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Ancient Alchemist Online  作者: はむだんご
一章
21/39

1-21




『これより全プレイヤー参加型の公式イベント : 期間限定ダンジョンの調査 を開始いたします。集計期間は現在から現実時間で一週間後までです』



 ピコンッ


――――――――――――――――――


マップの一部が変化しました

※一時的なものです


――――――――――――――――――



 ピコンッ


――――――――――――――――――


モンスターの生息地が変化しました

※一時的なものです


――――――――――――――――――



 ピコンッ


――――――――――――――――――


貢献ポイントが獲得できるようになりました


――――――――――――――――――







「始まったな」

「ええ!」


 風見鶏のパーティーが解放イベントをクリアしてから一週間、ついに公式イベントが始まった。あれから俺たちはレベル上げに勤しんだおかげで、全員上級ジョブのレベルが30前後になった。ちなみに現在確認されている最高レベルは上級ジョブLv.17らしいので、かなりの差を付けることが出来ている。


「よし、皆!早速ダンジョンに向かうわよ!スタートダッシュが肝心!」

「「「「おお~!!」」」」


 …………。


「……で、ダンジョンってどこにあんの?」

「さあ?」

「Oh……」


 目的地もわからないのにどこに向かうっていうんですかねぇ?


「あ、メニュー画面のマップにのってるみたいですよ」

「ナイスだサーヤ!」

「ふふん、ご褒美に新作料理をプレゼントしてくれてもいいんですよ?」

「考えておこう」

「イエスッ!」

「……がめついのです(ボソッ)」

「何か言いました?」

「なんでもないのです~」


 リーゼさん、聞こえてますよ?


「それで、最初はどこにするのじゃ?」

「う~ん……緑の塔ね」

「まあ、そこが一番無難かな?」


 今回出現したダンジョンは四つ。赤の塔、青の塔、緑の塔、黄の塔だ。名前からある程度推測できるように、赤の塔は火属性、青の塔は水属性、緑の塔は風属性、黄の塔は土属性の敵が出てくるようだ。


 で、なぜ緑の塔を最初の目的地に選んだかというと、俺と姉とメノウは全属性の魔法を使えるが、元神官のサーヤとリーゼは光属性と火属性しか使えない。なので、全員使える火属性に弱い敵が出てくる緑の塔を選んだ、というわけだ。


「それはいいんですけど、作った生産品はまだ売らなくていいんですか?」

「ええ、売るなら明日からね。他の生産組が在庫切れてきた辺りを狙うわ」

「なるほど」


 未だに需要と供給が釣り合っていないため、明日になればほとんどの生産品は品薄状態となり生産者は仕事に追われることになる。そうなると、値上がりしたり購入制限が厳しくなったりする。そこに品質そこそこ、購入制限もほとんど無いような商品が大量にあったなら、プレイヤー達は皆飛びついてくるだろう。そうして他の店から客をかっ攫う寸法らしいのだが……


「……本当にうまくいくのか?」

「大丈夫よ!私を信じなさい!」


 不安しかないのですがそれは……。






~ ダンジョン・緑の塔(1F) ~


「全然人いないですね……」

「まあ無理もないんじゃないか?王都からここまで、かなり遠いし」


 ここ緑の塔は王都の東方面、つまりイベントが始まるまで頑張ってレベル上げをした場所、エリアⅣの山にある。エリアⅣの適正レベルは上級ジョブLv.20前後なので、ここに来ることが出来るプレイヤーはごくわずかのトッププレイヤーのみだろう。しかもこの塔は、山のかなり奥の方に位置しているのでここに来るまでにかなりの消耗を受けることになる。そうなるとわかっているなら必然と他の場所を選ぶだろう。


「まあその方が好都合じゃろう。あまり他のプレイヤーに戦闘を見られたくないしの」

「そんなに嫌か……?」

「当たり前じゃろう!我らの正体は決してばれてはいかんのじゃぞ!?」

「その通りよ!」


 いつからそんなに重たいものになっていたんだ……。


「そういえばこの前は危なかったわね」

「おお、あのときの風見鶏の連中か……。まあ、NPCと勘違いしてそうじゃったし、心配はいらんじゃろう」

「そうね」


『キィィィィィッ!!!』


「おわっ!?」

「きゃあっ!……あ、危ないのです」

「鳥……ですかね?……って、リーゼさん!何どさくさに紛れてヨシノちゃんの腕にしがみついてるんですか!?」

「ワー、リーゼコワーイ、ナノデスー」

「……」


 あの……動けないんですがリーゼさん?


『キィ!キィィィ!』


「ふぁいあぼー!なのじゃ」


 ――ドォォォンッ!


 メノウのファイアーボールが鳥にヒットした!鳥は跡形もなく消し飛んだ!


「え、弱……」

「鑑定したけど、レベル7しかなかったわよ」


 マジかよ!?エリアⅣにあるから敵も強いんじゃないかなぁ、とか身構えてたけど、そんなの関係なく一階層は弱いらしい。


「ぷっ、雑魚に怯えるなんて……ぷぷー」

「……」


 ――ゲシッ


「ちょっ、何するんですか!?」

「うるさいのですチビ」

「なっ!?誰がチビですかこの貧乳!」

「……サーヤちゃん、あなたは言ってはいけないことを言ったのです……。私を怒らせたこと、後悔するといいのです!!」

「はいはいストップだ二人とも、喧嘩してないで先進むぞ」


 二人とも、俺が止めないとずっと喧嘩し続けるからなぁ……。あ、リーゼは貧乳じゃないよ?少なくとも背中に当たってフニョンッ、ってなるくらいにはあるからね!……まあサーヤと比べたらひん――


「……あの、痛いんですがリーゼさん?」

「今変なこと考えてたのです?」

「いえいえそんなことありませんとも、はい」

「それならいいのです」


 ……女の勘ってコワイなぁ






~ ダンジョン・緑の塔(12F) ~


『キィィィ――ィ――……』


「ふう、だいぶ手強くなってきたわねぇ……」

「だな」


 一階層からかなりスムーズに来て現在十二階層。これまでに確認できた敵モンスターはウィンドバードと、その亜種であるレアモンスター、エメラルドバードのみだ。ちなみに今倒したモンスターのステータスはこんな感じ。


――――――――――――――――――


エメラルドバード Lv.49


ウィンドバードの亜種。翼はまるで本物の宝石のように美しい。


  HP : 150/150

  MP : 89/89

  STR : 131

  VIT : 54

  INT : 144

  MND : 103


――――――――――――――――――



 え、ドラゴンよりステータス低いくせになんで苦戦してるのかって?それは違う。やつはドラゴンではない、ただの的だ(キリッ)!……はいすいません。


 だってこいつら飛ぶしすばしっこいし!おまえはハエか!って言いたい。魔法撃っても躱されるわ跳躍して殴りに行ってもやっぱり躱されるわ……。あんなクソドラゴンとは訳が違うのだ。


「そういえば、このダンジョンって何階層まであるのかしら……?」

「う~む……まあこの感じじゃと十五階層か二十階層くらいまでじゃないかのぅ」

「ちなみに今確認されてる最高階層は九階層ですね」

「う~ん……。イベント期間中に攻略出来るかしら……?」

「十五階層くらいならなんとかなるじゃろうがなぁ……」


 このまま進めば、十五階層のボスはレベル60前後と予想がつく。もしそうであれば今の俺たちならなんとか倒せるだろう。しかし、二十階層まであるとなると期間中の攻略は絶望的だ。


「あ、階段見つけたのです!」

「おお、ナイスじゃリーゼ!」


 まあどこまであるかなんて、見に行けばいい話だよな。






~ ダンジョン・緑の塔(13F) ~


「あれ?」

「ボス部屋……なのです?」


 リーゼが見つけた階段を上がってすぐ、今までの扉とは違った派手で豪華な扉があった。


「なぁんだ、ここで終わりのようね」

「みたいですね」


 どうやらここが最後の階層のようだ。まさか速攻で最終階層がわかるとはな……。


「どうする?このまま戦うか?」

「う~む……昼からぶっ続けでやっておるから、いったん休憩を挟むのも良いかもしれんぞ。ていうか休みたいのじゃ」

「っと、もうこんな時間なのか……」


 現在の時刻は18:20。そろそろ夕飯の支度をしないとまずい。


「じゃあ休憩を挟んで、続きは20:00くらいからでいいか?」

「うむ、それで構わないのじゃ」

「私も異論なしなのです!」


 どうやら問題はなさそうなので、階層登録をしてからいったんログアウトすることになった。




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