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1章 魔法大学入学 闇の森へ1

闇の森へ探索開始します。

古い時代、ヴァリス王国が存在した──その事実は今やほとんど忘れ去られて久しい。

かつて栄華を誇ったその地は、いまや“闇の森”と呼ばれ、誰も近づこうとはしない。


森の中心に向かうほど魔力濃度は急激に上昇し、空気そのものが重く、粘りつくような感覚をもたらす。

強い魔力に長時間晒されれば、まず魔力酔いを起こし、激しい吐き気と頭痛に襲われる。

さらに触れ続ければ昏倒し、意識を失う。


通常はこの段階で魔力を放出し、治療を施すことで回復する。

だが、そのまま強い魔力に晒され続けた者は──死ぬ。


そのため、強力な魔力が渦巻く土地は“禁忌の地”として封じられ、人々の侵入を許さなかった。

高難易度ダンジョンの深層もそのひとつであり、魔力耐性か対策がなければ攻略は不可能。

そして、闇の森はそうした禁忌の地の中でも特に危険な場所として知られている。


中心部は超高濃度の魔力が溜まり、視界は黒い霧に覆われる。

さらに魔物は中心に近づくほど凶暴かつ強力になり──

闇の森の中心を見た者は、誰一人帰らなかった。


余談だが、魔力酔いによる死亡には別の逸話もある。

極めてまれに、魔力酔いを“克服”し、種族を超越する者がいるという。

それを“超克”と呼ぶ。

生物が超克すれば魔物となり、人は魔人になる……

だが、それを知る者はごく少数だ。


危険すぎるため、魔力酔いは早期治療──

失敗した者は“苦しまぬよう”という建前で安楽死すら推奨される。

それほどまでに、この現象は恐れられていた。


ミルディアスが闇の森へ向かうと決めたのは、そんな土地になお“気配”を感じたからだった。


その日の朝、執務室で地図を広げていたクラウスが、静かに問いかけてきた。


「本当に行かれるのですか、旦那様。闇の森の中心は、誰も帰ってこなかった場所です」


「わかっている」

ミルディアスは淡々と答える。


「だが、あの魔力濃度……自然の産物ではない。

何かがあそこに『ある』。」


クラウスは息を飲んだ。


「王府は支援を拒否しています。兵を出せば損害は免れない……と。

その代わり自治権を与えるなど、無責任にもほどがあります」


「好きにやれと言われたようなものだ」

ミルディアスは肩をすくめる。

「徴兵も税もない。ならば、この領地を守るためにも動くべきだろう」


クラウスは苦笑した。

「……わかりました。ですが準備だけは万全に。

輜重は多めに積み、魔力酔い対策は徹底させます」


「任せる。お前の判断は信頼している」


「光栄です、旦那様。まったく……本当に、無茶をなさる」


ミルディアスは小さく笑った。

「無茶をしなければ道は拓けんさ」


こうして、闇の森への第一歩は 魔力酔い対策 に始まり、

続いて 調査団の編制、輜重部隊の準備 が進められていった。


王府からの資金援助は不可。

しかし徴兵と課税の対象外──つまり完全な自治領としての権利を得た。


ミルディアスは領地の貯蓄と収益で十分やっていけると踏み、

ひと月後には準備を整え、出発の日を迎える。


自宅からヴァリス城跡を目指し、

ほぼ一直線に森を切り開きながら進む計画だ。


大きめの馬車を十五台並べ、物資をぎっしり積み込む。

ミルディアスが声をかけると家臣たちが次々乗り込み、準備が整っていく。


ただ──肝心の“馬”がいない。


「旦那様、まさか……」


そのまさかだった。

ミルディアスは神獣と見まごうケンタウロスの姿へと変身し、

馬車全体を魔力で包み込み、まるで自身の身体の一部のように扱い始める。


馬車と一体化したまま森へ踏み込むと、

道などないはずの場所に魔力の腕をいくつも伸ばし、魔力の斧を振り下ろし、木を切り倒し、草を諸共地面を掘り返し、地ならししながらミルディアスは突き進んでいく。

次々と木々が倒れ、倒れた端から彼の魔力に取り込まれ消えていく。


ほんの数分で、馬車が通れるほどの道が出来上がっていた。


ミルディアスは道を軽く均しながら、さらに奥へと進んでいく。


その姿は、まるで巨大な怪物が森を蹂躙しているかのようだった。

だが魔物たちは彼を襲わない。

むしろ逃げるように森の奥へ退いていく。


──こうしてミルディアス一行は、

静かに、しかし確実に“闇の森”の深部へと足を踏み入れた。


苦労するかと思いきや何の問題も発生しませんでした。

ずんずん行ってみましょう。

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