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好きだと告白したら振られたので推し活を始める事にした  作者: はるくうきなこ


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30/33

30会えない時間


 思えば、サタリとやっと思いが通じた途端パパに見つかって私達は引き離された。

 しばらくはパパと口もきかなかった。

 引き離された寂しさは例えようもないほどだった。

 泣いて泣いて学園はしばらく行けなかった。

 貰ったペンダントを握りしめては泣いた。

 渡したブレスレットは前に渡したいと思って買っていたものでサタリに渡せてうれしい気持ちはあったが何だか複雑な気持ちだった。

 サタリも私みたいに前からペンダントを買っていたんだろうか?

 そんな事を考えてはまた泣いた。



 一番最初に届いたサタリからの手紙には、びっしりと会いたい。寂しいと書いてあったけど私との結婚の為に頑張るからと書いてあった。

 手紙は定期便で来るので大抵1週間に一度はお互いの手紙のやり取りが出来た。

 1カ月が経つ頃、サタリの手紙には私を心配する文字が連なっていた。


 【お嬢さん大丈夫ですか?俺もすごく寂しいです。俺の事を思って寂しがっているお嬢さんに、俺を好きだと言ってくれるお嬢さんを、今すぐこんな仕事を頬りだしてお嬢さんの元に駆けつけたいです。

 お嬢さんを抱きしめてあなたの温もりをこの手に感じて俺の腕の中に閉じ込めてしまいたいと思う気持ちがせり上がって来てその衝動を抑え込むのに必死です。

 それでも、会長が俺の事を見込みがあると思ってくれてここに来させた事を思うとしっかりしなくてはと気持ちを奮い立たせています。

 お嬢さんどうかいつまでも悲しむだけでなくお互いに出来る事を頑張りませんか?俺、あんな大見えを切ったんです。すぐに帰るなんて出来ません。

 もちろんお嬢さんの事はものすごく愛しています。だからこそここで頑張るしかないと思って何とか踏みとどまっているんですから‥

 そうだ。お嬢さん、騎士部のグッズとかまだいろいろ考えてましたよね?お嬢さんのアイディアすごくいいと思ってたんです。

 いつかお嬢さんが作った商品を売る店を始めませんか。

 俺、頑張って会長に店の一つくらい任せてもらえるようになりますから。必ずそうなるように頑張りますから、だからお嬢さんも頑張ってください。お願いします。

 俺、お嬢さんが悲しんでいるとすごく辛くてたまりません。

 だからどうぞ元気を出してください。またすぐに手紙書きますから。サタリ 】


 それを読んで私もやっといつもでも泣いてばかりじゃいけないって思った。

 そしてすごく辛かったけど段々と現実をうけいれれるようになっていった。

 引き離されたとはいえパパからすればそれも仕方のない事だとも思えるようになった。

 今の私は実の子でもないのに、こんなにも愛されて商会を引き継がせるとまで言ってくれるパパには感謝しかないがここまで来るにはやっぱりかなりの時間がかかった。

 そしてサタリとの事も商会を引き継いで行けるようになるようにと取り計らってくれた事には感謝しかない。

 


 手紙は離れ離れになった私とサタリを繋ぐ手段になった。

 私は学園での事や商会でやっている新商品の事などを手紙に書いた。

 時には自分で焼いたクッキーの差し入れやドライフルーツやジャムなども作って手紙と一緒に送った。

 サタリも身近な事や仕事のことや働く人たちとの間の色々な問題や面白くないことなども書いて来た。

 とにかくサタリはいろんな事を手紙で知らせた来た。

 私はサタリが今どんな事をしているのか、どんな気持ちなのかを離れた場所から知ることが出来た。

 それはきっと彼の優しさであり愛情なのだと感じれるようになって行った。

 

 

 ニジェやエーヴァは休んでいる間もずっと心配して何度も家を訪ねてくれたので学園の様子も知ることが出来て休んだ後学園に戻った時も戸惑うことなくみんなに馴染めた。

 ニジェやエーヴァには感謝してもしきれない。

 騎士部のファンクラブには入ったままだったが応援にもあまり参加しなくなった。

 それでもグッズに関しては責任もあるし前世の記憶がある分、新しい商品開発には一生懸命だった。

 それはサタリのおかげかな。

 彼が頑張っているから私も頑張れたと思う。

 おかげで羊毛からフェルトを作ったり、布製のマスコットも作り。そうそう、うちわも作った。

 騎士部の3年生も卒業半年前になると引退して次は2年生がメインになった。

 新たなリーダーとしてマルオン・タティウス公爵令息が選ばれるとすぐにファンクラブは盛り上がった。

 会長をお願いしていたマロン様達も騎士部にはあまり訪れなくなって、新たな会長は2年生のニーナ・グリット侯爵令嬢が選ばれた。

 ニーナもマロン様動揺気さくでいい人だったが私はほとんど裏方に回りグッズ制作をメインにした。

 ニジェやエーヴァはまた新たな推しマルオン様が出来て応援に張り切った。


 次第に私は授業が終わると家に帰るようになり、グッズの制作やグッズから生まれたフェルトで商会で販売するぬいぐるみを考えたり、前世の記憶を行かして商会で新たな商品開発に取り組むようになった。

 何もしていないとついサタリの事を考えてしまうから。

 寂しくなるとサタリに手紙を書いた。

 サタリからの手紙には鉱山の事から書類が難しいとか1週間の間に困った事や起きた出来事などが書かれていた。

 その中で困っていることがあると知るとパパや事務方に尋ねてサタリにアドバイスをしたり私は学園の事や今考えている商品の事などを書いた。

 そうやってサタリとは毎週のように手紙をやり取りしていたので彼の存在はすごく見直に感じれた。

 ただ、彼がそばにいないのが寂しかった。

 彼の温もりや肌を感じれない事が辛かった。


 王都の祭りでは出店の手伝いもした。

 サタリが行った鉱山の鉱石から鉄がたくさん取れると聞いて出店の出店で使うタコ焼き用の鉄板を作ってもらった。

 たこ焼きを作りながらサタリが一緒にいたらと思ったものだ。

 でも、サタリが一生懸命頑張っているとわかってたので我慢した。出来たんじゃなくて我慢した。

 たこ焼きの鉄板はサタリが自ら作ってくれたと聞いたから。

 

 それにフェルト生地で作ったぬいぐるみがヒットして私が学園の3年生の時にはファンシーショップを開く計画を立てて卒業と同時にお店をオープンさせる事になった。

 そのため3年生になるとファンシーショップで販売する商品開発に忙しくなった。

 騎士部のグッズなどは後輩に引き継いで私は学園と商会で忙しくした。

 サタリも残り1年と気合を入れて鉱山の採掘や環境整備に取り組んだ。

 前世の記憶がある私は会社組織に何が必要かをサタリと一緒に考え職場の環境改善や鉱山の安全。そして採掘する鉱石の利用方法などを手紙でやり取りしながら一緒に考えた。

 こうなると、そばにはいないけど心は一緒みたいな気持ちになっていたがやっぱり寂しかった。

 彼にもらったペンダントをぎゅっと握りしめる。

 




 






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