1章 魔法大学入学 日常の朝
たまにクラウス達の話を入れてみたいと思うんだよね。
クラウスの日常:邸宅を彩る朝のハーモニー
朝焼けが空を染める頃、執事クラウスはすでに目を覚ましていた。静かに寝室を出ると、彼はまず邸宅の隅々を巡回する。全ての窓がしっかり閉じられているか、暖炉の火は安全に管理されているか、使用人たちの目が行き届かない場所はないか。彼の目は、邸宅の些細な変化も見逃さない。
朝食の準備が始まる前に、クラウスは自身の最も重要な仕事の一つに取りかかる。それは、邸宅の地下に広がるワインセラーのチェックだ。重厚な扉を開け、ひんやりとした空気が肌を包むと、彼は静かにセラーの奥へと足を進める。湿度と温度を厳しく管理された空間で、クラウスは年代物のワインボトルを一本一本丁寧に確認していく。指先で埃を払い、コルクの状態を目で確かめ、ラベルに滲みがないかをじっくりと検分する。その仕草は、まるで我が子を慈しむかのようだ。ボトルが並ぶ棚の奥には、ミルディアス様が幼い頃から少しずつ収集してきた特別な銘柄が静かに眠っている。彼の頭の中には、それぞれのワインの熟成度合いや、ミルディアス様がどのワインをどのような食事で好むか、といった情報が完璧に記憶されている。
「よし、今日も問題ないな」
クラウスは小さく呟くと、満足げに頷いた。このワインセラーの完璧な管理こそが、ミルディアス様の食卓を豊かにし、客人をもてなす際の重要な要素となることを、彼は誰よりも理解している。最高の状態に保たれたワインは、どんな料理も一層引き立て、ミルディアス様の旅の疲れを癒やすひとときを演出する重要な役割を担っていた。この静かで孤独な作業は、クラウスにとって、ミルディアス様への忠誠心と、屋敷への深い愛情を再確認する、かけがえのない時間なのである。
使用人たちとの賑やかな朝
ワインセラーの確認を終えると、クラウスは朝食の準備で賑わう厨房へと足を向けた。
厨房からは香ばしい匂いが漂い、フローラがテキパキと調理を進めていた。焼き立てのパンが湯気を立て、スープの鍋からは食欲をそそる香りが立ち上る。
その向こうの洗い場からは、騒がしい声が聞こえてきた。
「こら、フー! 待ちなさい!」
声の主はエステルだ。彼女はおっとりとした足取りで、びしょ濡れの虎人族の少年、フーを追いかけている。フーは洗面器をひっくり返し、しっぽを振って逃げ回っていた。どうやらお風呂が苦手なフーを、エステルが洗っている最中だったらしい。
クラウスはクスリと笑う。フーはミルディアス様が護衛依頼から連れ帰った虎人族の少年だ。最初こそ屋敷の生活に戸惑っていたが、エステルが根気強く世話をしてくれたおかげで、随分と慣れてきた。
「フーが随分と慣れてきましたね、エステルに任せて正解でした」クラウスはフーを追いかけるエステルに声をかけた。
エステルは、息を切らしつつも穏やかな顔で答える。「はい、最近は私もフーに慣れてきましたから。ですが、お風呂だけはどうしても……」言いながらも、エステルの手は着実にフーを捕まえ、再びタオルで拭き始めた。フーは不満そうにぶつぶつ言っているが、エステルの丁寧な手つきには抵抗しない。
その横で、フローラがスープの味見をしている。クラウスはそっと近づき、匙を受け取った。
「どれどれ、今日の味は……」クラウスが一口含むと、温かい香りが口いっぱいに広がった。「うん、これはミルディアス様の好みの、いい味だ。護衛依頼の疲れも癒やされるだろう」
フローラは満足そうに微笑む。「ありがとうございます、クラウス様。そう言っていただけると、私も嬉しいですわ」
その時、棚の陰から小さな手が伸び、焼きあがったばかりのクッキーを一つ掴み取った。顔を出したのは、元気いっぱいのリーネだ。
「うん、おいしい!」リーネは満面の笑みでクッキーを頬張る。
「リーネ、朝食前ですよ。つまみ食いは駄目でしょう?」フローラが優しくたしなめるが、その声には怒りよりも、微笑ましさが滲んでいた。
リーネは慌てて口元を拭い、しゅんと肩を落とす。「ごめんなさい、フローラ。でも、あまりにもいい匂いがしたから……」
そんな賑やかな厨房の片隅で、寡黙な庭師兼雑用係のアルフが、朝食用の水を大きな水差しに注いでいた。いつもは無表情な彼だが、フーとエステルの追いかけっこ、フローラとリーネのやり取りを横目で見て、小さく、しかし温かい笑みがこぼれた。その笑顔はすぐに消えたが、彼の心が和んでいるのがクラウスには分かった。
クラウスは、そんな朝の光景を眺めながら、思わず笑みがこぼれた。フーとエステルの微笑ましいやり取り、フローラの温かい料理、リーネの純粋な喜び、そしてアルフの不意の笑顔。
「今日もいい一日になりそうだな」
クラウスは窓の外、昇り始めた太陽の光を浴びながら、静かにそう思った。ミルディアス様が護衛依頼から戻り、この屋敷がまた、いつもの温かい空気に包まれていることが、何よりも嬉しかった。
もう少しいろいろさせても良いかなと思ったり、
バトルメイドみたいな事も考えたけど、今のところそういう描写は不要かなー。
それでも家の護衛とか必要だよな。
取り合えず、次から魔法大学の後期はじめよう




