだ。それにフラッグを狙いに行くなら、その別働隊に相当強い人材を吐かなければ勝算は薄いだろう。プレイヤー数の少ない新星おべっかチームが最前線を薄くすれば、簡単に敵に突破されてフラッグを奪われてしまう。そんなことをするくらいなら堂々と突撃した方がまだ勝算はある、という考えなのだろう。


 恐らくだが、紅騎士団は新星おべっかチームが一気に攻めてくることを予想していたのだろう。そこで、動きの素早い馬を使ってフィールドの自陣側の四隅を陣取る。10km四方のフィールドの四隅であれば、いくら見晴らしの良い平地でも<遠視>スキルが無ければ発見しにくい。だが、弓術士やその派生ジョブである狩人のほとんどは遠視スキルを持っている。そこで守りを固めて、敵の視線を本拠点に釘付けにしてしまえばほぼ確実にばれることはない。こうなってしまえば、後は守りの薄い敵陣の本拠点に強襲してフラッグを持ち帰るだけだ。


「あ~……見事に嵌まってますね」

「これは勝負あったかのぅ」


『おぉぉぉっと!?新星おべっかチーム、紅騎士団の別働隊に気づけなかったようです!これは新星おべっかチーム大ピィィィンチ!!』


「これだと、攻めきるしか勝つ方法はないのです」

「無理ね。紅騎士団は神官の傭兵を中心に雇ってるから攻めきれないわ」


 それから20分後、なすすべ無くフラッグを奪われた新星おべっかチームは無線で連絡を受けて大慌て。結局、フラッグを持った別働隊が戻るまでに殲滅されて敗北してしまった。


『試合しゅぅぅぅぅぅりょぉぉぉぉぉっ!!紅騎士団の勝利だぁぁぁぁぁ!!』


「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」


『紅騎士団の戦略が見事でしたねぇ!ツツジさん、この試合に対して何か一言お願いします!』

『……』

『お願いします!』

『……』

『……あの、ツ――』

『――ちっ』

『……』


「「「……」」」


 ……




































































『……Good Game』


『「「「喋った!?!?」」」』




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