遭難の危機。
「どうしてくれんだ?この状況。」
そんな声が、僕<条島要>を攻め立てる。
「えっ・・と、どどどどうしましょう。」
僕たちは、非常に困っていたのです。
まあ、一割、いや三割・・・八割は、僕の所為なんですけど。
でも、でも、もっとこの人<西城輝一郎>が、僕に任せきりにしなければ・・。
ああ、そうですよ。僕が悪かったんです。
嫌がる(面倒だから)キイチさんを無理やり、スキー旅行に引っ張ったのは、僕ですよ。
だって、キイチさん・・・僕、スキーがやってみたかったんです。
事務所のテレビで、見たんです(暇だったんですもん)。颯爽と白銀の雪を蹴散らして、滑るスキーヤーが、かっこ良かったんですから!
・・・しかも、矢鱈とモテてまして。
と、とにかく現在、迷子です。ていうか、遭難?
「まったく。お前は、どんだけアホなんだ。」
う。呆れてらっしゃる?
「だだだ・・だって。暗いし、山だし、方向判らなくなっちゃって・・・。」
そうなんです。(シャレじゃなくて)
スキーツアーに申し込んだのに、集合時間を間違えて、挙句の果てにはバスまで間違えたみたいです。
しかも・・・、最終バスでした。
早すぎます。早すぎでしょう?だって、まだ三時ですよ?
「その先の木が途切れてるあたりを曲がってみろ。」
ダルそう(いつもですけど)に、顎で先の道を指す。
「え。なんでですか?更に遭難しちゃいそうですよ?」
木の切れ目辺りに目を向けるが、看板が在るわけでもなかった。
「下を良く見てみろ。ドアホ。」
あああ。キイチさん、僕、”カナメ”です。”ドアホ”じゃないです。
「薄らとタイヤ痕が残ってるだろ。」
よくよく見てみると、その上からは新雪が積もっていたが、確かに跡があった。
「真直ぐには、跡らしきがないからな。行ってみるか。」
そういうと、その細い道へと進んで行ってしまった。
「待って下さいよ。キイチさーーん。置いてかないで~。」
僕は、慌ててキイチさんを追いかけたのでした。




