提案
「んで、お前は個人とはいえ人間の中でも最高ランクのシェルリーの連中相手に勝ったと。」
訝しむような顔をしてオリが言う。
「そういえばさっきランクがどうのとか言ってたけどどういうものなんだ?」
「ホント不思議なんだが、これは種族関係なくあるらしいんだよな。人間も、魔法にランクってあるだろ?階級だったっけ?それがどこまで使えるかとか、元々の魔力量とかレベル、倒した相手、経験値とかそういうの全部ひっくるめて自動的につくらしいぜ。」
「自動的にってそんなの誰が決めるんだよ?しかもどうやったらわかるんだ?」
「あたしだってそんなもん知らねえよ。ああ、でもステータスから確認できるぜ。」
そういえば、ポエルにいた時以来見てないんだっけ。
前と同じように《ステータス》と頭の中で念じてみる。
名前:蒼真
レベル:574
種族:使徒
HP:289900/289900
MP:689700/689700
魔法:無・水・氷・雷・風・土・炎・闇・光
属性階級:無・特級
水・特級 氷・特級 雷・特級
風・特級 土・特級 炎・特級
闇・特級 光・特級
魔法系統:無・学習/絶対の障壁/無効化
所持アイテム:精霊の核×4
収納ポーチ(レベルMAX)
装備:漆黒のローブ・シャルロのセーター・ジャブレの靴・ホーリーリング
経験値:1998100908058090952
所持金:6534983279
ランク:エラー
フレンドリスト:==============================
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もうフレンドリストとか文字化けですらない。解読不能。しかもランク:エラーってなんだよ。
俺の様子が相当おかしかったのか「どうしたんだよ」とオリが話しかけてくる。これは正直に言った方がいいのか言わない方がいいのか。
俺が何かを迷ってるのに気付いたのかシャルムが提案する。
「お前に人に言えない秘密があることもいろんな事情があることもわかった。じゃあこうしないか?あたしたち二人から5つ質問をする。その質問が何であれ、お前は絶対に答えなければならない。その代り、その質問以外は余計な詮索はしないし、あたしたちはお前の言うことを何か一つきく。もし、質問の答えがお前自身にもわからない場合はカウントされない。どうしても答えられないものは3つまでパスできる。どうだ?」
「それってあまりにも俺に不利じゃね?質問5つとか、パス3つしかないとか。それに対して俺がお前らに要求できるのは1つだろ?」
「何言ってんだよ。あたしたちはお前の質問にはほとんど全部答えたじゃないか。それにあたしたちは2人で5つだがお前はあたしたちに別々の要求をしてもいいんだぞ?しかもあたしたちは質問しかしないがお前は要求ができるんだ。」
確かに。俺は散々いろんな質問に答えてもらったし教えてもらった。 よく考えてみれば俺の方がかなり分がある。そしてこいつらは俺が嘘をつくなんてことは考えないのか?答えたくない質問はパスじゃなくて分からないにすればカウントされずに済むのに。俺はそのまま尋ねる。
「お前は私たちに嘘をつくのか?まああたしたちはつかれたって分からない。まあそんな奴を選んでしまったあたしたちに人を見る目がなかったと潔く諦めるまでさ。」
シャルムの言葉に言い返せない。別に元々嘘を言うつもりがあったわけではないのに何故か少し後ろめたくなる。
「なあ、シャルム。どっちが質問する?」
オリの言葉に、シャルムは笑って「2つずつでいいんじゃないか?」と答える。
「じゃああと1個は?」
「ジャンケンでいいんじゃねえか?」
「よし!」
結局シャルムが勝ったようだが「こいつら適当だな。」という思いが頭をよぎった。
「じゃあまずはあたしからいくとしようか。」




