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3推しに出会う


 サタリは相変らず私の世話係をする事をやめる気配はなかった。

 むしろ前より精力的に私の事を管理しようとさえしている気もする。

 だって、毎日変わった事がなかったかってしつこく聞く。

 最近はまず最初に「お嬢さん。男から声なんかかけられてませんよね?」から始まる。

 その時のサタリの声はいつになく冷たい気もするし眉も寄せていて恐いくらい。


 いくら学園に行くようになったと言ったって私がそんなもてるとでも?不思議な気持ちになるけどまあ実際何もないから‥

 「も、もちろんよ。今日もニジェやエーヴァと一緒で楽しかったわ」って話す。

 サタリはふっと口元を緩ませてうれしそうに「お嬢さんが楽しそうで良かった。それでほんとに男とは何もなかったんですか?」と聞く。

 「そんなのあるわけないじゃない!」って答えるとまたうれしそうに「それは良かった」って毎回言う。

 そりゃ、まあ、私も一応年頃の娘って事で、パパは忙しいからサタリが変わりにそんなことを聞くんだろうけど。

 いや、パパに言われているのかもしれないな。

 はいはい、あなたが親変わりだってよくわかってますよ。って言ってやりたくなる!

 私これでも、身体はすっかり大人びて来たと思うんだけど。

 髪は亜麻色で瞳は可憐なすみれ色。小ぶりな顔出し、瞳は大きい方だと思う。唇だって小ぶりでそんなに悪くはないはず,胸だってそれなりに‥


 あの朝、勇気を出して好きですって告白したのは良かったんだけど、彼は、けんもほろろって感じでまったく相手にされなかった。

 まあ、彼は6歳の頃から私のお世話をしているし、8歳も離れてて向こうからすれば妹くらいにしか思われてないんだろうと思っていた。けどよ。

 サタリからすれば私はいつまでたっても子供にしか見えないんだろうな。




 そんなある日の午後。

 私は偶然出会ってしまったのだ。

 推しに!!

 剣技の授業の後らしくぞろぞろ練習着を着た生徒たちが列をなして歩いて来た。

 私達は大勢の男子生徒にたじたじになって固まった。


 「おい、おまえら、だらだらしてんじゃない。ほら、きちんと一列になって歩け!他の奴らの迷惑になるだろう!」

 「ほら、そこ!さっさと寄れ!」

 「は~い!!」

 男子生徒たちがさっと廊下の端に一列になる。


 「すごい!」私がつぶやく。

 「ねぇ、あの人たちカッコいいと思わない?」ニジェが声を上げた男子生徒を見て言う。

 「あの人たちってすごく人気みたいよ」

 生徒会の騎士部に所属していると言う二人。


 「ほら見てあの金髪で紅瞳。金狼と呼ばれているのがシグルド・ドバゴ公爵令息。少し垂れ目でおちゃめな感じの3年生で、

 もう一人の銀髪で碧眼。銀郎と呼ばれているのがグスタフ・ティーニク男爵令息。切れ長の目、冷たい印象でこちらもシグルドと同じ3年生よ」

 「ニジェ良く知ってるわね」

 「寮にいると色々耳に入るのよ。あの二人にはファンクラブもあるらしいわよ」

 紺碧色の瞳と私の瞳が重なってドキッとした。だってサタリとよく似ている色だったから。

 彼の唇がふわりと緩んだ。その瞬間!私は一瞬でグスタフに魅入られた。

 ニジェとエーヴァはシグルドがいいって大はしゃぎした。

 こんな所に癒しがいたなんて!!

 これは偶然ではない。必然だったのだ。

 こうなったら推しに沼ってしまえばいい!

 サタリの事は忘れるには一番いいじゃない!!


 




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