表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守り人  作者: ぱるひこ
2/3

第二話・頼む!

「あんた達の名前は?」

「申し遅れた。私はモーザ。こちらは私の主人の娘のレイア様です」

レイアの名前を聞くと、アグニが少し怪訝な顔をした。

「レイア?何処かで聞いたような・・・」

「それより、アグニ殿はマルキスの生まれですかな?」

まずいと思い、モーザが話題を切り換えてきた。

「いや、オクドゥールだ。今は世界中を旅している」

「ほう、それは大変ですな」

「ははっ。あんた達程じゃないよ」

談笑していると、外から声が聞こえてきた。

「もう着きますよ」

さっきの子供だ。

「彼は?」

「んっ?ああ、あいつはツキメ。色々あって一緒に旅してる。それに彼じゃなくて彼女ね」

そんな雑談をしていると馬車が止まった。

「ツキメ。矢と食料買って積んどけ」

指示をすると、はい。と返事し、町の中に消えていった。

「さて、宿を探すか」

「かたじけない」

「いいって」

そう言うとアグニがレイアを背負って歩いて行った。


宿はすぐに見つかったが、何処も満室になっていた。

「一室だけ空いてますが、とても貴族の方をお泊めするような部屋じゃ」

「いい。少し休むだけだ」

やっと五つ目の宿で見つかった。

「それでしたらご案内致します」

案内され部屋に入ると、確かに貴族が耐えられるような部屋では無かった。一応掃除はされているようだが、汚い。さいわい、シーツはきれいだったお陰で、取りあえずレイアをベッドに寝かせる事はできた。

「さて、さっきの説明をしてもらおうか?」

イスに座ると早速アグニが聞いてきた。

「すまないがこちらにも事情がある。聞かんでくれないか」

「・・・ま、良いけど」

沈黙が流れた。

「アグニ殿、頼む。我々を首都のタイロまで連れて行ってくれないか?」

突然モーザが頭を下げた。

「・・・さっきは殺されそうだったから助けたが、用心棒はやっていない」

冷たい言い方だった。

「頼む!何としてでも行かないといけないのだ」

モーザが床に頭をつけて頼んできた。

「・・・うっ・・うん」

その時、レイアが目覚めた。

「おお、起きられましたか」

モーザが立ち上がり駆け寄った。

「モーザ。・・・貴方は?」

レイアがアグニに気付き尋ねてきた。

「こちらの方は先程助けて下さった方でございます」

モーザがさっきの事を簡単にレイアに説明した。

「そうでしたか。ありがとうございました」

説明を聞き終わると、レイアがアグニに向かって深々と頭を下げた。

「勿体ない。貴族が平民に簡単に頭を下げるべきじゃない」

アグニが諭した。

「いえ、命の恩人に貴族も平民もありません」

「なかなかしっかりしている。流石マルキス国の姫様だ」

「知っていたのか!?」

モーザが驚いた表情を見せた。

「まあ一応ね」

「知っているのなら尚更頼む!タイロまで守ってくれぬか」

「私からもお頼み申し上げます」

モーザとレイアが頭を下げた。

「うーん。姫様の頼みを断るわけにもいかないか。ただし、それなりの礼は払って貰うぞ」

二人共その言葉に嬉しそうな顔をした。

「かたじけない」

「それと、旅の最中は俺の言う事を聞いてもらう。いいな?」

「わかっています」

レイアが答えた。

「それじゃさっさと出発するぞ」

アグニがさっさと部屋から出て行こうとした。

「もう行くのか?」

モーザが戸惑ったような表情を見せた。

「当たり前だ。奴等の仲間がいるかもしれないだろ。捕まりたいのか」

厳しい言い方だが、アグニが正しかった。既に町には不穏な影がうごめいていた。

フードの付いた白いマントに身を包んだ三人組が、アグニの馬車を囲みながら話をしていた。

「ここにいるはずだ。探せ。姫以外に用は無い。殺せ」

中心の男が指示すると、他の二人が散っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ