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Ancient Alchemist Online  作者: はむだんご
一章
11/39

1-11




 昼食を食べて再びログインした俺は、生産ギルドに向かった。前回と同じ個人スペースを5時間借りる。というわけで大量に手に入れた兎肉を料理しましょう!


 最初はもちろん串焼きだよね!で、出来たのがこれ。


――――――――――――――――――


角兎肉の串焼き(☆☆☆)▼

ホーンラビットの肉を塩を付けて焼いた串肉。固い。

  品質 : Aランク

  VIT+26%

  効果時間 : 4時間

(※現在、満腹度システムは実装されておりません)


――――――――――――――――――


 おお!バフ効果はロックラットの肉より高い。やはりレア度が関係しているようだ。


「かってぇ!」


 固いと書かれていたので試しに食べてみると、とても固かった。非常に食べにくい。


「煮込んだら食べられるか……?シチューでも作るか」


 固い肉は煮込めばなんとかなるだろうという憶測から、次はシチューを作ることにした。そうそう、来る途中に乳製品がいろいろと売っていたので財力にものを言わせて大人買いした(30万G)。後悔はしていない。


 なぜか置いてあった圧力鍋を使って野菜と一緒にコトコトと20分煮込む。でで、出来たのがこれ


――――――――――――――――――


角兎肉のシチュー(☆☆☆☆)▼

ホーンラビットの肉を使ったシチュー。とっても濃厚。

  品質 : Aランク

  VIT+30%

  効果時間 : 5時間

(※現在、満腹度システムは実装されておりません)


――――――――――――――――――


 ……まじか、レア度が上がった!手間をかければ良いものが出来るのかな?あぁ、こんなことなら熊さんの肉残しておけばよかったなぁ……。まあないものは仕方ないので取りあえずシチューの量産が決定した。






「ありがとうございました~」


 今回もギリギリ時間内に料理し終えた俺は暇を持て余していた。ちなみに料理人のレベルは18になった。


「リアルはまだ15:00か。う~ん、何しようかなぁ……あっ、そうだ。串焼き売るか」


 どうせ食べきれなくて余るしな。


「……いや待て、さすがにこんなに効果の高い料理がいきなり出たら面倒なことになりそうだな、ていうかなる」


 う~ん、姿とか隠せたらいけるか?こういうのは先輩に相談だな。というわけでβテスターであるメノウにフレンドコール。え?姉さんはって?あ~聞こえない聞こえない。


「もしもし、今ちょっといいか?」

『オッケーじゃよ』

「実はちょっと相談があってな……俺の作った料理を売りたいんだけど、どうしたら良いと思う?」

『う~む、……金には困っておらんのじゃろう?なら無理に売らなくてもよいのではないか?』

「確かに、それもそうか」

『まあ、もし売りたいなら王都に"怪しいローブ"という全身を隠せて声も変わるという服が売ってあるのじゃ。それを手に入れるまでは我慢した方がよいじゃろう』

「なるほど……そういうことなら売らないことにするよ、ありがとう」

『どういたしましてなのじゃ』


 さて、振り出しに戻ってしまった。ここで考えていても仕方ないし、適当にブラブラするか……。






「いらっしゃいお嬢ちゃん!この杖はどうだい?」

「う~ん、遠慮しておきます」


 今俺はプレイヤー達が開く露天の広場に来ている。いわゆるフリーマーケットと言うやつだ。まあ来たは良いものの、めぼしいものは何もなかった。いや、モンスターの肉は欲しかったので買い占めたが、それ以外がぶっちゃけひどい。


 まずはなんと言ってもポーションだ。プレイヤーメイドのポーションの回復効果は最大で10%だった。普通のポーションが15%なのにだ。それと値段がとにかく高騰していた。まあ俺たちは集団に突っ込まない限り被弾することはないし、回復役が二人いるので必要ないのだが……。


 次は料理だ。これもポーションに匹敵するくらいひどかった。とにかくまずいのだ。バフ効果も平均3%くらいだった。もちろん普通においしいものもあったが。本当に串焼き売らなくてよかった。ましてやシチューとか熊肉を売ったらとんでもないことになりそうだ……。


 あとは装備だ。ぶっちゃけNPCに頼んだ方が良いものを作ってもらえる。数は少ないがドロップした武器の方がもっといい。


 これは他の生産職を当てに出来そうにないなぁ。ぜひうちのメンバーには頑張っていただかないとな。とくにうちの姉はがさt


 ピコンッ


「うおっ!?」


 姉からのフレンドコールだ。まじで狙ってやってるだろ……心臓に悪いから止めていただきたい。


『ヨシノちゃん今大丈夫?』

「お、おう」

『フォレストベアーの皮でワンピースの上から着るローブ作ったから取りに来てね。じゃっ!』


 ……ほっ、気づかれなかったか。いや、普通は気づかれないよな、うん。うちの姉がたまにおかしいだけだよな、うん。







「おお、普通に強い」

「ふふん!そうでしょ~、わたし才能あるわ~」


 今俺は黒く染められたフード付きのローブを着ている。うん、まじで才能あると思う。ちなみに鑑定結果はこんな感じだ。


――――――――――――――――――


森熊のローブ(☆☆☆☆☆)▼

フォレストベアーの皮で作られたローブ。黒く染められており、闇夜に紛れることが可能。

  品質 : A

  VIT+25

  MND+20

  暗闇時隠密(微小)


――――――――――――――――――


 ちなみにフリマで売ってた一番良いローブはこんな感じだ


――――――――――――――――――


森熊のローブ(☆☆☆☆)▼

フォレストベアーの皮で作られたローブ。

  品質 : C

  VIT+12

  MND+10


――――――――――――――――――


 がさつとか思ってすいませんでした。いやほんとに。


「どうやったらほとんど育ってないスキルでこんなに良いのが出来るんだよ」

「ん~、普通にネットで作り方見ながらやっただけよ?」


 そんなん皆やってるだろ……。やっぱり才能なのか……。


「あ、これ皆の分よ」

「……渡してこいと?」

「どうせ暇なんでしょ?ついでに皆の様子見てきて。私はもう少しスキルレベル上げするから!」

「はいはい」


 ……まずはサーヤのところにでも行くか。






「ふぇ、ろーふれふか?」

「……取りあえず口に入れたやつは飲み込め」

「んぐんぐ……ごくん。そのローブは本当にマヤちゃんが作ったのですか?」

「信じられないかもしれないが事実だ」

「ほぇぇ……マヤちゃんやりますねぇ」

「いや、サーヤも一般プレイヤーからすれば十分すごいんだぞ?」

「そうなんですか?皆これくらいできそうですけど」


――――――――――――――――――


フォレストツリーの杖(☆☆☆☆)▼

フォレストツリーの木で作られた杖。非常に頑丈。

  品質 : B

  STR+15

  INT+15

  打撃時MP吸収+2


――――――――――――――――――


「いや、すごいよこれ。フリマで売ってたのは最高品質でDだったし。それに今使ってる赤骨杖より性能いいし」

「……マジですか」

「マジです」


 ……やばい、いやな予感がしてきた。






「ですよねぇ~~!!」

「わっ!ど、どうしたのです!?」


――――――――――――――――――


上級MPポーション+(☆☆☆☆☆)▼

  品質 : S

  MPを35%回復する


――――――――――――――――――


 うん、そんな気はしてました。でも品質Sはさすがに予想外ですよ。


「いや、品質Sて……」

「あ、あはは……調合と錬金を一緒に使ったらこんなことになったのです」

「なるほど、スキルの同時使用か……」


 それは盲点だったな。俺の料理も品質Sになるだろうか?そもそも料理と一緒に使うスキルってなんだろう?その辺は要検証だな。


「あ、そうそう。はいこれ」

「これは……ローブなのです?」

「ああ、姉さんからだ」

「ほえぇ、良い性能なのです!」


 どうやらお気に召していただけたようだ。






「もう驚かないぞ、うん」

「いや、そこは驚くところじゃろう!?」


――――――――――――――――――


もふもふイヤリング(☆☆☆☆)▼

兎の尻尾を模したイヤリング。もふもふ。

  品質 : B

  INT+5

  MND+5


――――――――――――――――――


「いや、確かにすごいけど……」

「けど?」

「これ見せられた後に驚けると思うか?」

「……すまなかったのじゃ」

「いえいえ」


 だよね。品質Sを見てしまったら何を見ても見劣りしてしまう。いや、品質Bでも十分すごいし、実質生産職最前線突っ走ってるのだが……。


「うちのパーティーの才能がコワイ……」

「……じゃな」


 いつの間にか生産、戦闘ともに最前線を頭一つ抜けて突っ走っていたのだった。






次回からは金曜日と月曜日の週2更新になります

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