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好きだと告白したら振られたので推し活を始める事にした  作者: はるくうきなこ


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24/33

24何か行動を起こしたら?


 その日も放課後騎士部の様子を見に行った。

 サタリは黙ってついて来た。

 私の機嫌が悪いってわかってるみたい。

 「もういいから、じゃ、帰りに」

 「わかりました。お嬢さん?どこか具合でも悪いんじゃないですよね?」

 「どうしてそんな事?」

 「いえ、口もきいてくれないから、どこか痛むんじゃないかと思っただけで」

 「平気よ。じゃ、後で」

 「わかりました。楽しんできてください。お嬢さんの気分が良くなればいいですね」

 ふわりと微笑んでサタリは講堂の入り口から離れた。


 そんなサタリの後ろ姿を目で追う。

 学園の生徒とは違う明らかな大人の雰囲気を纏うサタリ。すれ違う女子生徒が立ち止ってサタリを見惚れている。

 サタリってかっこいいから女にもてるに決まってるよね。

 胸の奥がズクズク痛んだ。

 今までそんな事にすら気づかなかったなんて。

 ちょっと考えればサタリにはいくらでも女が寄って来ると言う事。私なんか相手にしなくてもサタリは困ることもないんだ。

 ほんとばかだな私。

 

 

 ニジェ達が来て私は一緒に講堂に入った。

 騎士部の練習はもう始まっていた。

 すでに20人ほどの女子生徒がいた。それぞれの推しの近くで応援をしている姿が目に入る。

 「リネア、グスタフ様来たわよ」

 「ああ、そうね」

 今の私の中ではグスタフ様が完全に推しではなくなった。

 好きって言う気持ちをはっきり知ると言うのは嫌な事だと思う。

 行き場のない好きって気持ちは特に。

 「どうしたのリネア。元気ないね。私達はシグルド様が婚約したから凹んでても仕方ないけど、グスタフ様にはまだチャンスがあるんだから~」

 「だよね」

 ニジェ達に気づかれたくなくてわざとはしゃいで応援をする。

 「ぐすたふさま~すてき!きゃ~こっち向いて~」

 黄色い声を上げてきゃぁきゃぁ騒ぐ。

 グスタフ様はそんな私を見てクスッと笑って奥の方に歩いて行った。


 ニジェが私をジト目で見る。

 「ねぇ、リネア何かあったの?」

 「何もないわよ。もう、今日のグスタフ様いつもよりカッコいいと思わない」

 「何かおかしいのよね‥」

 エーヴァもそう言うと私の顔をまじまじと見る。

 「もぉ、なに?何もないって‥あっ、そっか。二人の推しであるシグルド様婚約したもんね。だから落ち込んでるんでしょう?、男はシグルド様だけじゃないわ。ほら、ティーモ様もレイリー様もいるじゃない。それにほら見て!2年生のマルオン・タティウス公爵令息はどう?彼は嫡男で、人気はうなぎ上りよ!」

 私は口早にまくし立てる。

 「「リネア!正直に言いなさい!」」


 まったく二人にはかなわないなぁ。


 それで崩壊寸前だった私はとうとうサタリが好きだって白状した。それに他の女性がいるかもって話もした。

 「でも、さっきの話じゃお互い告白したんでしょう」

 「でも、彼の気持ちがさっぱりわからないんだもの」

 「どういう事よ」

 そう聞かれいつもの彼の行動を話した。

 二人とも黙った。


 不意にニジェがポンと手を叩く。

 「リネア、彼に嫉妬せればいいんじゃない?」

 「嫉妬?あっ、でもサタリは私を特別だって思ってるわけじゃない見たいって言ったじゃない」

 「そうかな?私は彼はあなたにべたぼれの気がするけど?」

 エーヴァが信じれないことを口にする。

 「そんな。まさか。そんな事ないわ。だって彼いつも言ってるんだから。私の世話係だって、好きって言ったってサタリのは子供に対する愛情みたいなものなんじゃないかって思うもの」

 私だってほんの少しはもしかしたらって思っている。でも、期待して違ってたら?

 そんなの辛すぎるから。

 それならそんな期待最初からしない方がいい。

 「そうかな?」

 「だから、リネアが別の男と仲良くしてる所を見せつければいいんじゃない?ほんとに好きなら何かリアクション起こすわよ」

 「そんなの今までだってグスタフ様の推しになった時だってサタリは手を握られただけですごく怒ってたし、それじゃサタリの本心はわからないわ。だって私をすぐに子ども扱いするんだもの。子供だからそんな事をしちゃだめだってサタリはそう思ってるだけなのよ」

 「そうか‥」

 3人は何も言えなくなった。


 騎士部の練習が終わり生徒が帰り始めた。

 男子生徒たちもちらほら講堂から出て来る。

 そこにグスタフ様が声をかけてきた。

 「リネアさん、ちょっといいかい?」

 「はい」

 ニジェが「リネア、いい機会じゃない。グスタフ様とイチャイチャしてみなさいよ。もしかしたらサタリさんの気持ちがわかるかもよ」耳元で囁いた。

 「期待できないけど‥やってみようか」私のこっそり話す。

 「そうよ。何か行動を起こさなきゃ!」エーヴァも後押しする。


 私は決心してグスタフ様について行く事に。

 「グスタフ様、私も話があるんです。あの‥講堂の裏手に行きません?」

 「ああ、俺もそうしようかと思ってたんだ。じゃ、行こうか」

 グスタフ様の手が差し出され、私は手を伸ばす。彼が手がしっかりと繋がれ私たちは講堂の裏手に移動する。


 ちらりと後ろを見る。

 サタリがこっそり付いて来ている。

 計画実行のチャンスだけど、何をすればいいんだろう?

 まさか、好きとかは言えない。ふらりと気分が悪くなったふりでもして抱きつく?

 脳内でどうすればいいかこの後の事を世話しなく考える。



 


 





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