現場を検証。
ふと視線を感じて、入り口扉に視線を戻すと、印南が凭れかかりながら腕を組んでいた。
「印南さん?」
僕が声を掛かると、こちらを向く。
「あんたらだけにするのもな。探偵なんて、いるんだな。」
ななななんですか!!バカにしてるんですか!
ムッキーとなった僕を抑えたのは、キイチさん。
キイチさんは、僕の襟首を掴みながら印南さんに言う。
「はは。どーぞ、自由に見学してくれ。」
え。えええ。いーんですか。いちをう、容疑者なんじゃ・・・。
僕とキイチさんは、部屋中を見て回った。
まあ、見張られてましたが、邪魔されてないですからね。
この屋敷に雇われている人ですし、僕ら(特にキイチさん)は、怪しいんでしょうね。
キイチさんをチラリ。
右手の指を唇に当てて、軽く頷いてる。
なにか判ったんですか?
・・・後で、教えてくれますかね?
「なあ、探偵さん」
急に印南さんが声を掛けるから、僕吃驚して高そうなガラスの灰皿落としそうになりましたよ?
僕じゃ、弁償できませんからね。無理。絶対。
印南さんは、キイチさんが返事をする前にまた話始めた。
「こう言っちゃなんだが、その人、色んな恨み買ってるぜ?
脅迫状なんてもの、よく届くしな。」
その人、と印南さんは雇い主であった被害者を顎をしゃくって示す。
「ほぅ。まあ、融資業なんてやってりゃな。叩きゃあ、ホコリも出るだろうさ。」
キイチさんは、ベランダへ出る窓を開けて、外の様子をキョロキョロと見回した。
僕も近くにいたので、ベランダに顔を出した。
「おっと、カナメ。出るなよ、跡をつけるな。」
ベランダは、すっかり雪に覆われていたが、足跡はついていなかった。
「ベランダからは、出てないみたいですね。」
キイチさん、またスルーですか。
「鍵は、掛かってなかったな。」
鍵が掛かってなくても、雪ですよ?
跡を残さずに、出るのは無理ですよ。ムササビじゃあるまいし。
外は、すっかり暗くなってしまった。
僕とキイチさんは、使っていない客間を借りることになった。
どの道、雪崩で明日にならないと動けないけど。
「そういえば、この屋敷ってヘンな造りですよね。」
表側の部屋は窓があるが、裏側はないのだ。
つまり、上から見ると、玄関側表、(窓)部屋、廊下、部屋、廊下(窓はなく壁)、裏庭となっているのだ。
設計者の趣味ですかね?裏は見せない。みたいな。
そうこうしているうちに、夕食の時間になって執事の高槻さんが作った夕食をご馳走になった。。
本来は、高槻さんの奥さんが作るが、今は病気のために高槻さんが作ってるらしい。
ちゃんとしたコース料理になっていて、僕はキイチさんを覗き見ながら食べた。
食卓には、美恵子、美音、黎、沙紀子が共についた。
誰も言葉を発しなかったため、食器の触れあう音しかしなかった。
折角の高級食材の料理だったのに、僕は、あんまり味がわからなかった。




