四機目 決心
「以上で説明終わり」
「なるほど」
説明を聞くとここがどんなところかよくわかる。
まずこの世界の海には島という物が無い。
何故か?それは戦争で消えたかららしい。よって、必然的に大陸しかないことになる。
だが面白い事に大陸も分断されていないのだ。
大陸は一つだけだがこの大陸がまたでかい。
キュアノスにこの世界の地図を出してもらったのだが俺たちの地球で言う大陸が分断される前ぐらいの大きさの大陸だった。
そしてその大陸内にいくつもの国が存在していて、どの国もここは~~大陸だ!と言い張っているらしい。
キュアノスがここをサウタバル大陸と言ったのは博士とやらがいた時代は大陸全土を統一した国があったらしい。
その時、その国がここはサウタバル大陸だ!と言ったことからその名称をキュアノスは使っているらしい。
面倒くさいことに各国で管理している土地には~~地方とかいう名前がついているみたいだ。
「で、現在どこの国も戦争中ってか?」
「ん。一時的に平和な時代もあった。だけどその平和は軍事力の強化に使われていた」
「馬鹿馬鹿しいな・・・」
戦争の無い所から来たから余計に馬鹿馬鹿しく見える。
「いっそのこと国でも作ってみるか・・・?」
まあ、無理だよな普通に考えて。何も知らない学生が急に国を管理するとか無理な話だ。
「できる」
「え?」
聞き間違いか?今できるっていったか?
「できる。この世界には捨てられた国がいくつもある。理由は色々ある。例えば養っていくだけの国力が無いとか」
「んなアホな・・・」
この世界の王は馬鹿なのか?国がそのまま力になるって事に気づかないのか?
「ん。基本的にこの世界の王はほとんどアホ」
言い切られているし・・・
「でも中にはまともな王もいる。ユニヴェールが管理されていた国の王というよりもその娘の姫が有能」
「まあ・・・さすがに少しはいないとヤバイだろ」
じゃないと戦争どころか先に人がいなくなるぞ。
「とりあえずだ。この近くに捨てられた国はあるか?」
「ん。ある」
「よし。じゃあそこに行くか・・・とその前にこの機体ユニヴェールの能力教えてくれるか?」
「了解」
その言葉と同時に全てのモニターが光りだした。
「まず性能から。この機体は父様のために作られた機体。基本的に父様の能力がそのまま機体の性能になる」
「それってやばくないか?俺何もできないただの一般人だぞ?」
「ん。知ってる。だから博士は特殊型兵装 複合翼をつけた」
「その特殊型兵装 複合翼ってなんだ?」
「色々な能力を付与できる翼。例えば『炎翼』これは名前のまま。翼を展開した後、炎を翼から出し続ける」
微妙というか自滅しないかそれ・・・?
ていうかエネルギーとか考えてみたらどっから使ってるんだ?
次々に疑問が浮かんでくる。
「自滅なんてしない」
心読まれたぞオイ・・・
「顔に出てる」
「まじか・・・」
「まじ。自滅しない理由説明する」
「頼む」
「自滅しない理由は簡単。まずこの炎をユニヴェールにたいして熱を持たない」
「いや意味わからん」
だってそうだろう?この機体に対してだけ熱を持たないとかどういう理屈だよ・・・
「それは属性制御装置のせい。発生した炎はこの世界に存在しない炎で作られているから。理屈は不明。博士が独自に作ったせいで誰も真似できない」
「その博士は本当に人間か・・・?」
「それにこの翼だけは壊れないというよりも壊れても私がいれば直る」
出鱈目だな。いや元々ゲームを元にしたのならアリか?
いや、それよりもだ・・・
「そもそもエネルギーはどこから消費している?」
「ん」
そうキュアノスが答え指を指した方をを俺は見た。
「・・・コアクリスタルか?」
「そ。しかも父様がつけた能力のせいで動くだけならずっと動いてられる」
「何故?」
「連続で何かを打ち出すという表現に変えると複合翼はエネルギー弾武器。しかも機体のエネルギーを使う」
そういうことか・・・
武器は複合翼。装填されている弾はこの機体自体のエネルギーってことか。
「あれ?リアルチート?」
「ん。リアルチート」
「「・・・・・・・」」
「き、気にしない方向で行こう!うん!」
「逃げた・・・」
何か聞こえたが俺は知らん!!
「機体性能についてはわかった。じゃあ操作方法は俺が知っている通りでいいのか?」
「露骨に話題そらし・・・」
ええい!俺は知らんぞ!!
「・・・操作方法はMOWと変わらない。博士がそう作った」
なんかジト目で見られているけど気にしない。
「了解。んじゃ。その捨てられた国とやらに行ってみるか」
「ん。ユニヴェール起動」
さっきまでモニターが光っているだけだったが今度はそのモニターに映像が映しだされた。
「なんていうか荒野だな・・・」
風景をみた瞬間そんな言葉が出た。
「戦争のせい。今では国の中にほとんど自然が集中している」
ほんと馬鹿馬鹿しい。
早くこんなくだらない戦争は終わらせないといけない。
「(今はそのためにも・・・)」
俺は心の中でそう呟き脚の所にあるペダルを軽く踏む。
それと同時に回りに映し出される風景が線に変わった。
「ちょ、ちょっとまて!?いくらなんでもスピード出すぎだ!?」
「ん。調整する」
そう言って。後ろの方でピッピッという音が聞こえてきた。
「調整完了」
その言葉と同時に風景が緩やかになりちゃんと見えるようになった。
「どのくらいでつきそうだ?」
「ん。10分ぐらい」
俺は頷くと同時に今度はペダルを中くらいの所まで踏んだ。
このユニヴェールが荒野を物凄いスピードで移動していたのを遠目でみていた者は荒野には銀色の悪魔がいるから外に出て遊んではいけないと後に子供を躾けるために使われたのを巡達は知らない。