ここ何処?
小さな女の子の声がして目を開けると視界に入ったのは真っ白な天井、ではなかった。確かに白いけどそれはどこまでも白く、終わりが見えない。そしてやけに軽い身体に気づく。飛び起きると、身体に何か変化があるわけでもなく周りを見渡せばそこは何もないただ真っ白な世界で戸惑う。俺ってトラックに轢かれたんじゃなかったけ。
「ここは私の部屋。あなたの意識だけ、いったんここに呼び寄せたの。」
隣から聞こえた声に驚くとそこには水色のワンピースを着たかわいい女の子がいた。
「とうとう時がきてしまったの。本当は私にはあなたに頼む権利なんてないけど、もう私にはあなたしかいないの。」
???この子が何を言っているのか俺には理解できなかった。
「その顔を見るとやっぱり何もわかってないのね。」
悲しそうな顔をした少女は俯いて何か考えているようだった。何か言わないといけない気がして必死に考えた結果俺に思い付いたのは陳腐な一言だけだった。
「君の名前は?」
その少女は驚いた顔をして、次の瞬間には綺麗な笑顔でこう言った。
「ルナ。私はルナだよ。やっぱりソーマはソーマだったんだね。」
またよくわからないことを言った少女は人差し指でトンッと僕の額をつつき
「あなたをアポルに送るわ。相棒に頼りない。ヴェルドの森に行くときっと彼に会えるから。それをまだ身に着けているのなら・・・」
つぶやいた瞬間俺の体は温かい光に包まれて俺の意識は再びシャットアウトした。
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気が付いた俺は巨大な門のようなものの前に突っ立ていた。門の向こうには街のようなものが見えたため中に入ってみる。街は異様ににぎわっていて少し戸惑う。
「ここどこだよ。どう見たって東京じゃないよな。」
そう。ここはどうみても住み慣れた自分の街ではなかった。ふと前を通った話しかけやすそうなおばさんに聞いてみる。
「すみません。ここ、どこですか?」
そのおばさんは奇妙なものを見たような眼を俺に向け意味が分からないといった様子で口を開く。
「$#%$&$%#”#!」
聞き覚えのない言語で返答される。俺はこんな言語なんて知らないし聞いたこともない。それなのに何故かわかってしまう。
この人はきっとこう言った。
「あなたが何を言ってるのかわからない」と。
そして俺の口から無意識に出た言葉は俺が知っている言語ではなかった。
「%#%#$% *%$&**#$%(すみません。ここがどこか聞いたんです)」
「ああ。旅人さん?この街を知らないなんて、いったいどこから来たの?」
何故こんな言語を俺は理解して話すことができているんだ。確かに俺は5,6ヵ国語は理解できたがこんな言語は学んだことない。俺が戸惑っている間にも勝手におばさんは話し続ける。
「ここはポエル。アポルでは最大の街よ。まあ人間の国ではだけど。私の家は宿屋をやってるのだけど、もし今夜泊まる当てがないならいらっしゃいよ。これも何かの縁だわ。」
特に当てがあるわけでもない俺はそのおばさんについていった。