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22サタリに女の人が?


 学園祭での騎士部の活動は大成功に終わった。

 それで新たなグッズを作ろうと話が盛り上がった。

 私は次に革製の細長いネームプレートのようなものはどうかと思っていたが、パパから投影機というものを見せられてもしかしたらアクリルスタンドのようなものが作れるのではと思い始めていた。

 投影機は日本で言うカメラのようなものでレンズを通して使者隊から光線を感光剤に焼き付けるものらしい。

 詳しい原理はよくわからないがとにかくシグルド様やグスタフ様の写真が取れ釣って事で。

 ガラス板をおおよその15センチくらいの人型にカットしてその写真、ああ、この世界では光絵って言われているみたいなんだけど、その光絵を張りつければ推しを自分の部屋に飾れるって言うものすごい優れものになるんじゃないかって。

 ニジェやエーヴァに話したら早速試作品を作って見てとせがまれた。


 もう、二人のおねだりには弱い私は早速、次の休みにうちの商会のガラス工房に行ってみる事にした。

 もちろんサタリも一緒に行くことに。

 ガラス工房は家から近いので歩いて出かける事にした。

 工房に着くとすでに人が待っていてくれた。

 「いらっしゃいませ。リネアさんですか?お待ちしてました」

 「今日はお休みの所をご無理を言ってすみません」

 応対に出てくれたのは20代前半と思われるすごくきれいな女性だった。

 「いえ、とんでもありません。さあ、どうぞ工房の方に、試作品は出来上がってますのでご覧になって下さい」

 「もう、出来上がってるんですか?すみません。急だったのに。お忙しかったのでは?」

 「いえ、光絵を頂いてサイズもわかりましたのでそんなに難しい事ではなかったと聞いています」

 感じのいい返事にすっかり気をよくして私は工房の中に入って行った。

 目の前に5つのアクリルスタンドならぬガラススタンドと言えばいいんだろうか。

 シグルド様、グスタフ様。ティーモ様にレイリー様そしてマヨック様。それぞれの光絵があった。

 おまけにガラスにはそれぞれの色が入っていてシグルド様は赤やグスタフ様は青、ティーモ様は緑でレイリー様とマヨック様は茶色になっている。

 ちゃんとガラスを立てる台まであってその台は木製だった。

 なにこれ?すごくない?もう、完璧なんじゃ?

 私は興奮してそれぞれを目を凝らして眺める。

 「これすごいです。みんなが見たらどんなに喜ぶか、ありがとうござい‥」

 はしゃいでお礼を言いながら後ろを振り返った。


 そこに見えたのは‥

 サタリにしなだれかかる女の人。

 ううん、さっき応対に出た女性だった。

 美しい赤髪に翡翠のような美しい瞳。大人っぽい艶やかな身体つきでサタリの腕にもたれている。

 その女性は私が見ていることに気づいてないのかサタリに話しかけている。

 私の耳はダン○みたいになっている。

 「サタリ、会いたかった。最近全然顔見せてくれないんだもの。寂しかったわ」

 「アグル、いい加減にしろ。お前と俺はそんな関係じゃないだろ。ったく‥」

 男ってみんなそう言うのよね。私のいる所で俺の女だなんて言う会話もするはずもない。

 それにそのアグルさんとか言う人あなたに似合ってると思う。

 すごく。

 「そんな事言わなくたって、ねぇ、今夜食事でもどう?」

 「俺は忙しい」

 「あれ?あの子の子守り?あなたも大変よね。会長直々に頼まれれば嫌とは言えないもの。でも、息抜きは必要じゃない?」

 「アグル、お前ケイアはどうしたんだ?」

 「あんなの‥だからあなたを誘ってるんじゃない。もう、鈍感!」

 アグルさんがサタリの胸をバシッと叩いた。

 「いい加減にしろよ!」

 そこでサタリがやっとアグルさんと距離を取った。

 


 脳内で二人の映像が構築されて行く。

 あれがこうなって、これがこうなって、それでチャチャッとああなる。って感じ。

 妄想では今夜あたりサタリとアグルさんが会って久しぶりなんてことで盛り上がるってわけで。

 ああ~この分だとサタリはきっと‥


 ぞわりと胸の奥が騒ぐ。

 喉の奥がズキズキ痛い。

 サタリ、アグルさんとはどんな関係なの?私とどっちが好き?あなたは私が好きなんでしょう?

 脳内でいっそそんな声を押し出せばって誘惑が押し寄せる。

 そんな事口が裂けたって聞けるわけないじゃない!

 

 ちらりとサタリを見る。

 サタリは困ったような顔をしてはいるがシグルド様をはねつける時のような冷たい瞳ではない。

 まんざらでもないって事?


 その場にいたたまれなくて私はお礼だけ言うと工房を走り出た。

 「お嬢さん。待って下さい。こ、これは、違うんです。そのかんち‥‥」

 聞きたくなかった。

 聞いたってそれが嘘かも知れないんだもの。

 私なんかよりよほど似合ってる気がして、それが余計に苛立たしくて悔しくて。

 もう、どうしていいかもわからないまま私はそのまま家まで走って帰った







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