1章 魔法大学入学 ダンジョン探索訓練 チーム天眼
魔法の運用にはちょっと気を使っていきたいな。
チーム天眼:ダンジョン探索
グレン先生の合図で、各チームが次々にダンジョンの入り口へ吸い込まれていく。ミルディアスたちチーム天眼も、慎重にその薄暗い通路へ足を踏み入れた。
ダンジョンの空気はひんやりしてて、湿った土と石の匂いが鼻をくすぐる。
「さて、まずは1階層だ」ミルディアスは周囲を軽く見回し、ルナとディアナに視線を向けた。「ここはグレン先生が言った通り、危険は特になさそうだ。通路も単純だから、ダンジョンの雰囲気に慣れるのが目的だよ」
ミルディアスは歩きながら、常に周囲の気配に集中してる。彼の全身は、まるで研ぎ澄まされた五感の塊だ。耳は遠くの微かな音を拾い、鼻は空気のわずかな変化を嗅ぎ分ける。肌で感じる魔力の流れや空気の振動から、ダンジョン全体の構造や、何か異常がないかを探ってるんだ。それは、数々のダンジョンを踏破してきたAランク冒険者としての、極限まで研ぎ澄まされた感覚だった。このダンジョンは初めてでも、その経験が彼を支えている。
「ルナ、ディアナ。大事な話がある」ミルディアスは足を止め、二人に向き合った。
「実は俺、Aランク冒険者として活動してるんだ。だから、ダンジョン探索の経験は豊富にある」
ルナとディアナは驚いたように目を見開いた。
「えっ、Aランク冒険者……!?」ルナが思わず声を上げる。
「えー!じゃあ、この課題、楽勝じゃないですか!私たち、めっちゃラッキー!」ルナの声は、驚きと同時に喜びと期待に満ちていた。ディアナも無言で、しかし、いつもより少し口元が緩んでいるのがわかる。
ミルディアスは二人の反応に小さく頷き、言葉を続けた。
「せっかくだから、今回の訓練で、君たち二人に色々なことを経験してほしいんだ。だから、基本的な魔物への対処は、君たち二人でやってみるのはどうかな?」
彼の言葉には、信頼と期待が込められていた。
「もちろん、俺は隣でしっかり見てるから。困ったことがあったら、遠慮なく声をかけてくれ。アドバイスもするし、もしもの時は、俺が前に出るから安心して」
ルナはミルディアスの言葉に深く頷いた。「うん、ミルディアス!精一杯、頑張るね!」
ディアナも小さくではあるが、はっきりと「……はい」と答えた。
ミルディアスの言葉に、二人の表情は緊張しつつも、どこか安心したように見えた。自分たちの成長を願うミルディアスの真摯な姿勢が伝わったんだろう。
1階層は、まさにグレン先生の言った通りだった。複雑な罠もなく、魔物の気配もない。ただただ、単調な石造りの通路が続いていた。最初は戸惑っていたルナとディアナも、ミルディアスの冷静なリードと、ダンジョンの安全な雰囲気に、徐々に慣れていく。
「わあ、本当に魔物いないんだね!」ルナが少しはしゃいだ声で言った。
「うん、静かだね」ディアナも普段より声が明るい。
互いに声を掛け合い、足元や周囲を確認しながら進むようになった。
2階層:初めての遭遇と実践
1階層の出口を見つけ、2階層への階段を下りた途端、空気が一変した。ひやりとした湿り気に加え、生臭い匂いが混じる。そして、遠くから微かなうめき声が聞こえてきた。
ミルディアスは静かに構え、ルナとディアナに視線で合図を送る。「ここからだ」
彼の指示で、二人は杖を構え、周囲を警戒する。
通路の曲がり角から、一体のゴブリンが姿を現した。緑色の肌に、鋭い牙と爪。手に粗末な棍棒を握り、威嚇するように唸り声を上げている。
「よく見ててくれ」ミルディアスは低く言い、ゴブリンに向かって一歩踏み出した。ゴブリンが棍棒を振り上げ、彼に襲いかかろうとした瞬間、ミルディアスは流れるような動きで懐に飛び込み、その喉元に手刀を一閃した。ゴブリンは声も上げられず、その場に崩れ落ちた。
「このように、一撃で無力化できる。魔法を使う時も、無駄な魔力を使わず、確実に仕留めることを意識するといい」
ミルディアスの手際の良い討伐に、ルナとディアナは息をのんだ。彼女らは魔物との戦闘経験はあったものの、薄暗いダンジョンという閉鎖的な空間での対峙は、野外でのそれとは全く異なる独特の緊張感があった。 しかし、ミルディアスの一連の動きは、まるで熟練の職人のようだった。
「すごい……!」ルナが思わずつぶやいた。
ディアナも小さく頷いている。
さらに奥へ進むと、再び魔物の気配。今度は三体だ。
「ディアナ、ルナ。それぞれの方法で対処してみてくれ」ミルディアスは二人に促す。
現れたのは、先ほどと同じゴブリン、それに続くスケルトン、そして床を這うように滑ってくるスライムだった。
ディアナは深呼吸し、魔力を集中させた。
「エアカッター!」
彼女の手のひらから、圧縮された空気の刃が放たれる。その刃は正確にゴブリンの首元を捉え、ゴブリンは「ぐえっ」という短い悲鳴を上げて絶命した。
「よし!」ディアナが小さくガッツポーズをする。
続いてルナが杖を構える。
「スリープクラウド!」
彼女の杖の先から、淡い緑色の霧がスケルトンを包み込んだ。骨だけの体はそのまま立っているが、その動きは止まり、まるで彫像のようになった。
「ディアナ、そのまま!」ルナが声をかける。無抵抗になったスケルトンに、ルナは落ち着いて近寄り、小さなナイフでとどめを刺した。
残るはスライムだ。粘液質な体を震わせながら、ゆっくりと近づいてくる。
ディアナが再び詠唱を始め、魔力が手のひらに集まっていく。火の玉の輪郭が見え始めた瞬間、ミルディアスが静かに声をかけた。
「ディアナ、待て」
ディアナは詠唱を中断し、戸惑ったようにミルディアスを見た。
「スライムは物理攻撃が効きにくい。それは正しい知識だ。だが、この場所でその魔法を使うのは得策じゃない」ミルディアスは落ち着いた口調で説明する。「ダンジョンは閉鎖空間だ。不必要に強力な魔法を使うと、予期せぬ二次災害を招く可能性がある。それに、魔力の消費も大きい。スライムには物理が効きづらいが、コアを狙えば効率よく倒せるぞ」
ルナが頷いた。「そうか、ダンジョンの中だから、外で使うみたいに派手な魔法は気をつけないと……」
ディアナはミルディアスの言葉を真剣に聞き、杖を握り直した。そして、集中した面持ちで短く詠唱を紡ぐ。
「アースジャベリン!」
彼女の杖の先から、鋭い土の槍が一直線に放たれた。それは正確にスライムの体を貫き、その奥にあるコアを砕いた。スライムは動きを止め、ベチャリと音を立ててその場に溶けて消えた。
「よし、よくやった」ミルディアスが満足げに頷く。
「やったね!」ルナが笑顔を見せる。
ディアナも少し口元が緩んでいた。
最初は明らかに緊張してた二人だったけど、魔物を処理し終えた頃には、顔からこわばりが消え、平静を保てるようになっていた。ダンジョンの雰囲気に、そして魔物との対峙に、彼女らは着実に慣れていく。
3階層:連携の深化と目標到達
2階層を抜け、3階層に足を踏み入れた途端、より強靭な魔物の気配が彼らを包んだ。通路の奥からは、ゴブリンやスケルトンとは異なる、重く鈍い足音が響いてくる。
「無理だと感じたら、迷わず迂回することも考えよう」ミルディアスは二人に促す。
果たして、進んだ先の広間には、数体のオークが蠢いていた。彼らはゴブリンよりも一回り大きく、頑丈な棍棒を携えている。
「ディアナ、ルナ。いけるか?」
二人は視線を交わし、力強く頷いた。
「いける!」
「うん、ミルディアス!」ルナも自信に満ちた声で答えた。
ルナが素早く詠唱し、広範囲にわたる「スリープクラウド」を放つ。オークたちの半分以上が、抵抗することなくその場で眠りこけた。ディアナは、眠っていないオークに向かって連続で「エアカッター」を放ち、的確に急所を狙う。残ったオークが二人に気づき、向かってくる。
その時、ミルディアスが素早く動いた。眠りから覚めてしまったオークの一体がディアナに襲いかかろうとした瞬間、ミルディアスはまるで影のようにその懐に滑り込み、腕の一撃でオークを壁に叩きつけ、昏倒させた。
「さっすがー、ミルディアス!」ルナが感嘆の声を上げる。
ミルディアスが最初に危険なオークを間引き、残りをルナの「スリープクラウド」とディアナの「エアカッター」で確実に仕留める。二人の連携は危なげなく、最初の緊張が嘘のようにスムーズだった。数の多いオーク集団も、ミルディアスの的確な判断とフォロー、そして二人の成長した魔法で次々と突破していく。
「ディアナ、あと一体!」ルナが叫ぶ。
「任せて!」ディアナのエアカッターが最後のオークを仕留めた。
「ふぅ、終わった……!」ルナが額の汗を拭う。
「お疲れ」ミルディアスが軽く肩を叩いた。
彼女らはルートを間違えることもなく(何度か迷いそうになったけど、その都度ミルディアスが「右の壁に、かすかに空気の流れを感じる」「この足音は、この先に通路が続いているようだ」など、決して直接的な答えではなくヒントを与えていた)、正確に正しいルートを進んでいった。
そして、ほどなくして、3階層の奥深くで、一人の人物が立っているのが見えた。
「お前たち、速いな。もう到着したのか」
そこにいたのは、課題の目標地点で待機していたラガン先生だった。
目標地点での合流
ラガン先生は、ミルディアスたちを見つけると、少し驚いたような表情を見せた。彼らがここまで来るのが、予想よりもはるかに早かったのだろう。
その時、通路の奥から別の足音が近づいてくる。制服を着た別の生徒、というよりは、教師陣のサポート役といった様子の男子生徒が息を切らしながら駆け寄ってきた。彼はラガン先生に一枚のレポート用紙を手渡す。
「ラガン先生、先程のチーム天眼の進行状況です。ご報告の通り、スムーズに進んでいます」
レポートを受け取ったラガン先生は、その内容に目を通した。そこにはミルディアスの行動、ルナとディアナの連携、そして特筆すべきはミルディアスがAランク冒険者であることが記されているのだろう。ラガン先生はレポートから顔を上げ、ミルディアスにまっすぐな視線を向けた。
「ふむ……このレポートによると、ミルディアスはAランク冒険者とあるが、本当か?」
ミルディアスは、ラガン先生の問いかけに静かに頷くと、ポケットから冒険者ギルドの証であるAランクのギルド章を取り出し、ラガン先生にちらりと見せた。
「はい、本当です。先生方には共有しても構いませんが、生徒には内緒でお願いします」
彼の言葉に、ラガン先生は深く頷いた。ルナとディアナは、自分たちが知るミルディアスの秘密が、こうして先生方の間で改めて確認されている様子を、静かに見守っていた。
魔法ではメジャーなファイヤーボールはダンジョンじゃ使っちゃいけないんだよ。
広い空間ならOKだけど
魔法は時と場所で適切な魔法をチョイスする必要がある。
なんだっけスレイヤーズってラノベの影響かな。
元素魔法が現実世界への影響を及ぼさないとかいう設定なら使っても平気そうなので、設定次第の部分はあるかもしれません。ただその場合ファイヤーボールがぶつかっても対象は燃えないってなると思う。
この物語では少なくとも、ファイヤーボールを閉所で使ったらヤバいよっと




