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1章 魔法大学入学 スケルトンが弱いって誰が決めた!?

スケルトンが弱いって誰が決めた!?って言いたいだけで書き始めました!

あれから約1か月。魔法大学の交流戦は各地で熱戦が繰り広げられ、生徒たちの冒険者活動も順調に実績を重ねていた。


そんな中、冒険者たちが日々挑戦を続けるダンジョン、その32階層で、いつになく騒がしい異変が起きていた。岩肌がむき出しの広間と化したその階層には、本来生息しないはずの、異様な気配が渦巻いていた。奥から響く激しい戦闘音に、周囲の冒険者たちが顔を見合わせ、警戒を強める。そこへミルズが足を踏み入れると、信じられない光景が広がっていた。


広間の中心で、一体のスケルトンが、周囲に群がる中層の魔物たち――鋭い刃を持つ複数の腕を振り回すクワッドアームド・オーガや、全身が鋼鉄の如く硬い鎧で覆われたアイアンゴーレムを次々と打ち倒しているのだ。そのスケルトンは、ただの骨の塊ではなかった。通常のスケルトンとは比べ物にならないほどの素早さと力。朽ちかけた剣を振るうたびに風を切り、的確な一撃で魔物の急所を捉え、動きには一切の無駄がない。時に跳躍し、時に回転しながら、まるで熟練の剣士のように舞うその姿は、見る者を圧倒した。その異様なまでの強さに、ダンジョンを探索していた他の冒険者たちは困惑し、手出しできずに遠巻きに眺めるばかりだった。


ミルズは、その並外れたスケルトンの存在に強く興味を惹かれた。この異様な強さを持つ個体を討伐すべきか、それともその途方もない力を詳細に観察すべきか。その日、ケンタウロススタイルの姿を取っていたミルズは、全身を覆う青い魔力の輝きを放ちながら、スケルトンへと一直線に接近する。彼の右手に握られていたのは、彼がこのケンタウロススタイルで戦う際に好んで用いるハルバートだった。元々剣を主としていたミルズだが、この四肢を持つ形態では、リーチと重量を活かせるハルバートが最適だと判断したのだ。その驚くべき戦闘能力を肌で感じ取るため、彼はいつでも行動に移せる体勢に入った。彼の視線は、一点の曇りもなくスケルトンの動きを追っていた。


しかし、その瞬間、どこからともなく一人の男が現れた。男はミルズの前に、まるでそこに元々いたかのように自然に立ち、暴れるスケルトンを親しげな様子で指差した。その身にまとったローブは多少煤けているものの、表情には余裕が漂っている。


「おっと、そいつは俺の連れだ。邪魔するつもりか?」


男はそう言い放ち、ニヤリと口の端を上げた。ミルズはハルバートを構えたまま、男に鋭い視線を向けた。その眼光は、まるで獲物を定める捕食者のようだ。全身から発せられる魔力の気配は並々ならぬものがある。ミルズは、わずかに口を開いた。


「このスケルトンは……あなたの召喚獣、ですか?」


ミルズの問いに、男は満足げに頷いた。


「ああ、そうだぜ。なかなか骨のある奴だろ? お前さんの興味は引けたみたいだな」


男は改めてミルズの方を向くと、挑戦的な笑みを浮かべた。その瞳の奥には、確かな自信が宿っている。


「……まさか、これほどの力量を持つスケルトンが存在するとは。これは……非常に興味深い」


ミルズは静かな口調で素直な感嘆を述べた。彼の言葉に、クロウは目を見開き、やがて楽しげに笑った。


「ほう? 素直に認めるか。悪くねぇな。だがな――」


クロウはさらに一歩、ミルズに近づき、その黄金のスケルトンをちらりと見やった。


「――『スケルトンが弱い』なんて、誰が決めたんだ?」


彼こそは、スケルトンの召喚魔法を得意とする、変わり者の冒険者、クロウだった。彼が召喚するスケルトンは、その元となった素材や召喚時の儀式、あるいは込められた怨念の質によって強さが大きく変わると言われている。そして、クロウが連れているスケルトンの中でも、ひときわ異彩を放つ黄金のスケルトンは、その輝きに違わず、とてつもない強さを秘めていると噂されていた。この黄金のスケルトンは、伝説級の魔物の骨から作られたとされており、並の魔術師では制御することすら叶わない代物だ。


ミルズが倒そうと接近したスケルトンは、まさにクロウが召喚した一体だったのだ。クロウはミルズの意図を察し、自分の召喚獣であることをアピールすると同時に、その強さを見せつけているようだった。周囲の冒険者たちは、そのやり取りに呆然と立ち尽くしていた。ミルズはクロウの言葉と、目の前のスケルトンの動きをじっと見つめ、静かにその場に立ち止まった。彼の興味は、完全にこの異質な召喚師とその召喚獣に移っていた。


奇妙な共闘と互いへの驚き

ミルズは興味深そうにクロウを見据えた。彼の目の前で暴れるスケルトン、そしてそれを召喚し、飄々とした態度で立つクロウ。ミルズは即座にそのスケルトンの動きや構造を詳細に観察し始める。召喚魔法の奥深さ、そしてクロウの魔法の制御能力に、彼は純粋な好奇心を抱いた。クロウもまた、ミルズの冷静な対応と、その日の全身を青い魔力に包まれたケンタウロススタイルの姿に少なからず好奇心を抱いたようだった。通常、このような状況で攻撃的な構えを取る者は多いが、ミルズは全く異なる反応を示したのだ。


クロウは必要に応じてスケルトンを召喚・帰還させるという独特の戦術でダンジョンの魔物たちを翻弄した。通常の骨格を持つ兵士タイプから、素早い動きで敵を攪乱する偵察タイプ、あるいは頑丈な盾役となる重装タイプまで、状況に応じて様々な特性を持つスケルトンを瞬時に使い分ける。彼の指先から放たれる魔力は、常に数体のスケルトンを完璧に維持することを可能にし、クロウの指揮の下、スケルトンたちは高い戦闘力と汎用性を兼ね備えた戦力を絶えずダンジョンに投下し続けた。


ミルズは興味深くそれらを観察し、時折自らもハルバートを振るい、クロウのスケルトンたちを援護する。彼のケンタウロススタイルは、ただの高速移動に留まらない。ハルバートによる攻撃は、そのリーチと重量を活かし、時に広範囲を薙ぎ払い、時に一点に集中された魔力を乗せて敵を粉砕する。魔力操作と組み合わせることで、その威力はさらに増幅され、中層の強敵を一撃で沈めるほどだった。なんだかんだと言い合いながらも、両者は言葉を交わすうちにお互いを認め合い、協力して34階層へと足を進めることになった。共に戦う中で、互いの実力と個性を肌で感じ合ったのだ。


クロウはミルズの戦いぶりに舌を巻いていた。ミルズの多彩なハルバート捌きと魔力操作、そして一点に集中された圧倒的なパワーは驚くべきものだったが、それ以上にクロウを驚かせたのは、ミルズの異常なまでの継戦能力、つまりそのタフさだった。数時間ぶっ続けで魔物と戦い続けても、疲労の色一つ見せない体力と、その間、精緻な魔力操作を維持し続ける精神力。それらは、どれも信じられないレベルだった。クロウは「さすがAランク冒険者だな」と感嘆の声を漏らした。特に、クロウが召喚する黄金のスケルトンに匹敵するほどの力を、ミルズが消耗することなく維持し続けたことに、クロウは深い感銘を受けていた。


この出会いをきっかけに、ミルズ、クロウ、そしてダンジョンを進む中で偶然合流したゾラの3人は、一時的にパーティを組んでダンジョンの中層、40階層を目指すことになった。20層から50階層までを中層と呼ばれている、彼らはその後半に差し掛かるエリアへと挑むことになる。3人それぞれが異なる分野の魔法使いであり、その組み合わせは類を見ないものだった。


ミルズは、その日その時々で最適な形態へと変化しながら先陣を切り、その並外れた機動力で危険を察知する。時に四肢の獣型で素早く障害物を乗り越え、時に二足歩行のヒューマノイド型で狭い通路での戦闘に対応するなど、彼は変幻自在にその姿を変えることで、あらゆる状況に対応した。彼の俊敏な動きと、ハルバートを伴う一撃は、中層の硬質な魔物をも容易に打ち砕いた。クロウは黄金のスケルトンをはじめとする様々なタイプのスケルトンを巧みに召喚し、前衛を厚くしたり、敵の側面を突いたり、あるいは罠の解除に使ったりと、戦術の幅を広げた。彼のスケルトン軍団は、まるで生きている軍隊のように連携し、敵を追い詰めた。そして、仮面を被ったゾラは、一歩引いた位置から冷静に戦況を分析し、最適なタイミングで強力な魔法を放つ。時に空間そのものを歪めるかのような魔法で敵の動きを封じ、時に高密度の魔力弾で一点を集中攻撃し、その全てが「……計算通り」に進むよう緻密に制御されていた。彼の魔法は、戦場の流れそのものをコントロールするかのようだった。


彼らの連携は、事前の打ち合わせがほとんどないにも関わらず、驚くほど円滑に進んだ。ミルズの圧倒的な突破力と多様な対応力、クロウの絶え間ない戦力投下と多彩な戦術、ゾラの精密で強力な魔法。それぞれが互いの強みを理解し、無言のうちに役割を補完し合うことで、彼らは中層の階層をまるで低層であるかのようにスムーズに進んでいった。遭遇する大型の魔物や、複数の敵に囲まれるような状況でも、彼らは一切の動揺を見せず、それぞれの持ち場で最高のパフォーマンスを発揮した。彼らが通った道筋には、まるで嵐が過ぎ去ったかのような静寂だけが残された。


32階層から始まった彼らの進軍は、一切の減速を見せない。ミルズが変幻自在に道を拓き、クロウのスケルトンたちが足元を固め、ゾラの魔法が戦線をコントロールする。まるで一つの生き物のように連動した彼らの動きは、行く手を阻む全てを圧倒し、まるで試験を受けているかのような他の冒険者たちを横目に、ずんずんと深部へと突き進んでいった。彼らは、ダンジョンの奥深くに眠る未知の領域へと、確かな足跡を刻んでいった。


32階層から、なんだかんだと40階層まで到達し、目的を達成したところで、彼らは一時帰還することに決めた。この深さまで到達できたのは、まさに彼ら3人の相乗効果がもたらした結果だった。ミルズはクロウとゾラに別れを告げると、ケンタウロスの姿のまま走りだし、あっという間にその姿は消え、クロウとゾラの目の前で、青い閃光となってダンジョンを駆け上がっていった。その速度は、肉眼で追うことすら困難なほどだった。地上ではダンジョンを高速で駆け抜ける「青いケンタウロス」の噂がまことしやかに囁かれているが、その速さゆえに誰もその正体を確認できていない。しかし、クロウとゾラは今、その「青い閃光」の正体がミルズであることを知った。二人は顔を見合わせ、その驚くべき秘密を共有し、口外しないことを暗黙のうちに理解した。互いの実力への敬意が、彼らに沈黙を強いたのだ。


ダンジョンから帰還したクロウは、次に控える魔法大学交流戦の対戦表を確認した。そこに並ぶ名前の中に、見覚えのあるものはなかった。しかし、その準決勝の欄に記された、とある名前が彼の目を引いた。


「準決勝……ミルディアス、か。聞き覚えのねぇ名前だが、1年か、、、いいね」


クロウは、その名に特別意識を向けることなく、対戦表から視線を外した。彼はまだ、その「ミルディアス」が、ダンジョンで共に戦ったあのミルズであるとは知る由もなかった。交流戦当日、彼の目の前に現れるであろう「ミルディアス」の姿に、クロウは驚きを隠せないだろう。この交流戦が、単なる試験以上の、予測不能な展開を迎えることを予感した。

とりあえずいいかな。

いろいろ思うところはあるけれど

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