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Ancient Alchemist Online  作者: はむだんご
一章
2/39

1-2




「ではチュートリアルを開始させていただきます」


 カレンがそう言うと真っ白だった景色ががらっと入れ替わり、一面緑色の草原で覆われていた。


「ではまずはSP(スキルポイント)を消費してスキルを獲得しましょう」


 ステータスを開くと……




――――――――――――――――――


名前 : ヨシノ

種族 : 狐人族

性別 : 女

ジョブ1(メイン) : 魔法師 Lv.1/30

ジョブ2(サブ) : ※未解放

ジョブ3(サブ) : ※未解放

アーツ : なし

魔法 : なし

スキル : なし

SP : 10

獲得可能スキル一覧▼

<杖術 Lv.1/30><火魔法 Lv.1/30><水魔法 Lv.1/30><風魔法 Lv.1/30><土魔法 Lv.1/30>

加護 : なし

称号 : なし


HP : 20/20

MP : 30/30

AP(アーツポイント) : 200/200

STR(攻撃力) : 8

VIT(防御力) : 6

INT(賢さ) : 14

MND(精神力) : 12


――――――――――――――――――



 あれ、なんかいろいろ増えてる……。


「ステータスを開きましたね?では試しにSP1を消費して<杖術 Lv.1/30>を獲得してみましょう」


 言われたとおりにやってみる。すると……



 ピコンッ


――――――――――――――――――


<杖術 Lv.1/30>を獲得しました。

アーツ : <強打>を獲得しました。


<強打>▼

  杖による強力な打撃攻撃(消費AP : 20)


――――――――――――――――――



「出来ましたか?では早速ですが戦闘を行ってみましょう」


 地面が黒く光り、出てきたのは緑色の小人のような魔物。おなじみのゴブリン様だ。


「貸し出し用の杖をお渡ししますので、いろいろ試してみてください」

「わかった」


 どうやらこのゴブリンは動かないようなのでとりあえず普通に殴って見る。すると殴ったところから5という数字が見えた。おそらくこれがゴブリンに与えたダメージなのだろう。


 次に<強打>を使ってみる。アーツの使用は頭の中で使いたいと念じるだけでいいらしいが、たまに失敗する。声を出すと確実に発動するようだ。


 攻撃が当たり10という数字が見えた。単純に考えれば2倍の攻撃になっているがそう簡単な計算ではないだろう。あと、通常攻撃を一発当てるとAPが2回復するらしい。さらに1秒に1AP自然回復もするようだ。


何回か通常攻撃とアーツをゴブリンが塵のようになって消えていった。ドロップは直接アイテムボックスに入れられるらしいが今回はなさそうだ。


 「お疲れ様です。スキルレベルを上げると使用できるアーツや魔法もどんどん増えるので是非頑張ってくださいね!ちなみに魔法も消費するのがMPというだけで、アーツと同じように使用できます。ただし、上級以上の魔法は詠唱を必要としますのでご注意ください。以上でチュートリアル終了です。報酬として初心者用冒険セットをお送りします。サービス開始までしばらくお待ちください。それではまたお会いしましょう!」



ピコンッ


――――――――――――――――――


<初心者用冒険セット(魔法師)>を入手しました。


<初心者用冒険セット(魔法師)>▼

  ・魔法師見習いの服(上)

  ・魔法師見習いの服(下)

  ・魔法師見習いの靴

  ・魔法師見習いのローブ

  ・魔法師見習いの杖

  ・HPポーション × 3

  ・MPポーション × 3

  ・10000G


――――――――――――――――――



 初心者用冒険セットの獲得画面を最後に意識が現実へと引き戻されていく。





「ふぅ~……お、あんまり疲れてない。さすが最新型だな」


 向こうでは体感1時間くらい居たがこちらでは20分しかたっていない。相変わらず謎技術だ……。ゲームギアを片付け、リビングに戻るとすでに姉がくつろいでいた。


「遅かったわね芳人ちゃん」

「そりゃぁ、βテストの時のアバターがある姉さんよりかは遅いに決まってるだろ?」

「それにしてもよ。何かあったの?」

「……聞かないでくれ」

「そう?あ、それより芳人ちゃ」


 ―――― ピンポーン……ピンポンピンポンピンポンピンポーン


 姉が何かを話そうとすると、インターフォンの連打音が聞こえてくる。おそらく俺たちの幼馴染の桜島綾(さくらしま あや)だろう。そもそもこんなインターフォンの鳴らし方をするのは綾くらいのものだ。二人で玄関に向かい、扉を開けると案の定、綾が立っていた ――― 見たことのある段ボール箱を持って。


「ちょっと二人とも、これどういうことですか!?とんでもないものが届いたんですけど!?」

「プレゼントよ!……ただのゲームギアじゃない」


 と宣う俺の姉。どうやら綾の分も買っていたらしい。ちょっとおかしいんじゃないですかねぇ?ちょっとどころじゃなくかなり。


「プレゼントって……一個何十万もするようなものが子供同士のプレゼントなわけないじゃないですか!おかしいですよ!!」


 もっと言ってやってほしい。


「そうかしら?まあいいじゃない、一緒にゲームやりましょう!」

「いいわけな…………はぁ。あなたに何を言っても無駄なんでしょうね……」

「そうそう、物わかりのいい綾ちゃんは大好きよ!」


 俺の時と同じようなやりとりをして言いくるめた(?)姉、相変わらず暴君である。


「まあまあ綾、買っちゃったものはしょうがないし一緒にやろうぜ?」

「ま、まあ、芳人君がそういうの…なら……」

「綾ちゃんってば、相変わらず芳人ちゃんには弱いわねぇ」

「麻衣ちゃんうるさいです」

「にしし」


 姉がなんかにやにやしている。よくわからん……。

 

 綾とフレンドコードの交換やちょっとした雑談を終えると帰って行った。





 翌朝、8時に目を覚まし、シャーっとカーテンをあけて日差しを浴びる。うむ、今日もいい天気だ。十分に日差しを浴びたら隣の姉の部屋へ行く。扉を開けると姉は掛け布団を床に落とし、腹を出して寝ていた。ちなみに掛け布団がベットの上に残っていることは稀である。今日で23日連続記録を更新だ。いい加減寝相を直してほしいものである。


「姉さん、朝だ。起きろ~」

「ん……んうぅ……あと24時間……」

「そんなに寝たら AAO のスタートダッシュ遅れるぞ。さっさと起きろ!」

「はっ!そうだった、今何時!?」

「朝の8時だ。サービス開始は13時からだからまだ余裕はあるぞ」

「なんだぁそんじゃもう一眠り……」

「させるか!ごはん作るからリビングで待ってろ」

「ちぇ」


 なにがちぇだ。ほっとけば一日中寝ているからわざわざ起こしに来てやっているのにこの愚姉は……。


「あ、そうだ芳人ちゃん。久々に稽古つけてあげよっか?」


 にやにやとしながらそう言ってきた。この顔されるとすっごくムカついてくるんだよなぁ……。


「……わかった。道場に行こう」

「お、やる気だねぇ」

「そのにやついた顔今日こそぐしゃぐしゃにしてやる!」


 稽古というのは格闘術の稽古のことだ。うちの祖父と父は幼い頃からやっていたらしく、俺も男の子だということで祖父に教えられていた。途中から姉もやりたいと言って混ざりだしたのだが、たった1週間で抜かれてしまった。姉が参加する前には祖父や父を圧倒できていたし、天才だのなんだの言われていたので余計にへこんだ。祖父曰く「おぬしの姉は才能のお化けじゃな!カッカッカ!」だそうだ。いや笑い事じゃねぇよ!と、当時は思ったものだ。そんなこともあって家の道場でひたすら稽古に打ち込んだ。もちろん今でも毎日やっている。やってはいるのだが……





「ヤァ!!」

「グフォッ……」


 姉の腰の入った拳が俺の鳩尾に入り、一瞬息が出来なくなる。そしてノックダウン。


「ぐへぇ……」

「ふふん、成長したみたいだけどまだまだね!」

「畜生っ、理不尽だ……」


 もう理不尽の塊だ。もう姉に勝てるやつこの世に存在しないんじゃないの?これで勉強も全一なんだからいろいろとおかしい。俺たち双子なのに……。おらにも才能を分けてくれぇ~……。


「さ、朝ご飯にしましょ!」

「作るの俺なんだけど……」

「よろしく!」


 そんな文武両道なハイスペックな姉は、家事は苦手だ。料理を作らせればダークマターが出来上がるし、掃除をさせればかえって汚くなる。最近両親は仕事で海外を飛び回りなかなか帰ってこれないため、必然的に家事全般は俺の担当になる。最初は綾の家でご馳走になっていたのだが、手伝っているうちに自然と覚えたのだ。今ではおいしい料理を作るのが趣味になっていたりする。


「はい、チーズカレートースト」

「うひょぉぉ、今日のもおいしいそうね!いただきまーす」

「はいはい、どうぞ」

「んぐんぐ……うまぁぁぁぁい!お店出せるわよ芳人ちゃん!」

「こんな簡単な料理で大げさな……」


 まあおいしいと言ってくれるのは作った甲斐があるあるというものだ。








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