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No,08:瓦礫の中での交錯

テスト期間なのでほとんど更新できていませんm(_ _)m

もうすぐ、いつもの更新率に戻るのと思うのでそれまではよろしくお願いします。

瓦礫の山だった。目が覚めるとそこはいつもとは全く違う景色になっていて、灰と紅の色彩しか存在しない世界になっていた。

周りには多く怪我人がいた。それはそうだ、ここは中央街のショッピングセンターなのだから人がたくさんいるのは当たり前だ。

いや、違う。そんなことを言っているのではない。この景色はなんだ、なんでこんなに血が流れてる。

どうしてこんなにも全身が震えるんだ。前方も後方も天井も囲まれている。

抜け出すのにはたくさんの時間がかかりそうだ。それ以前に抜け出せるのだろうか。

何かの燃える臭いがすぐ近くでする。火事………?違う、もっと何か恐ろしいことが、あった。


「おい、君は大丈夫なんだな? 無傷だな? なら手伝ってくれ! ここを脱出する」


誰だ、話しかけてきているのは誰なんだ? 知り合いではない、こんな人は知らない。

頭がぼうっとして何も考えられない。

しかし、ふと頭をよぎったことはあった。

そうだ、あいつは。あいつはどうなった。一緒にいたあいつは。

分からない、分からない………。


「おい君! ぼうっとしてるなよ!」


ぼやけた視界が徐々に回復し辺りの光景を見渡すことができるようになった。遅れて音も聞こえてきて、目も耳も鼻も感覚も戻りつつあった。

俺の身体を揺さぶっている奴………知り合いではなかった。

短髪の黒髪に誠実そうな顔立ちで体つきはよく、鍛えてあるようだった。

同い年には見えず、二つや三つ歳は離れていそうだった。

「大丈夫か?」

「ぁ、はい。 ここは………?」

「中央エリア………だったんだが今は見る影もないな」

四方は瓦礫の山やもともとあった壁でさえぎられており、天井はかなり低くなっており落ちてきたのだと理解するのに時間はかからなかった。

「とりあえず、動けるようだな。というか怪我はしてなかったな、俺もお前も運の強い奴だ」

そう言って青年は笑い、立ち上がった。

辺りを見回し何かを確認しているようだが、俺には何をやっているのか分からなかった。

そんなことより考えるべきことがあったからだ。…………そう、蓮はどこにいるのだろう。

かたまっていたはずなのに、蓮は近くにいない。それに先ほどの青年の言葉も引っかかった。

『怪我はしてなかったな、俺もお前も運の強い奴だ』

俺は気を失う前に動いたか? いや、動いていないはず。足が言うことを聞かなくて動いていなかったんだ。

それなのに俺は無傷で蓮はここにいない。これは何を表す?

………蓮は何かしらのアクションを起こして俺を助けてくれたのではないのか?

俺はやみくもに瓦礫を除け始めた。

「蓮………蓮っ………!」

「君、いったいどうした? 」

「友達がっ、埋まっているかもしれないんです!」

「探すのは無理だ! 救助隊が来るまで俺たちには何も出来ない、それに今は瓦礫がうまい具合に重なってできたスペースに俺たちはいるんだ別に手を加えたらどうなるか────────────」

青年の話は聞いていられなかった。こうしている間にも蓮は弱っていっている。

早く見つけ出して瓦礫の中から助けてあげないといけない。

「聞いているのか!? 俺たちまで・・・・・死ぬかもしれない・・・・・・・・んだぞ!」

つぅん、と身体が冷えた。

俺たちまで・・・・・死ぬかもしれない・・・・・・・・? 何ですかそれ……まるで自分たち以外はもう助からないって言っているようなものじゃないですか。 蓮はまだ死んでませんよ!」

「だから俺たちにできることはないんだよ! まずはここから脱出することが先だ」

ようやく押し出したかのような声で青年は叫んだ。

分かっている、自分だってやるべきことは。でも、置いていくことはどうしてもできない。

青年に背を向け瓦礫を取り除いていくと、腕が見えた。

「蓮っ!?」

何も考えずにただがむしゃらにどかしていくと、見なれた茶髪が薄汚れていた。

「つー、………んだ。 亮か……なんで手真っ赤なんだよ」

気づいていなかった。瓦礫を退かす作業の中で手にはたくさんの傷が出来ていてそこから出血していた。

「蓮、大丈夫かっ!?」

「大丈夫、ではないな………。へっ、その前になんでお前は俺を助けたんだ?」

「なんでって………蓮だって俺を助けてくれたんだろ!?」

「いいか、お前のことだからこういう事態になるとテンパってんだろ。………よく聞け、最優先するべきは亮、お前の命だ。分かってんだろ」

「分からねぇよ!? なんでそういうこと言うんだよ、………助かりたくないのかよ」

「………俺はnumberだ。人間の方が最優先に決まっているだろ」

吐き捨てるように蓮は言った。言ってはいけないことを。

こんなことを言う奴ではなかったのに、そうだ、解ってる、俺のせいだ、知っている、でも、でも、でも、言ってはいけない。それは決められているんだ。それに、こんな状況でわがままだけど、本当にどうしようもないくらいに馬鹿みたいだけど。俺が気に食わないんだ。

震える自らの血に塗れている手で瓦礫を退かす作業に再び戻る。

「亮っ、お前俺の話を聞いていたのか!」

「関係ないっ………」

爪が割れて血がさらに流れた。

「お前がそんなこと、もう二度度言えないように性根を叩き直してやるから、だから…………ここから生きて帰すんだよ! 死なせねぇよ! 」

精一杯の叫びだった。numberだからなんだというのだ、そんなものは関係のない話だ。


俺は今、友達を助けているんだ。


後ろからため息を聞いた。

「ふっ………かっこいいね、君。すごいよ」

それだけ言って、青年は俺の横にしゃがみ込んで瓦礫を退かしていった。

青年は笑っている気がした。

「君、名前は?」

「桜参 亮………」

「俺は、道寺 昌どうじあきら。 さっさと助けてしまおう!」


それから二人は会話もろくにせずに瓦礫を退かす作業を淡々とこなしていった。







「くくく………無人警官オートロイドは妨害電波で起動せず、ショッピングセンターはすでに崩壊。さぁ、どう出るのかなぁ?」

旧市街の一角、廃ビルが立ち並ぶ区域で少年は笑う。

光もささずただ暗闇の中でパソコンの画面を眺めながら。

ビゴーン、と言う効果音とともに三角形の中にエクスクラメーションマークの含まれる小さなマークが画面の左端に出現した。

「ぁ? んだこれは」

「………どうやら欠陥製品ジャンクが一体行動不能になったようです。爆破に巻き込まれたのでしょうか。それにもう一体、電子大脳に傷がついて行動に害が出ています」

隣に居座っているというのを忘れそうになるくらいの希薄な存在、その男が言った。

「お前、………その気配の断ち切り方、我流か?」

「ええ、そうしなければ生きていけない世界でしたから」

「はっ、なかかなおもしれぇ人生歩んできたみてぇじゃねぇか」

「あなたには敵いませんよ。あんなところに雇われて生きていたのでしょう?」

その瞬間、廃ビルが震えたと錯覚するぐらいの殺気が隣から迸った。

しかし男は気にもしない。ただ、その様子を眺めるだけだった。

眺めることだけしかできないのではない。ただ、自分の意識レベルで眺めるだけなのである。

「今の俺を前にして顔色変えないどころか顔の筋肉一つも動かさねぇとはな………お前」

「いえ、あなたの殺気はすばらしいものでした。あなたが悪いわけではありません」

「なるほど、な。そういうことか」

ようやく少年は落ち着き、再度パソコンのディスプレイを見た。

警察部隊が到着したようだった。しかしこれも気に食わない。

どうせ■■■■■■■■■なのだ。分かっている、それはあいつらにとっては必然なのかもしれない。

だったら、この国は腐っている。ならばどうする? 答えは壊す。

壊して毀して壊して毀して壊して毀して壊して毀して壊して毀して壊して毀して。

なにもかもが無くなればいい。そしたら自由になれるだろう。

「は、欠陥製品ジャンクにかかってんだからなぁ、この作戦。………正常作動機は2体、か」




蓮をようやく瓦礫の下から助け出し、広い床に寝かせた。

「っ……お前はバカだな、……ほら、次はさっさと助けを呼んで来い。俺はここで寝てるからよ」

流石に怪我の酷い蓮を背負って行動することはできなかったので、しばらく休んでもらうことにする。

本当なら、無理にでもここから一緒に抜け出したいところだったのだが。

「あっ……昌さん。頭から血が……」

「ん、ああ。これは大丈夫、俺が目を覚ました時にはもう流れてたからさ、さっき止血しておいたんだが………」

頭に巻いてあったタオルの赤いシミが広がっていたのだ。

「それより、亮君! あそこの隙間から何とか抜け出せそうだ。行こう」

昌の指差す先には人一人がちょうど通れそうな穴があった。

偶然そこだけぽっかりと空いたようで、突起物も何もなくこれ以上は怪我せずに抜け出せそうだった。

そこから抜けると、辺りは灰色の煙が立ち込めていてあまり視界が安定してないかった。ぼんやりと見える程度なので黒煙よりはましだった。

「あっちの出口に向かおう、煙が流れているから近いと思う」

昌の冷静で的確な判断に賛同し、ついていくことにした。

道行く途中に、よろよろと影が動いているのが見えた。壁伝いに歩いていてとても弱弱しかった。

どこか見たことのあるくせのある肩までの髪に、か細い雰囲気。周りの景色と重なってそれはさらに強調されたようにも思えた。

「酉………種……?」

「あ、けほっ………さ、桜参、さん」

間違いなく酉種風見だった。

「大丈夫か!?」

「はぃ、……なんとかは」

倒れかかる身体を支えてやり、肩に手を回す。

「あっ………けほっ」

「わりぃな、今は我慢してくれ出口までだ」

酉種に肩を貸して歩いていると向こうから担架を背負った救急隊員がやってきた。

「大丈夫か、君たち。すぐに病院に運ぶからな」

そう言って、担架を展開させた。

「酉種を………お願いします」

「分かった。先にこの子を連れていくが、君たちも残りの救急隊員が迎えに来るからここから動くなよ? 大雑把に破壊してくれたことで内部は迷路状態だ。動くと迷子になるからここで待ってるんだぞ!」

念を押して隊員は去っていく。俺はその場に座り込んで、とりあえずは助かったと安堵した。

「よかったな、亮君。助かるぞ」

「はい………昌さんのおかげです」

これで俺たちは助かった、蓮も助かる。そう思って気を抜いて安堵した時。


悪意は牙をむく。


ズガァァァァン、と前方から破壊音が聞こえ煙が揺れ、人影が現れる。

間違いなく異常、この状況の中こちらに向かってまっすぐと、まっすぐと歩いてくる。

チャキリ、と嫌な音を聞いた。

この効果音から連想されるもの、思いつくものは少なくはない。

「昌さん、危ないですっ!」

「分かっている!」

二人同時に伏せた時、弾丸が頭上を越え奥の壁に命中し、爆発を起こす。

人影は近づいて、弾丸は破裂して。



「破壊せよ、ハカイせよ、はかいせよ、との命令。重要度Sランク。最優先で実行」



目には何も映らない。だた、標的をその目で反射するだけ。










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