辿り着いた屋敷。
ガガガガ・・ドッドッドッ・・・
なんだか大層立派な屋敷が見えてきが、すごい騒音も聞こえる。
「建物!!キイチさん。屋敷ありますよ。助かりますよ。」
僕は、キイチさんの袖を掴んで、グイグイ引っ張った。
「わかったから、落ち着け。」
はい。落ち着きます。深呼吸。スーハー・・・ごほっ。
キイチさん、雪国での深呼吸には、気をつけた方がいいです。
僕の肺が凍ってしまいそうです。
チラリと、白い雪が舞ってきた。
先程、止んだと思っていたのに、また降ってきたんですかね。
キイチさん、肺って凍傷になるんですかね?
立派な屋敷には、立派な玄関扉がついてるわけで。
ライオンさんに睨まれてます。金のライオンです。
咥えている輪っかに手を伸ばそうと・・・。
ビーーーーーー。
「えええっ。」
僕、まだ触れてません。何もしてません。ごめんなさい。
「ドアホ。そりゃ、飾りだ。」
キイチさんに言われて、横を見るとありました。
普通にインターホンです。
「はい?どちら様でしょうか?」
スピーカから返答が返されてきた。
「すみません。道に迷ってしまいまして。」
「少々、お待ち下さい。」
それから、直ぐに重厚な扉が開いて、そこから”如何にも執事”な格好の老紳士が顔を出した。
「すみません。電話をお借りできますか?」
最近は、山でも携帯を使えるというけど、この辺りでは使えなかった。
ゆえに、歩き回る羽目になったのだ。
ここに辿り着くまでの事を説明し、電話拝借をお願いする。
「そうですか。それは、お困りでしょう。
どうぞ、中へお入り下さい。主に言伝て来ますので。」
と、扉を大きく開いてくれた。
エントランスホールは、高級そうな調度品が品良く飾られていた。
僕は、シャンデリアのキラキラがとても重そうで、落ちてこないか心配です。
ホールを勝手に見回していると、さっきの執事さんの慌てた声が聞こえてきた。
「旦那様?旦那様!!」
僕とキイチさんは、顔を見合わせた。




