机に伏せる主。
ガンガン扉を叩くが、一向に反応がない。
「高槻さん、仕方ありません。扉を壊しましょう。」
そう言うが早いか、階下へ行って手斧を持って戻ってきた。
僕とキイチさんは、黙って成り行きを見守っていた。
ガツッガツッガゴ、バキッ!!
何度か手斧を振りかざして、扉に穴を開ける。
そこから、男性が手を差し込んで、鍵を開けた。
扉を開くと・・・。
むわっっと、やけに熱い空気に眉を顰めた。
うわ、すごく暑い。
部屋の中は、ガンガンに暖房が利いていて、汗ばむくらいだった。
「だ、旦那様!!」
書斎机に突っ伏している、ここの主人が見えた。
「ね・・寝てる?」
僕は、ボケた訳じゃないです。キイチさん、殴らないで下さい。
「ドアホ。よく見ろ。」
僕は、恐る恐る近づいて、執事と男性の間から主人を覗きこんだ。
!!!
血・・。
「キイチさん、あ・・頭から血を流してます!!」
キイチさんも近づいてきて、主人を見やる。
その間、執事はオロオロするばかり。
「高槻さん、警察に連絡を。」
以外にも、冷静な男性の声で言われた執事さんは、急いで部屋から出ていった。
「あんたらも、この部屋から出ろよ。」
キイチさんは、いつの間にかベランダに続く窓の辺りにいた。
主人の突っ伏している机の裏側。
扉から真正面に、全面窓になっていて、ベランダへ出られるようになっていた。
左手側の壁に、マントルピース。暖炉ではなく、暖房機が収まっているが。
そして、その脇辺りに猫足の丸いテーブルがある。
反対側には、書棚があり、色々な本がぎっしりと詰まっていた。
「おい、うろうろするな。」
再度促されて、僕らは階下のエントランスホールへ向かった。
階下へ降りると、二人の男女が執事さんに詰め寄っていた。




