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「あ、そういえばエフェクトのこと調べるの忘れてたな」
イグニッションのオリジナル魔法を作ってから、他にもいくつかの魔法を作り貸し出し終了まで残り30分、今まで調べられなかったエフェクトの効果を確認し忘れていたことを思い出した。
「エフェクトって確か普通の攻撃にプラスして、見栄えを変えるんだっけ?取り敢えず試してみるか」
試しに先ほど作ったイグニッションの魔法に桜吹雪のエフェクトをつけて、発動したみる。
すると、バァン!という音をたてながら辺り一面を爆発させたあとに、回りがピンク色に埋め尽くされるほどの桜の花弁が爆風によってうずを巻きながら上空に舞い上がり、とてもきれいだった。うん、きれいだった。思わず見とれていた。……でもな?
「本当にきれいなだけじゃねぇかよぉぉぉぉぉぉい!!」
ゴミじゃねぇか!昇格したんじゃなかったのか!?まさか舞い上がる花弁が増えただけとかじゃねぇよな!?
「いや、花弁が多いから目眩ましには使えるのか……?PvPなら有効かも知れんが……」
はぁ、こんなことなら使わなきゃよかった。一応見た目はきれいだし、そういうのが好きな人なら50万Gくらいで買ってくれたかもしれない。
「まあ、今さら悔やんでも仕方ないんだけど……ん?」
あれ、この画面スクロール出来るの!?
適当に画面を触っていたら、どうやらスクロール出来るらしく、通常アーツパーツ、通常マジックパーツ、アーツパーツ、マジックパーツ、解放パーツと上から順番に並んでいる目次の下、画面からちょうど溢れるところに"特殊パーツ"という文字があった。
「……そういう意地悪はやめてくれないか?」
特殊パーツのページを開くと、一つだけ"[特殊]桜吹雪"とあった。絶対意図的だろこれ。スクロールが出来る、と分かりやすく枠で囲ったり、よくウェブサイトなんかで見かける右や下にあるあれも表示されていないのだ。いくらなんでも不親切過ぎるだろ。
「……まあいいか、ここの運営頭おかしいらしいし。いちいち目くじらたてていたらキリがない」
そんなことより早く効果を確認しないと。退室まであと15分しかない。
「ん?通常魔法を選択するのか?」
[特殊]桜吹雪 を選択して出てきたのはエフェクトの時にはなかった、「通常魔法を選択してください」というメッセージだった。
「う~ん、じゃあよく使うファイアーボールで」
ファイアーボールで決定すると、始点、威力、速度、詠唱、効果範囲の項目が出てきた。どうやら大きさは変化できないかわりに、効果範囲を決めれるらしい。円形や直線はもちろん、ウニョウニョとした複雑なものでもいいらしく、自由にカスタマイズ出来るようだ。
「よし、じゃあ始点は杖の先、威力と速度は最大、詠唱はもちろん一番長くして、効果範囲は直線5mにしよう」
どうやらこれで完成のようだ。
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オリジナル : 魔法名を入力してください
威力 : 20
効果範囲 : 直線(5m)
消費MP : 15
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「う~ん、これだけじゃ効果がわからないな……取り敢えず撃ってみるか」
試し撃ち用の案山子に向かって、新しく作った魔法を発動する。すると、杖の先から、まるで突風が吹いているかのような勢いで桜の花弁が真っ直ぐ飛んでいき、案山子に当たり、爆発してダメージを与えた。
「ああ!なるほど、そういうことか」
どうやらこの桜吹雪は魔法をのせることが出来るようで、最初に通常魔法を選択させられたのはそのためだったらしい。威力は、一枚一枚はファイアーボールよりも劣るが、その分数で補えるようで、半分も当てれば元をとれそうだ。
え、めっちゃ使えるやんこれ!?さっきゴミとか言ってホンマすいませんでしたっ!!
「よし、魔法名はガトリングだ!」
え、見た目のきれいさと名前のギャップが激しいって?……いいじゃんカッコいいじゃんじゃん。
~ エリアIII(森林) ~
「な!?そ、それってつまり、エフェクトに通常魔法をのせることが出来るということかの!?一枚一枚に!?」
「あ、ああ、そうらしいぞ」
俺達は魔法を作ったあと家を探す予定だったが、皆実戦で試したいらしく、予定を変更して王都の北の森に来ていた。
「う~む……エフェクトが昇格するとそんな効果が……」
「でも、そんなこと出来るのはヨシノちゃんぐらいなのです」
「そうじゃのう……エフェクトはほとんど非売品で、入手方法は宝箱くらいしかないからのう」
「しかも売ってるのは全部300万G以上ですからねぇ……」
そう、売っていたエフェクトは全て高価、しかも見た目がショボい。頑張ってお金をためて購入した人はあまりのショボさに文句を言うため、GMコールしまくったらしい。もちろん、無用なGMコールの多用は利用規約違反なため、アカウント停止されたようだが。
「それよりヨシノちゃん、聞きたいことがあるんだけど……」
「ん?なに?」
「なに?じゃないわよ!なによその両手に抱えている物は!」
「なにって……貢ぎ物だけど?」
「……」
「お、また来た。サンキュー」
『キュィ!』
「「「「……」」」」
そう!貢ぎ物だ!兎達からの。うん、ここはいいところだ毎日通おうなんなら毎時間通おう!!ああ、至福だ。俺はただ立っているだけ!いと素晴らしき。
「ヨシノちゃん、このままだと魔法を試せないんだけど……」
「お、奥の方にいったら兎達もいなくなるよきっと多分メイビー……」
「……」
ヤバい、姉の不機嫌ですよオーラが出てきた。何とかしないと……!
「……いや、称号を切ればいいだけでは?」
「あ」
あ…………
「ガトリング!」
――――ドガガガガガッ!!
『ギュィィ――――…………』
「「「「おお~」」」」
目の前に花弁が迫ってくるのに気付き、とっさに避けようとする角兎だが、避けきる前に一枚目の花弁が当たって仰け反ってしまい、そのまま被弾してしまった。
え、予想以上に強いんだけど!?体重の軽いモンスターなら一枚当たるだけで強制ノックバック、そこからズルズルと被弾してしまう。体重の重いモンスターは比較的大きく、当てやすいので目立った問題にはならない。唯一の弱点としては、MNDの高いモンスターには効果が薄いことだろう。
「チートね」
「チートですね」
「チートじゃな」
「チートなのです」
「ひどっ!?」
俺はチーターじゃないぞ!?え、存在が既にチート?そこ、黙りなさい?
「よし、試し撃ちも終わったことだし、王都に戻って拠点を探しましょう!」
「だな」
~ 王都ルブルム ~
「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用で?」
「拠点となる家を探している」
「なるほど。では、奥で詳しい話を伺いましょう」
不動産家に来た俺達を迎えてくれたのは老練の執事のようなおじいさんだった。片眼鏡がいい味を出している。
「それで、どのような物件をお求めで?」
「ええっと……5人が不自由なく生活できて生産活動が出来るところがいいですね」
「ふむ、でしたらここと……あとこことここあたりですかね」
「うっ」
全部3000万G以上の物件だ。さすがにこの条件だと高いか……
「もう少し安い物件はありませんか?」
「ふむ、具体的にはいかほどで?」
「そうですね……1000万Gほどですかね」
「ふむ、そうなるとめぼしいところは……ああ、そうだ。お客様達は冒険者のですか?」
「はい、そうです」
冒険者――――NPCは俺達プレイヤーのことをそう呼ぶのだ。
「でしたら一つだけ、1000万G……いや、800万Gほどでお売り出来る物件がございます」
「え!?本当ですか!?」
「ええ、ただし条件が1つあります。それは、その屋敷に巣くう魔物を退治していただきたいのです」
「その魔物っていうのは……」
「……ドラゴンです」
!?ドラゴン……だと!?
「行くしかないな」
「ええ、行くしかないわね!」
「はい」
「じゃな」
「なのです!」
「え!?ええっと、あの~……皆さん?」
「安心してください。ちゃんと俺たちが仕留めてきますので!」
「え、あ、ちょっと!?」
善は急げだ!待ってろよドラゴン!!
「……大丈夫でしょうか?」
室内には老人の声が、ただ寂しく響くだけだった。




