18しつこいシグルド様
それからサタリは私の護衛係に戻った。
今までと同じようにサタリと一緒に朝食をとると学園に向かう。
放課後には騎士部の応援に行き、シグルド様達とは距離を置いて応援をした。
シグルド様もあれからも私を見るたびに好きだと言って来る。
「リネア、いい加減俺の気持ちを受け入れてくれ」
「いい加減にして下さい!私はそんな気はありません」
いつもこんな感じでシグルド様が私に近づく前にサタリが私の前に出て私を庇う。
「クソガキ!いい加減にしないと痛い目に合わせるぞ!」
「たかだか、平民の護衛ごときが‥うるさいんだよ。リネア、俺は諦めないからな」
「いくら言われても私の気持ちは変わりませんから」
と、そんな毎日が続いていた。
グッズは好調でファンクラブ以外の人たちへの売れ行きもいい。
以外にもペンライトからヒントを得て屋敷の門灯のライトが出来たり、貴族の屋敷の庭のデコレーションライトにも応用された。
他にもお店の看板の飾りつけを彩るライトにも転用されておかげで商会の売り上げアップに貢献できた。
あれからサタリの事を思わない日はない。
もしかしてサタリは私の事が好きなのって思ってみたり、そんなはずはないと沈んでみたり。
二人の間には全く進展はなかった。
お世話係に戻ったサタリとは距離は相変わらず縮まってはいない。
今日も騎士部に向かう途中、サタリが校舎を出て来た私を見つけるとすぐに近づいて来た。
「お嬢さん、授業が終わるころだろうと待ってました」
「サタリ、講堂に行くだけだから、無理について来なくていいのに‥」
ほんとはサタリの顔が見れてうれしいのに。
「無理だなんて。俺の仕事を奪わないで下さい。さあ、行きましょう」
こんな感じで、あれ以来サタリは教室以外の移動にはすべてついてくるようになった。
「お嬢さん、いいですか。半径1メートル以内に男は近づけないように。特にシグルドは危険ですから、絶対俺から見えない所にはい行かないで下さい」
「はいはい、わかってるから。サタリ、でも、グスタフ様だけは別よ」
「まあ、見るだけなら我慢しますよ」
「なによそれ?いい?グスタフ様は私の癒しなの。邪魔したら許さないから」
「ですが、本当にシグルドには気を付けて下さいよ。ったく。あいつ本気じゃないくせにお嬢さんにしつこく付きまとって‥」
「そうよ。どうしてシグルドなのかしら?グスタフ様ならうれしいのに」
なんて言ったけど、すでにこの頃にはグスタフ様にそこまで入れ込んではいなかった。
心の中では。
私はサタリが好き。サタリと一緒にいたい。ほんとはこのまま帰って一緒にお茶でもした方がうれしいんだけど、そんなわけにも行かないし‥
だってグッズの事だってファンクラブの事だって私が言い出したことで、今さらファン止めますなんて口が裂けても言えないもの。
「はぁぁぁ~。またグスタフですか?推し推しって‥男はみんな狼なんですよ。こうなったらお嬢さん、まじ、犬でも飼いませんか?そしたら毎日癒されるんじゃありませんか?俺、色々つてありますけど?」
「もぉ!推しはそんなんじゃないのよ!いいから黙ってて!」と心にもない事を言う始末。
「そんな、怒んないでくださいよ。ったく‥」
講堂に着くとサタリは講堂の外でじっと私が出てくるのを待っている。
ちらりと外を見ればいつだってサタリと目が合う。もう、サタリ、あなたストーカーっぽくなってない?いや、忠犬ハチ公か?
なんて思うがサタリがふわりと笑って私を見つめるとそんな気持ちよりうれしい気持ちが勝ってしまう。
はぁぁぁ~、こんな気持ちいつまで続くんだろう。
なんて具合でそんな毎日を繰り返していた。
そんなある日、我が家にドバゴ公爵とグスタフ様が訪れた。




