一機目 ユニヴェール
そして週末・・・
「うし!学校終わった!即帰る!!じゃあな新途!!」
「おう、またあと・・・」
そんなこと聞いている暇などない。俺は早くMOWをやりたいんだ!!
もし今のスピードで走ったら全国大会優勝できるのでは?と思うぐらいのスピードで家に帰った。
家には誰もいない親は俺が赤ん坊の時に死んだ。母親は体が弱く俺を産んだ時に死に、父親はそれから一年後ガンで死んだ。
そして母親の母親、俺にとってばあちゃんの所に預けられた。
中学まではばあちゃんも生きていたが寿命のせいか中学に入ってすぐに死んだ。
幸い親が残して置いてくれた金のおかげで不自由なく生活している。
母親と父親に感謝だ。
家もそのままで今は俺が一人で住んでいる。
さすがにバイトをしないと遊ぶ金がなかったので高校一年の時に荒稼ぎしたが。
「ただいま」
誰もいないが一応言っている。
「とりあえず飯食いだめて明日まで徹夜だな」
昨日食べ残したとんかつと朝炊いたご飯+ラーメンを食ってっと。
「ガツガツガツ・・・」
うむ、うまい。やはりとんかつにはレモンとおたふくソースだな。
ラーメンはこってり豚骨だ。これに残ったご飯を入れてと。
「そういえばたらこ余ってたな。よしあれも入れよう」
ごはんを残ったスープに入れてっと、ラーメン雑炊の出来上がりと。
俺はさっさとそれを腹に入れ食器洗いをしてMOWの準備を始めた。
えーと確か頭にマシンギアをつけてっと・・・。
このマシンギアはこのゲームのために開発された機械だ。
ヘッドフォンみたいな形をしており片方の耳のところにバイザーがついている。
ベットに横になった俺はアウェイクンと言いマシンギアを起動する。それと同時に視界が暗くなり意識が遠のいていく。
「暗いなおい」
目を開けたら周りが暗く見えずらい。
「これは後で運営に言っといた方がいいな」
仕方なく少し歩くと機械的なゲートが見えてきた。
『ようこそ。マシンナーズオブウォーへ』
どうやらちゃんと起動しいたようだ。
「これからあなたにいくつかの質問をします。よろしいですか?YES/NO」
あれこんなの説明書にあったけか?まあいいか。
俺はYESを指で選択し次の指示を待つ。
「では一つ目の質問です。あなたはロボットが好きですか?YES/NO]
そんなのあたりまえだろう。YES。
「あなたはあなたのいる世界が楽しいですか?YES/NO」
・・・どういう意味だ?『あなたのいる世界が楽しいですか?』だと?
そんなもん楽しくないからこのゲームをやろうとしているんだろうがYES。
「・・・最後の質問です。あなたは今ある全てを捨てれますか?YES/NO」
全てってまた曖昧だな。さすがにこれは聞きなおした方がよさそうだ。
「質問いいか?」
「はい」
「全てってどのくらいまでだ?」
「・・・申し訳ありませんがそれには正しい答えがありません」
ようはこの質問をされた人物によって全てがどのくらいかは変わるのだろう。
じゃあ俺の全てってなんだ?
親はもういない。親しい友人だって新途ぐらいだ。
金だってこのMOWでリアルマネーに返還できる。
あれ?意外と何もないな。
ちなみにリアルマネー変換システムはこのゲームの特徴のひとつだ。
ゲーム内で手に入れた仮想マネーを現実の金に返還するシステムだ。
何故このようなシステムを導入したのか?とニュースでも話題になった。
それに対して作者は・・・
『あたりまえだろう?そこらへんの公務員共はまともに働かないで金をもらっている奴らもいる。そんな無能な奴らに金を渡すぐらいなら、俺のゲームからまだ才能が眠ってるやつを見つけたほうがいいって国に言ってやったんだよ』
このニュースを聞いたときは何を言っているんだこいつはと思った。
だがこの作者は本気だった。
そのニュースの後、MOWのできる年齢を25歳までに制限してMOW内で起きる様々な大会で優勝した者や良い記録を出した者などを国が採用する。
という条件を国に了承させたのだ。
同時に日本中の公務員の洗い流しが始まった。
まるで仕事をしていない者や仕事の量が少なく、他の働いている者達と明らかに差がある者などを国は辞めさせていった。
このことが幸いしたのか現在の日本はこの宣言から一年経過した段階で借金は兆単位から億単位まで下がった。
そして、それから1年後このMOWができた。
おっといかんいかん作者の言ったことが衝撃すぎて思い出してしまった。
今はこの質問に答えないとな。まあ、当然・・・
「YESだ」
そう答えた瞬間、今いるこの空間にひびが入り始めた。
ピキピキと嫌な音がする。
「なんだ!?バグか!?」
さすがにこの状況に焦っているせいで思考が混乱し始めた。
そこにさっき質問をしてきた音声が聞こえてきた。
「あなたにこの世界で幸あらんことを・・・」
「なにを・・・!」
なにをいってるんだ!と言おうとしたが足元の空間が割れ俺は落下していった。
「うおおおおおおおおおおおお!!???」
そんな風に叫ぶことしかできず。
俺はだんだんと意識が遠のいていった。
そんな風に巡が巻き込まれている時、ある場所で同時に異変が起きていた。
「姫さん!ユニヴェールが!!」
「どうしたの?そんなに慌てて。あの機体は動かないはずよ」
「そんな場合じゃないんだって!!ユニヴェールが転移しようとしているんだ!!」
「!?」
ユニヴェールが動いた・・・?
「ユラ!ユニヴェールの回線を開きなさい!!」
「は、はい!!」
そう言ってユラに急いでユニヴェールの回線を開いてもらった。
「聞こえてるわね!ユニヴェール!!今すぐ転移プロセスを中止しなさい!!」
『お断りします。現在マスターがこちらに落ちて来ますので』
「どういうこと!?」
「わかりません!急に起動したと思ったらいきなり転移準備に入り始めましたので!」
いったいどういうこと?マスターが落ちてくる?いったい・・・
それにユニヴェールが動いたことがありえないわ。
だって部品が足りてないはず・・・
『それではアルメデス姫。根を詰めないようにしてください』
「ちょ!待ちなさい!?」
『転移します。機体の付近にいる方々は速やかに離れてください』
艦内に安全確認の放送が入る。
『転移開始』
そう放送がなた瞬間ユニヴェールが輝き始め、次の瞬間には消えていた。
『今、行きますマスター』
そう転移の瞬間に覚悟にも近い言葉を出して・・・