13グッズを作ろう
むしゃくしゃする気持ちを少しでも何とかしたいと思って私はクローゼットから毛糸を取り出した。
この毛糸は、サタリにマフラーでも作ろうと思って買っていたものだ。
彼の色に合わせて銀色の代わりに薄い灰色と濃い目の灰色そして青色を用意していた。
これならグスタフの色と同じだしちょうどいい。
そんな気持ちで早速編みぐるみを作り始める。
でも人間の姿だと難しいかも、それなら狼をイメージしたらと絵本に載った狼の絵柄を参考にしながら作って行く。
片足から編んでそのまま身体に進み作った腕を閉じ込むながらそのまま顔に進む。
お腹は薄い灰色にする。
鼻から下の部分を薄い灰色にして大きめにして耳も少し大きめ。
そうやって完成したものに綿を詰め込んで行き最後に太めの尻尾をつければマスコット型の狼の編みぐるみが出来た。
鼻の先を黒い毛糸で目の周りを青い毛糸と黒い刺繍糸で仕上げて完成。
羊皮の端切れをマント風にアレンジしてその編みぐるみに着せて腰に黒い毛糸でベルトを作り剣に見立てたスティックを差してみた。
超~かわいい!
我ながらいい出来栄えではないか。
すっかりテンションが上がる。
あれ?これグスタフ様仕様のつもりだったんだけど‥
何だかサタリにそっくり。
もぉぉ!何でこうなるのよ。
ううん、これはただの編みぐるみで彼に似せて作ったわけじゃないんだから。
胸のモヤモヤを追いやる。
気づけばすっかり暗くなっていた。
不意に声がかかった。
サタリが「食事にしましょう」と声をかけた。
扉が開かれそうになり私は慌てた。
即座に「いらない」と断わった。
「お嬢さん?まだ怒ってるんです?俺、もう二度としませんから口はしっかり閉じて愛想笑いなんかもしません。だから」
サタリは部屋に入って来そうになって急いで「入らないで!」って言った。
サタリは扉越しに「でも、お嬢さん」と声をかけた。
私は「サタリなんか大嫌い」って言ったら何も言わずにいなくなったみたい。
ちょっと可哀想かとも思ったけど私も彼から距離を置くためにもこうした方がいいと思うから。
とにかく作った編みぐるみがサタリに似ているなんて思い過ごし、よく見ればグスタフ様にもみえるじゃない。
はぁ、私ったら‥人の思い込みっていやね。
出来上がった編みぐるみが可愛くてすっかり大満足した。
それから頂いたラフランがあったとそれにかぶりついた。
これおいしい~。
それからこれからどんなグッズを作ろうかと考え始めた。
まずは編みぐるみ。
合金メッキを使ってコイン型のキーホルダーなんかもいい。これも金色と銀色で狼の模様を入れて、それから革のキーホルダーもつくれるといいな。色も赤や青。4色くらいで狼の型を押したらかっこいいな。
布にイニシャルを刺繍してそれをボタンでくるめばバッジが出来るかも。
あっ、それからペンライトに似たようなものが‥筒状の入れ物の先に色ガラスを取り付けて持ち手部分に魔石をはめ込めば出来るんじゃ?
この時代には乾電池もないしああ、これでうまく光るかな?
あれこれアイディアを書いては見るがなかなか思うものは出来ない。
そうしているうちにうとうと眠気が襲って来た。
私はそのままベッドの上に下書きした紙を置いたまま疲れて眠りについた。




