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Ancient Alchemist Online  作者: はむだんご
一章
22/39

1-22




「それじゃあ行くわよ」

「「「「応!」」」」


 夕飯を食べ終えて再びログインした俺たちは、ダンジョン最上階のボスに挑戦しようとしていた。


 ――ギィィ……


「「「「「……」」」」」


 真っ暗な部屋を、後ろの通路から射すわずかな光だけを頼りにゆっくりと、慎重に中に入っていく。


「暗すぎて何も見えないわね……」

「ヨシノちゃん……私怖いのですぅ~……」

「ちょ、リーゼさん!?あなたまた――」


 ――バタンッ!!


「「ひゃぁぁっ!?」」


 俺たちが部屋に入りきると突然入り口の扉が閉まり、完全に何も見えなくなってしまった。今わかることがあるとすれば一つ、俺の両腕ががっちりとホールドされているということだけだろう。


「あの、お二人さん……?このままだと不意打ち食らって死んじゃうんですが?」

「こ、これはひっついちゃったので、一生外れないのです……!」

「わ、私のもひっついちゃいまして……べ、別に怖い訳ではないですよ!?」


 さいですか……。


 ――ゴゴゴゴゴゴゴ


「……あら?」

「ゆ、揺れっ!?……光!?」


 突然部屋全体が揺れ出し、上の方から光が射してきた。


「……空……か?」

「空、なのです」

「空ですね」


 ――ガゴンッ


「おぉ~……」


 壁や天井がなくなってさっきまでの暗さとは一転、頭上には澄み渡る青い空が広がり、太陽がむき出しの部屋を明るく照らしていた。


「開くドームか……ずいぶんと凝った演出じゃのう……」

「公式イベだから気合いが入ってるんだろ……多分」

「……あ、あのっ!開ききってるのになんでまだ揺れてるんですかっ!?」

「え?」


 ――ゴゴゴゴゴゴゴッ!!


「な、なんででしょうねぇ……?」

「よ、ヨシノちゃんなんとかしてください!!」

「いやいやっ!揺れを止めるとか出来ねぇよ!?」

「な、なんか揺れが大きくなってきてるのですぅ!!」


 あ、なんか嫌な予か――


 ――ドンッ!!!


 …………わあっ、たかいたか~~~いっ!!!


「じゃねぇよ!!またこのパターンかよ!?」


 どうも皆さん、空を飛ぶことに愛されし女(男)、ヨシノです。


 うん、地面の中から奇襲とかずるいと思いますよ?つか、鳥なら普通空からだよね!?あれだけ凝った演出醸し出しておきながら空から来ないとか邪道だと思います、はい。でも、取りあえず先に言っておきたいことがある……


「ちょっとガジガジするの止めてもらっていいですかねぇ!?」


『ピュィィ?』


 あら可愛い鳴き声だこと。よ、ヨシノちゃんは声なんかに惑わされないんだからねっ!!…………ごめん今のなし。


「あああ、体力が無くなっていくぅぅ~~!」


『ピュィ!(ペッ)』


「へ?」


 …………ペッ?


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!落ちるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」


 ちょっとまって!?マジで死ぬ!!今回は下に湖とかないから!絶対グシャッ、ってなるやつだから!!


「ちょ、誰か助けてお願いします何でもしますか――」































「――らぁぁぁぁぁぁぁぁ…………あれ?」


 浮遊感がない……足が地面についている?……なぜ?


「「ヨ・シ・ノ・ちゃんっ♪」」

「へ?……サーヤとリーゼ?…………あっ」


 そっか、コール(呼び出し)の魔法……確か(無理矢理)契約させられたんだっけ?


「なるほどな……ありがとう二人とも」

「いえいえ」

「気にしなくても良いのです」


 ……あれ?なんか二人とも機嫌が良いな……。妙に笑顔というか……


「ところでヨシノちゃん」

「ん、なんだ?」

「さっき、何でもするって」

「言ったのです!」

「……」


 …………聞こえなかったことには……出来ないですよねはいすいません。






『ピュィィ!!ピュィィィィィッ!!!』


「なんか怒ってない?あの鳥」

「まあ急に獲物がいなくなったから、取られたとでも思ってるんじゃないですか?」


 俺がサーヤとリーゼに助けられてから十分ほど、どうやら俺を探していたらしいボスモンスターの鳥が帰ってきた。つか鳥公、てめぇ俺のこと捨てたくせに何怒ってやがんだ。むしろ俺の方が怒ってるわ!


「まあいいぜ……焼き鳥にしてやるからそこでおとなしくしとけよ?」

「ヨシノちゃん、それフラグ」

「あ~あ~!聞こえない聞こえない」


『ピュィィィィ!』


 あちらさんはすでにやる気のようだが、戦う前には取りあえず鑑定だ。忘れちゃいけない。


――――――――――――――――――


スカイコンドル Lv.57


ウィンドコンドルの亜種。土の中に巣を作る変わった種族。


  HP : 1000/1000

  MP : 330/330

  STR : 151

  VIT : 78

  INT : 155

  MND : 129


――――――――――――――――――



 土の中なのにスカイ?訳わからん。


 まあそんなどうでも良い疑問は置いておいて、早速だが奴を焼き鳥にしてやろうと思う。


「跳躍っ!!」


 跳躍スキルを使い、一気にスカイコンドルに迫る。


「取りあえず空から引きずり下ろしてやる!強打!!!」


 ――ヒョイッ、パクッ


「……」


『ピュィィィィ!』


 躱された上に、またお持ち帰りされてしまいそうだ。だが……


「甘い、甘いぞ鳥公っ!!」


 さっきまでの俺とは違うのだよ!!


「こぼさず全部飲み込めよ?ガトリング十連発っ!!」


 ――ドゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!


『ピュギィィッ!?』


「オラオラオラオラァ!!!」


『ピギィィィ!?ピュギィ!!!』


 ドラゴン戦で手に入れたユニークアイテム、竜水晶の数珠のストックすべてを使いスカイコンドルの口内にガトリングを注ぎ込む。


「オラァ、これで最後だぁ!」


 ――ドゴゴゴゴゴンッ!!


『ピ――……ピギュゥ……』


 最後のガトリングを撃ち終えると、スカイコンドルが力なく地面に向かって落下していった。……もちろん俺も。


「……結局落ちるのかよぉぉぉぉぉぉ!!」







――――――――――――――――――


イベント : ダンジョン・緑の塔の調査 をクリアしました


称号 : 緑の塔踏破者 を獲得しました▼

  期間限定ダンジョン 緑の塔 を踏破した者達に与えられる称号。


  一部NPCの好感度上昇


アイテム : ??? を獲得しました▼

  ???


貢献ポイントに踏破ボーナスポイントが付与されました。


――――――――――――――――――



「はぁ、高所恐怖症になりそう……」

「あはは……元気出してください」

「まったく、情けないわねぇ」


 うるさいやい。俺のメンタルはガラスなの!


「まあまあ、今回はヨシノがMVPじゃからな。そういじめてやるでない」

「……MVPならサーヤとリーゼにあげてくれ。二人がいなかったら死に戻ってたからな」

「ヨシノちゃん……」

「それなら、コールを使おうと提案した私がMVPなのです」

「はぁ?実際にコールを使ったのは私じゃないですか!」

「何を言っているのです?ヨシノちゃんは私の前に召喚されたのですから、私が呼んだのです」

「いいえ、私の前でした!」

「私の前なのです!!」


 ああ、また始まってしまった……。余計なこと言っちゃったかなぁ……?


「「ヨシノちゃん!」」

「え!?あ、はい?」

「「どっちのコールに応じたのです(か)!?」」

「え、ええっと……」


 わかるわけないだろぉぉぉぉぉぉ!?


「ど、どっちも……かな?」

「ヨシノちゃん、怒りますよ?」

「逃げないでくださいなのです!」


 無理ですよねぇ。仕方ない、姉さんかメノウに助け船を出してもらおう……。あれ?二人ともどこ行った?


「みんな~、ちょっとこっちきて~!」


 部屋の入り口の辺りから姉の声が聞こえてきた。どうしたんだろう?






「これを見てちょうだい」

「これは……」


 やってきたのは部屋の入り口、つまりスカイコンドルに地面から攻撃されて穴があいた場所だ。


「下の方にうっすらと光る苔が見えない?」

「確かに……ってことは」

「隠し部屋、なのです?」

「おそらくそうじゃな」

「おお!早速行ってみようぜ」


 というわけで、あらかじめ買っておいた長めのロープを引っかけて垂らし、それを伝って降りる。


 穴の中を降りきると少し大きめの空洞があり、そこにはスカイコンドルの巣らしき物があった。


「……巣意外には何もなさそうだな」

「そうみたいじゃな」

「これ、卵……ですよね?」

「そうみたいね」


 巣の中には、スカイコンドルの卵らしき物があった。


「触ってみるか……」



 ピコンッ


――――――――――――――――――


アイテム : スカイコンドルの卵(☆☆☆☆☆☆☆) を獲得しました▼

  巣が見つけにくいため、滅多に手に入らない幻の食材。取引最低価格は200万Gを超える。


――――――――――――――――――



「……食材かよ!?」

「つまり、孵化できない?」

「みたいだな……」

「なぁんだ、つまんないの」

「まあまあ、もしモンスターが孵化してもスキルがなくてテイム出来ないじゃないですか」

「それはそうだけどぉ……」


 まあ俺にとってはラッキーなんだが……。


「取りあえず今日ももう遅いし、ここら辺でお開きにしておこうぜ」

「それもそうじゃな」

「じゃあ解散!また明日ね~」

「おつかれさまです」

「なのです~」


 ふぅ~……今日は疲れたなぁ……。


 ――ガシッ


「へ?」

「「……(ニコニコ)」」


 サーヤとリーゼが俺の腕をつかんできた。しか~し!俺はもうログアウト画面を開いている!逃げるが勝ち、ってね!















































 もちろんログアウトした後、綾が部屋にやってきていろいろとめんどくさいことになったのは言うまでも無い。




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