死
「これ、蒼真のものよね?あなたが目を覚ました時首にかかってたんだけど、検査とかの邪魔そうだったから預かっておいたわよ。見たことないけど、あなたこんなの持ってたっけ?」
母がリビングに入ってきながら手に持っていた何かを俺に差し出した。よく見ると革製のような紐に4つのきれいな色をした石が通されていた。俺はそんなもの買った覚えももらった覚えもなかったけれどすごく大事なもののような気がした。
「そ、そう。俺のだよ。持っててくれてありがと」
母から受け取ってすぐに首にかける。初めてつけたはずなのにすごくしっくりくる。ずっと前から持っていたような。もう自分の一部のような。そんなわけがないのに。なぜこんなにもこれがあるだけで落ち着くんだろう。
「あ、言い忘れてたけど俺、浪人することにしたわ。」
「そう。じゃあ来年がんばりなさい。」
母から軽く言われて少し頷いてから2階の自分の部屋に戻る。
入院前から何も変わっているはずがないのに違和感を感じる。俺の部屋ってこんなのだったけ。少し首をひねってからベッドにダイブする。何かと疲れていたようで気づいたら寝ていた。
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1年後
「蒼真。あったわよ、あなたの番号」
「うん」
「まああなたが落ちるわけもないか」
今まで俺は勉強で困ったことがない。1度見聞きしたことは基本忘れない。中学のころには高校の勉強まで独学で終わらせていた。高校は出席日数ぎりぎりしか登校してないし、教室でも寝てた記憶しかない。まあ勉強をしてないわけではなく、教室には行かなくても図書室で本を読んだり資料室の資料を読み漁ったりはしていた。読書というより本を読むことでより多くの知識を取り入れるのが好きだった。
そんなわけで大した努力をしたわけでもなく無事大学には合格した。
「これであなたも大学生か」
母が嬉しそうに言う。
「1年遅れたけどね」
苦笑いしてそう返すと苦笑いしながら
「まあ、頑張りなさい。」
といわれた。
入学して3か月。やっと大学とバイトの往復に慣れてきた頃にそれは起こった。
「蒼真!!!!」
名前もうろ覚えのバイトの先輩の俺を呼ぶ声が聞こえ、そちらのほうを見るとトラックの急ブレーキの音が響いた、と思ったら鈍い痛みが全身に走り、俺の意識はシャットアウトした。
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「やっぱり、また会ったね。ソーマ。」