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料理人ノボと奇跡の粉

作者: 無名良作


ここれはいつの時代なのか、わかりません!?


ある国に世界で一番と、言われる料理人がいました。


彼に料理の腕は、まさに神懸り的でした。


何しろ、、、


どんな食材でも美味しくしてしまうのです。


安い食材でも、高い食材でも、、、


それ以上のものは他の誰にも作ることは、かなわないだろうと言うくらい


・・・素材の味を引き出してしまうのです・・・

実は、彼には秘密がありました!


彼には、`奇跡のコナ‘と呼ばれる調味料があったのです。


彼の料理に憧れ、沢山の若者が弟子入りを


望みました。


しかし彼はかなりの偏屈者と言われていて、


めったに弟子を取ることは無かったのです。


仮に弟子を取ったとしても、みな直ぐに逃げ出してしまいます。


多くの者は、彼の‘奇跡のコナ‘が目的で


努力をせずに、手に入れようとする者ばかりだったからです。

こに一人の若者がいました。


名前を、ノボといいます。


ノボもまた、彼に弟子入りを望みました。


そのために、あらゆる努力をしました。


何度も何度も、彼の基に通いつめ


何度、玄関払いをされたかわかりませんでした。


その甲斐あって、ついに弟子入りを許されたのでした。


ところが弟子入りとは、言うものの何も教えてはもらえません。


ただひたすら、身の回りの雑用やお使い、彼の食事の準備が彼の仕事でした。


そんな毎日が、一年二年と続き、三年目のある日


ノボがいつもの様に彼の夕食を、作りました。


その時、初めて彼が言いました。


「ふむ!このまま少し、待っていなさい!」


・・・ノボが不思議そうな顔をしてテーブルの前で待っていると、彼が`奇跡のコナ‘を持ってきてノボの作った料理に、ほんの少しだけ振りかけたのです!・・・


ところが、どうでしょう!今までの味とはまったく違います。


ノボはビックリしました、そして改めて‘奇跡のコナ‘の凄さを思い知らされました。・・・


彼が続けて言いました、


「この粉をかけたときに今日とおなじ味がだせるようになったら、


このコナとコナの製法を教えてあげよう、いかに‘奇跡のコナと‘いえども


基の料理がまずくては美味しく為り様がないのだ。」


そういい残すと、彼は自分の仕事に戻っていきました。


正直なところ、少し挫折しかけていたノボでしたが


奇跡のコナの凄さを、身をもって体験したことで


改めて、決意をしたのでした。


「絶対にあのコナを手に入れたい!」そう腹に決めなおしたのです。


その日を境に、ノボは彼と同じ厨房に立つことを許されます。


毎日のように作り上げた料理の仕上げにノボはコナを振りましたが


中々あの時と同じ味にはなりません。


何度でも作り直し、何回も挑戦をしました。


それからさらに五年の月日が流れ、とうとうある日同じ味を出すことに


成功したのです。


5年間という歳月が流れるうちに、 


ノボは、色々な料理を学びました。


何人もの弟子が辞めていきました。


・・・「こんな師匠の基でやっていけない!」・・・


・・・「あいつは、えばりたいだけなんだ!」・・・


・・・「奇跡のコナがなければ、ただの変人だ!」・・・


 みんなさまざまな捨て台詞を残して、いなくなります。


 「ノボもさっさと辞めたほうがいいぞ! 


 奇跡のコナなんてペテンさ!」


 「あいつは、みんなを騙しているんだ!」


 ノボよりも少しだけ早く、彼の弟子に成った、兄弟子が言い残して


いなくなりました。」


 

 けれどもノボは、決して耳を貸しません!


あの日、奇跡のコナをかけた料理の味を


彼の舌は忘れていなかったのでした。


 でも、一度だけその味を、作ることに成功したものの


再び作り上げることができません!


 また何度も挑戦し、ノボが少しあきらめかけたある日のこと、、、


彼がまたノボの作った料理に奇跡のコナをパラパラと振りいれたのです。


・・・その料理を口にしたとき!まさに目から鱗が落ちる思いでした。


やはりまったく味が違います・・・


「何故?自分で粉を入れたときと師匠が入れたときでは、


こんなにも違いがあるのだろう?」


「やはりあのコナは、本物に違いない!」


・・・そう決意したノボには、もはや迷いはありません。・・・


 其れからさらに3年の月日が流れ、、、ついに!


何時でもあの味を、作ることができるような成ったのです。


 そして、ついにノボは独り立ちすることを許されたのです。



 このとき彼は、ノボにこう云いました。


「おめでとう!君はもう一人前だ。」


「約束どうり、奇跡のコナとコナの製法をあげよう。」


「只 コナの量は、十分にあるのだが、このコナの効力には

限りがある。」


「もしある日、粉を入れても味に納得ができないときが来たら、


そのときが、コナの効力が切れた証拠なので、その時に


この製法を記した封筒を開きなさい。」


「其れまでは絶対に中を見てはいけない!」


「そして、ここまでの努力を忘れてはならん!」


「約束せよ!!」


・・・そういい残すと、彼はいつものように自分のしごとに、


戻っていきました。・・・



 そして数年の歳月が流れ、、、


ノボは、国の中でもトップクラスの料理人として、


評価されるようになりました。


 しかし年月とともに、人の心は変化していくものです。


トップクラスの料理人として、もてはやされるうちに、


だんだんとノボは、傲慢になって行きます。


 何人もの従業員を、雇い自分の料理店も出しました。


が、、 もはや、努力することも忘れ、経済的にも恵まれるようになった


ノボは、弟子を育てることも無く日々を過ごしていました。


 彼{師匠}の訃報が入ったときも、従業員にお葬式にいかせ


自分で、行こうとはしませんでした。


 ところがある日、どうしても料理の味に納得がいきません!


・・・これは、ついにコナの効力が切れたのだ。・・・


 そう思ったノボは、封筒を開きます、中には一通の手紙が入っていました。


 手紙を読んでいくうちに、手紙にはには涙が、ポタリと落ちました。。


師匠に対する申し訳なさと、懐の深さに、そして自分のふがいなさに、、、


・・・手紙にはこう書かれていました・・・




  ‘親愛なるわが弟子ノボへ‘



 この手紙を開く頃に、もう私はこの世にいないかもしれない


10年後だろうか、20年後だろうか?


奇跡のコナなど存在しない!


料理の味を作り上げたのは、ノボの努力と向上心だ。


 一番初めにコナを使った料理に振りかけたのは、只の塩だ。


できのいい味だったが、ほんの少し塩味が足りなかった。


だが、味覚の鈍いものにはわからない、本当に微妙なものだったが


ノボは味が変わった!、、と判別できた。


その時ノボには料理の才能があると、見込んだ。


 これは、これは最初のテストだったのだ。


ここで味の違いがわからないものには、真実をを告げた。


 中には私のことをうそつき呼ばわりするものもいたが


他の生き方をしたほうが本人のためと思い、解雇した。


 次に、コナを振った時の料理には、微妙にコクが足りなかった


振りかけたのは、砂糖だ、ほんのわずかな量だったがノボは


この時も味の違いを感じ取った。


その他のときのコナは、只の小麦粉、そしてノボは、


自分の力で、私と同じレベルまで上がってきたのだ。


そして、、、手紙を開いたという事は味に納得がいかなくなったわけだね。


おめでとう!君の腕前は、師匠である私を超えたのだ。


 さらに、努力をしてすばらしい料理人になってもらいたい。


そして、多く弟子を育ててもらいたい。


其れが私への恩返しと思ってもらえればこんなに嬉しいことはない。


 只、ひとつ心残りがあるとすれば私の腕を超えたノボの料理を

食べることができないことである。



                  ノボを育てた料理人より





・・・ノボは手紙を読み終えると、涙がおちないように上を向いて、

  天国の師匠に届くように叫びました・・・



   「師匠、このコナは本物です!本当に奇跡のコナです!!」

   

  「私の歪んでしまった、料理人としての魂まで変えてくださいました!!」、



    こうしてノボは初心に帰りさらに努力を重ね

         彼を超える料理人になったそうです。

                    



                              おわり

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― 新着の感想 ―
[良い点] 独特の世界感があって良かったです! 私もこちらでお話を書かせて頂いていますが、なかなか独自の世界観を演出出来なくて苦労しています… これからも執筆活動をぜひ頑張ってください!
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