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1章 魔法大学入学 魔法大学交流戦 準決勝3

ミルディアスvsクロウ

やっと書きました。

闘技場を包む熱気は、昼の太陽よりも重く鋭かった。

観客の視線が中央に集まる。その中心で、青髪の青年――ミルディアスが、ゆっくりと愛用の杖を構えた。

漆黒の杖の先端に淡い光が灯る。

対するは、黒衣の召喚士クロウ。表情は薄く、ただ無造作に右手を上げた。


「――軽く、試させてもらおうか」

低く呟くと、クロウの指先に赤い魔法陣が浮かぶ。


轟音。

火炎弾が唸りを上げ、一直線にミルディアスへ向かった。

観客席から悲鳴が上がる。だが、ミルディアスの表情は変わらなかった。


「小手調べ、というわけか」

杖を軽く振る。

杖の宝珠が輝き、蒼い魔力弾がn飛び出す。火炎弾と空中で激突し、爆ぜる。

爆炎が舞い、砂が舞い上がった。

「悪くない威力だが――単調だ」


クロウは笑った。「なら、もう一発」

今度は雷光。

稲妻の槍が空気を裂くように突き抜けた。

ミルディアスは杖を横に払い、魔力を解放する。


どこからともなく現れた鎖が伸びる。

ガシャリ――。

その鎖が雷槍を絡め取り、地面へ叩きつけた。


「……鎖?」クロウが眉を上げる。

「知ってのとおり元は“触手”の形だったんだがな。見た目が不評でね鎖にしてみたんだ。品があるだろう?」

クロウの口元にわずかな笑み。

「見た目はな。しかし複雑な形にしたもんだ。硬いな、力でねじ伏せるしかねぇな」

 再び魔方陣を展開。今度は足元が黄金に輝く。


「来い――《黄金の骸骨兵ゴールデンスケルトン》!」

地面から、黄金の骨の巨躯が浮かび上がる。

手には鈍く輝く骨剣。ミルディアスが撃ち出す魔力弾を、金属音を響かせて打ち払った。


「……これは厄介だな」


クロウはさらに詠唱を重ねる。

闘技場の砂が波打ち、次々と白いスケルトンたちが這い出した。

「これが俺の戦い方だ。多勢に無勢ってやつさ」

「ほう……数で来るか。悪くない」


ミルディアスは杖を構え直し、冷静に魔力を高める。

蒼い光が杖から溢れ、彼の全身を包んでいく。


「そろそろ――こちらも本気を出そう」


空気が震える。

観客席が静まり返った。

青い魔力がミルディアスの身体から滲み出し、薄い霧のように広がっていく。

霧はすぐには攻撃に転じない。ただ、場の支配そのものが変わった。


「……なんだ、この圧?」クロウがつぶやく。

「魔力の解放だよ。ただし――これは始まりにすぎない」


やがて霧は沈みはじめ、膝の高さに溜まる。その質感は液体のように重く、冷たくなっていく。

スケルトンたちが一歩踏み出すたび、粘る音を立てた。


「……動けねぇ?」クロウが眉をひそめた。

「液状化した魔力だ。大量のスケルトンを召喚しても動けまい!」

白骨たちは次々と沈み、動きを止める。

黄金のスケルトンだけが鈍重に進み続けていた。


「やっぱり、こいつしか頼れねぇか」クロウが低く笑う。

「だが、まだ終わっちゃいねぇ」


クロウが両手を掲げる。停止していたスケルトンたちが、音を立てて崩れ始めた。

骨が集まり、積み上がり、融合する。

観客が息を呑む。

「立ち上がれ……《がしゃ髑髏》!」


闘技場の中心に、巨大な骸骨が姿を現した。

ミルディアスの10倍はあろうか、その眼窩の奥に黒炎が灯る。

手には馬車に収まらないほどの大剣。

ミルディアスは杖を握りしめ、その圧倒的な存在感に目を細める。

「力任せか……だが、悪くない」


がしゃ髑髏が咆哮を上げる。

魔力の水たまりをかき分けながら、一歩、また一歩と迫る。

その影が覆いかぶさる瞬間、ミルディアスの杖が閃いた。


「終わりだ」

どこから取り出したのか、彼の背後に巨大な魔力のハルバートが形成される。

がしゃ髑髏の大剣が振り下ろされ――

同時に、ミルディアスのハルバートが振り抜かれた。


――衝撃。

轟音と共に砂煙が上がり、がしゃ髑髏の巨体が真っ二つに裂けて崩れ落ちる。


観客の歓声が爆ぜた。


がしゃ髑髏の右半身はすぐに崩壊し闘技場に横たわっていたが、左半身は膝をついた状態で少しずつ崩れていくところだった。

降り注ぐがしゃ髑髏の残骸、粉々になった骨の破片がパラパラと降り注ぐ様子を見ていた。

きっとクロウの奥の手だったのだろう、がしゃ髑髏は圧巻の迫力だった。

流石に勝利を確信したその時ひときわ大きな頭蓋骨の破片が落ちてきた。


当然のごとくミルディアスは前に一歩踏み出し頭蓋骨を躱す、背後に落ちていく骨の山の中から、黒い光が走った。

そこから現れたのは――漆黒のスケルトン。

赤く光る眼孔がミルディアスを捉えた瞬間、鋭い骨剣が閃いた。


刹那。

ミルディアスの肩口に黒い骨剣が突き刺さっていた。


「っ……!」

観客が息を呑む。


ミルディアスは魔力の腕で肩に突き刺さっている剣を引き抜き、何事もなかった可能用に黒スケルトンを弾き飛ばし、わずかに笑う。

「やるな……クロウ」


クロウに接近しようと走り出すミルディアス、そこへ審判が声を張り上げた。

「そこまで! 勝負あり!」


闘技場が歓声に包まれる。

クロウは肩で息をしながら、呟いた。

「……まいったな。がしゃ髑髏を瞬殺とか化け物だな」

「実戦なら――どちらが生き残るか分からんな」

ミルディアスはハルバートを肩にかけ、静かに微笑む。

「……負けたかー。油断大敵とはよく言ったものだ。完敗です先輩の召喚術見事でした!」

クロウは肩で息をしながら、呟いた。

「ミルディアスこそ見事だったよ、特にあの水溜まりのようなやつ、あれのせいでがしゃ髑髏の出番が早まったよ。あれはなんていう魔法だい?」


「あれは魔法じゃないよ、ただの魔力操作で魔力を性質変化させただけさ!」


「はぁ?あれがただの魔力操作だと!?」「それってもう魔法でいいだろ!!」


観客のツッコミと拍手が鳴り止まない。

二人の間に、わずかな敬意の空気だけが残った。


優勝させるつもりはなかったので、準決勝で負けておきます。

これからミルディアスの周辺に変化が起きていく予定なのでちょいちょい書いていきます。

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