1章 魔法大学入学 魔法大学交流戦 準決勝
久々に続きを書きます。
数日前:ダンジョン32層での思索
数日前、クロウはいつものように魔物の群れを召喚し、支配下に置いたスケルトンたちを率いてダンジョン32層を攻略していた。漆黒の頭蓋骨に魔力の光を灯したスケルトン兵士、岩のように頑丈なスケルトン・ゴーレム、そして闇に溶け込むかのような素早い動きのスケルトン・アサシン……。彼の操る多種多様な召喚獣が、薄暗い洞窟の奥深くで蠢く魔物たちを次々と打ち倒していく。ここは、クロウにとって自身の召喚魔法の研鑽の場であり、自身の限界を試すための実験場でもあった。しかし、最近は別の、より切実な目的も兼ねていた。それは、来たるべき魔法大学交流戦準決勝の対戦相手、**「ミルズ」**という冒険者の対策だった。
「戦ったら厄介な相手だな…」
クロウは、眼前のスケルトン・ゴーレムが自身の拳で岩のゴーレムを粉砕するのを見つめながら、深いため息をつく。彼の脳裏には、いままで何度か共闘した「ミルズ」の戦闘シーンがが繰り返し再生されていた。クロウが最も驚愕したのは、圧倒的な魔力量だった。クロウが限られた魔力をやりくりしてスケルトンを召喚するのに対し、ミルズの魔力はまるで無限の泉のように感じられた。どんなに激しい魔法?を連発しても、魔力枯渇の兆候は一切見られない。それは、クロウがこれまで出会ったどの魔法使いよりも、遥かに深い魔力源を持っていることを物語っていた。
そして、その魔力を操る精密な魔力操作。ミルズは、自身の周囲に目に見えない強固な障壁を展開し、敵の攻撃を完璧に防御していた。ただのバリアではない。魔物の放つ炎のブレスは歪み、クロウの召喚獣の鋭い剣は弾かれ、岩の礫は触れる前に粉々になった。それは、彼の意思のままに硬度や形を変える、まるで生きているかのような魔力の壁だった。クロウが試したあらゆる攻撃、数で押し潰そうとする波状攻撃も、一体の強力な召喚獣による渾身の一撃ですら、その壁を突破できずに霧散した。
最も衝撃的だったのは、人間離れした反応速度と加速だ。彼は、危険が迫ると、まるで予知しているかのように一歩下がり、瞬時に自身の体を魔力で覆い、攻撃を無力化した。特に、彼がその能力を最大限に発揮した「ケンタウロスもどき」に変化した時の加速力は、クロウの召喚獣の追撃を完全に振り切り、魔物の群れを瞬く間に蹂躙した。その光景を見た時、クロウは鳥肌が立ったのを覚えている。それは、魔法使いというよりも、まるで魔法を纏った武神のようだった。
「並大抵の攻撃では、掠り傷一つつけられないだろうな」
クロウは、自身の得意とする多数のスケルトンによる波状攻撃や、個々の強化スケルトンの連携攻撃が、彼には通用しないと確信していた。いくら頭数を揃え、攻撃を集中させても、瞬時に硬化する防御の前では意味がない。それは、岩に卵をぶつけるようなものだ。
手持ちの召喚獣では太刀打ちできないだろう、もし冒険者としてミルズと対峙するような事態に陥ったら逃げる一手だろうな。
それがかなわない状況だったら、どうしても戦わなければならないなら、魔力の壁そのものを破壊するほどの、規格外の一撃「一点突破…、それしかない」
クロウの召喚魔法は、本来、数の力と連携による制圧を得意としていた。一つの強力な個体を作り出すよりも、多数の個体を召喚し、それぞれの特性を活かして戦う戦術だ。しかし、ミルズという壁を前にして、その常識は通用しなかった。
彼は、自身の魔力を最大限に凝縮し、物理的な破壊力と魔力浸透力を兼ね備えた**「黄金のスケルトン」**に、さらに一点集中型の強^化を施すことを考える。通常の黄金スケルトンでは足りない。骨格そのものを魔力で形成し、特に片腕を「魔力刀」へと変化させることで、あの防御を切り裂く。そのための魔力制御は、想像を絶するほど難しいだろう。自身の魔力の大半を一箇所に集約させるのだから、少しでもバランスを崩せば、魔力暴走を起こして自滅しかねない。
そして、その魔力刀を最速で叩き込む。その一撃に、自身の全てを賭けるのだ。それは、これまでの彼の戦術とは全く異なる、捨て身の戦略だった。しかし、クロウには、これしか勝利への道が見えなかった。
彼は、深層ダンジョンの薄暗い中で、自らが勝利するための唯一の「解」を見つけ、その具体的なプランを思考し始めた。それは、己の魔力の全てを捧げる、捨て身の戦略だった。この一撃を放った後、彼にはもう戦う力は残らない。それでも、あのミルズという才能を前にして、自身の魔法がどこまで通用するのか、証明したかった。
「……可能性は低い。だが、これしか道はない」
ミルズという冒険者は驚異的な戦闘力を持っているだがお人よしともとれる性格を思うと、そんな未来は想像できなかった。
書きたいことはいっぱいあるんだけどなかなか進まないっす。




