子供の魔法
「ところで、ソーマはきょう一日何をするの?」
その言葉に少し戸惑う。考えてもみればすることがない。どうやらここは異世界らしいが、俺はここのことを何も知らない。よく考えてから答えを出す。
「この辺の街を適当に歩き回ってみるよ。」
「夕飯はいる?」
「ああ。そのくらいの時間にはかえって来るよ。」
「了解。気を付けて行ってきてね。」
バスティートを出てから、適当に歩いていると広場のような空間に出た。そこでは、10歳くらいの子供たちが5,6人で遊んでいるように見えた。子供は元気だな、と微笑ましい気持ちで見ていると、少年の「いっけー!ファイアーボール!!」という声とともに少年の手からこぶしほどの大きさの火球が出てきたことで表情が凍り付く。注意を促す間もなく、その火球は友だちであろう少女の元へ飛んでいく。俺が動けずに呆然としている間にもどんどん火球は少女に近づく。もうだめだ、と思ったその時「ウォーターウォール」少女が叫んだと思ったら火球と少女の間に水の壁が生まれた。
「は??」
驚きすぎて何も言えない。そして水の壁に突っ込むと思われた火球が少年の「まだまだぁ!」という声と共に軌道を変え、壁を避けて少女の元へ行く。勝負がついたと思ったのか少年は勝ち誇った顔をしている。すると少女は「甘いわね」そういって両手を突き出すと「ウォーターボール」いつの間にか消えていた水の壁の向こう側にいた少女の両手から小さな水球が2つ生まれる。そして、1つめは少年の火球にあたり、相殺する。どう見ても火球の方が大きかったにも関わらず、あっさり消されてしまっていた。2つめの水球がどうなったのか見てみると、油断していた少年の顔面に見事に炸裂していた。
我に返った俺はどうすればいいか悩む。思わず見入ってしまったが、この子たちは何をしていたんだ?喧嘩にしては皆楽しそうだしほかの子たちは観戦している。止めないのか?しかもこの子達炎や水どっから出した?
そんなことを考えていると俺の存在に気づいたらしい、闘っていた少女が声をかけてくる。
「お兄さん、そこで何してるの?」
悪いことをしていたわけではないのに妙な罪悪感を感じて黙っていると、それを聞こえなかったと解釈したのか大きな声でもう一度言われた。次は黙っているわけにもいかず、かといって、とくに何かをしていたわけでもなかったので逆に聞いてみた。
「君たちこそそこで何やってるの?」
するとほかの子供たちも一斉に俺の方を見る。少女は不思議そうな顔で答える。
「見てわかんない?魔法の練習だよ。」
魔法!?魔法なんてものがやっぱりあるのか。
「こんなところで魔法使って友だちと戦うなんて危なくないの?」
「お兄さんなに言ってるの?手加減してるにきまってるじゃん。しかも今は詠唱省略の練習してるからあんまり威力でないし。」
すると今度は見ていた子供たちのうちの1人が
「僕たちシェルリーだよ。お兄さんこそ勝手にこんなところまではいってきたら危ないんじゃない?」
「シェルリー?何それ」