執事からの聴取。
まず初めは、執事の高槻さんということになった。
被害者の竹田氏は、本宅は地方都市中心部にあり、会社もそちらとの事。
ここは、別荘で夏や冬に一家だったり、一人だったり、とその時によるがよく利用する。
高槻さんは言いにくそうに教えてくれたが、愛人との密会にも使われるそうで。
ちなみに、息子の方も男女問わず連れて来ては、バカ騒ぎしてる。
奥さんと娘は、あまり個人では利用せず、一家で来る時ぐらい。
この屋敷には、執事夫妻と印南さんが住み込みで管理している。
今回は、竹田氏が言いだして、こちらに来たらしい。
竹田氏は、アートが好きらしく、若手支援なども積極的に行っていた。
今年は巨大な雪のモニュメントを若手の精鋭たちに作らせる予定だったとか。
屋敷に辿り着いた時に凄い音がしていたのは、除雪兼雪集めだったらしい。
アーティストたちは、明日に屋敷に到着する予定だったとか。
竹田氏一家は、昨夜にこの屋敷にやってきた。
そして、今日の竹田氏の様子だが、朝は七時半に起きて、今いる応接室でコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。
別段、変わった様子は、なかった。
それから、秘書の沙紀子がやって来て一緒に雑談をしていた。
これも、言いにくそうにしながらだが、沙紀子は秘書とは名ばかりで、その実は愛人だった。
奥さんは、何も言及はしていないが、気が付いていたんじゃないかと。
息子は、沙紀子によくちょっかいを出していたが、軽くあしらわれていたとも。
朝八時になると、全員が食堂へ集まって、朝食(作ったのは高槻さん)を摂った。
それからは、各々が自室に戻ったので、何をしていたかまでは把握していない。
少なくとも、自室がある二階から一階へ降りてきた人は、居なかった。
高槻さんは、午前中にエントランスホールの掃除を行っていた。
その後に全員が降りてきたのは、昼食を摂った正午十二時だけ。
竹田氏は、テレビ会議を行うからと、一時から三時までは誰も近づくなと言い残して、書斎(ここで殺されることになるのだが)へ入った。
書斎のある、二階の廊下の奥へ行った所は確認したが、そのまま書斎に入ったかどうかまでは判らない。
昼食後は、竹田氏と沙紀子が先に退出し、その後すぐに息子が退出。
奥さんと娘は、食後のお茶をゆっくりと楽しんで一時四十分頃に退出した。
奥さんと娘は、一階の玄関側の一番奥にある部屋へ行った。
(この応接室も一階玄関側にある。一番手前の部屋なので、この部屋の前を通って奥へ進む。
ちなみに、その間には、客間が二つあってキイチと要に割り当てられた。)
そこは、防音になっていて、ピアノなどの楽器が揃えてある部屋だ。
二人がそこへ入ると、時間を忘れて演奏に没頭してしまうらしい。今日も事件後に、高槻さんが呼びに行くまで没頭していた。
印南さんに関しては、一家の昼食が済んだ後に高槻さんと食事をして、除雪兼雪集めをしていた。
高槻さんは、奥さんに食事を運んでやってから食後の片づけを行って、食堂の地下にある貯蔵庫の在庫確認を行っていた。
そして、確認を終えてエントランスホールまで来たところで、玄関のチャイムが鳴ったとのこと。
それが、午後三時四十分。
沙紀子と黎に関しては、食堂を出てからは判らないとのこと。
高槻さんは主の死にショックなのか、頼りなげに一礼して応接室を出ていった。
「竹田氏は、昼食後、つまり午後一時ちょっと前までは、生存を確認されてるんですね。」
僕はキイチさんの真似をして、右の人差指を唇に当てた。
・・・ピン!!
あ、閃きました!!閃いちゃいました。
「キキキ・・キイチさん!!」
面倒くさそうに、キイチさんは僕を見た。
「お前は、サルか。キキキキうるせぇ。」
「わかったんです!!」
あぁ?と眉毛を片方だけ上げたキイチさんに向かって、僕は言い放つ。
「秘書の沙紀子さんが犯人ですよ!!」
バコッ。
い・・痛いです。殴らないで下さい。
そして、そんな腐ったモノを見るような目で僕を見ないで下さい。




