1章 魔法大学入学 護衛依頼4 コーナー公爵領3
ルミナ王女との晩餐
ご指示ありがとうございます。承知いたしました。
ミルディアスが退席した後に、ルミナ王女がディートリヒを厳しく非難するように修正します。これにより、王女のミルディアスへの配慮と、ディートリヒへの本心がより明確になるでしょう。
コナー公爵家への訪問
マザーガモスの討伐を終え、ギルドでの報告から一夜が明けた。ギルドマスターからの破格の報酬を受け取ったミルディアスは、残りの時間をリーバー都市で穏やかに過ごした。フーも完全に元気を取り戻し、時折、ミルディアスの影から顔を覗かせ、好奇心いっぱいの目で周囲を見回すようになっていた。
翌日、ミルディアスは公爵家への訪問に備え、身なりを整えることにした。普段の冒険者としての軽装では、公爵家の晩餐には不釣り合いだろう。しかし、公爵からの招待が急であったため、新品の衣装を仕立てる時間的な余裕はなかった。彼は街の仕立屋を訪れ、店に並ぶ服の中から最も上質なものを選び出した。控えめながらも格式を感じさせる濃紺の色合いに、銀糸の刺繍が施されたローブと、同色の内着、そして深緑のズボン。仕立屋の老人は、ミルディアスの洗練された素材選びに感嘆しつつ、彼の体型に合わせて迅速に調整を施した。
「さすが、お客様。これほどの上質を見抜かれるとは、お目が高い。当店の最高級品でございます。控えめながらも、お客様にご着用になれば、その品の良さが際立つことでしょう。」
そうして仕立て直された服は、新品特有のきつさや硬さはなく、着慣れたかのような自然な着心地に仕上がっていた。下品にならない程度に、確かな財力を匂わせる、まさにミルディアスの求める品だった。
夕刻、身なりを整えたミルディアスは、コナー公爵邸の重厚な門の前に立っていた。その門は、リーバー都市の他の建物とは一線を画す威厳を放っている。門番に招待状を提示すると、恭しく門が開かれ、石畳の広い道を進んだ先に、堂々たる公爵邸の館が見えてきた。
館の中へ案内されると、使用人の手によって、ルミナ王女が待つ客間へと通された。ルミナ王女は、ミルディアスがギルドで会った時よりもさらに艶やかなドレスを身につけ、緊張した面持ちで彼を待っていた。
「ミルディアス様、ようこそお越しくださいました」
ルミナ王女は立ち上がり、ミルディアスに深々と頭を下げた。
「ルミナ王女殿下、お招きいただき光栄に存じます」
ミルディアスもまた、貴族としての礼儀をもって応じる。
「この度は、私の無礼な行動により、大変なご迷惑をおかけしたばかりか、命まで救っていただき……心よりお礼申し上げます。わたくし、本当にどうすればよいかと……」
ルミナ王女は言葉を選びながら、純粋な感謝の気持ちを伝える。その瞳には、彼への敬意と、助けられたことへの恩義がはっきりと見て取れた。
「いえ、ご無事で何よりです。私にとっては、ギルドからの依頼をこなしたまで。殿下にお気になさる必要はありません」
ミルディアスはいつもの冷静な口調で答えるが、ルミナ王女の純粋な感謝の言葉は、彼の心に穏やかな波紋を広げた。
「お礼が遅くなってしまい、誠に申し訳ございません。」
ルミナ王女が困ったように言うのを聞いて、彼女は懐から小さな宝石箱を取り出した。その中には、深く澄んだ青い輝きを放つ宝石のペンダントが一つ収められている。 それは、見る者を惹きつけるような、吸い込まれる美しさを持っていた。
「ミルディアス様。これは、わたくしのささやかな感謝のしるしです。どうか、お受け取りください」
ルミナ王女が差し出す青い宝石のペンダントに、ミルディアスは一瞬、目を細めた。その美しい輝きと、ルミナ王女の真摯な眼差しに、彼は静かに手を伸ばした。
「殿下からの御心遣い、謹んでお受けいたします」
ミルディアスはペンダントを受け取ると、その輝きを確かめるように静かに見つめた。その素直な喜びように、普段は冷静沈着なミルディアスの胸にも、僅かながら温かいものが去来した。不意に見せた彼女の飾らない表情に、ミルディアスは思わず小さくドキリとした。
その時、客間の扉がノックされ、公爵家の使用人が晩餐の準備ができたことを告げた。ルミナ王女とミルディアスは、コナー公爵家の広々とした食堂へと案内された。そこには、コナー公爵夫妻と、もう一人の若い男性が席についていた。その男性は、公爵家の次男、ディートリヒだった。彼はルミナ王女に言い寄っていると噂される人物で、その容姿は整っているものの、どこか傲慢な雰囲気を漂わせていた。
席に着くと、コナー公爵がミルディアスに温厚な笑みを向けて挨拶した。
「ミルディアス殿、この度は遠路はるばるお越しいただき、誠に感謝いたします。ルミナ王女の命を救ってくださったこと、我がコナー家としても深く御礼申し上げます」
「公爵様、御丁寧に恐縮に存じます。ミルディアス・ブルークアルと申します。ルミナ王女がご無事で、私も安堵いたしました」
ミルディアスは公爵に向けて、魔法大学時代に名乗っていた姓「ブルークアル」を加えて名乗った。 東方の侯爵家であるブルークアル家は、このリーバー公爵領からは遠く離れているが、その名を聞けば公爵であれば聞き覚えがあるかもしれない。
晩餐が和やかに進む中、ディートリヒが突然、不機嫌そうな顔でミルディアスに水を向けた。
「しかし、ミルディアス殿。ルミナ王女殿下を助けたのは、『ミルズ』という冒険者だと聞きましたが? 大方、貴殿は偽物でございますな。」
ディートリヒの言葉には、明らかにミルディアスの功績を否定し、彼を偽物と決めつけることで、王女の前で彼の立場を貶めようとする意図が込められていた。ルミナ王女の顔色が一瞬で変わる。
ミルディアスは、ディートリヒの悪意に満ちた言葉にも、表情一つ変えなかった。しかし、その瞳の奥には静かな怒りの炎が宿っていた。彼はゆっくりとグラスをテーブルに置き、背筋を伸ばしてディートリヒに真っ直ぐと視線を向けた。
「ディートリヒ殿下、私はミルディアス・ブルークアル。ブルークアル侯爵家の次男にございます。お見知りおきを。また、冒険者として活動する際には、確かに『ミルズ』の名を使っております。」
ミルディアスの静かでしかし響き渡る声、そしてその身から放たれる威圧感に、ディートリヒは言葉に詰まり、視線を泳がせた。その顔は蒼白になり、普段の傲慢な態度が消え失せていた。 ブルークアル侯爵家という名に、コナー公爵夫妻も僅かに驚きの表情を見せた。
ミルディアスは一礼すると、踵を返し、出口へと向かう。
「あっ、ミルディアス様!?」
ルミナ王女は突然のミルディアスの行動に驚き、慌てて彼を呼び止めようとするが、彼の足は止まらない。
ディートリヒは、ミルディアスが反論せずに去ろうとすることに、ますます気分を害した。
「なんだ、貴様!私が話している最中に、無礼ではないか!まさか、反論する言葉もないほどに、図星だったか?」
ディートリヒの言葉は、しかし、ミルディアスには届いていないかのように、彼は淡々と歩みを進めた。
コナー公爵は、ミルディアスが去っていく背中を見つめながら、静かに目を細めていた。
(ブルークアル……東の侯爵家、あの次男が確か……まさか、あれほどの魔力を持つ者が、このリーバーに。そして、あのディートリヒの言葉に一切動じず、場の空気を読んで静かに去るとは……器が違う)
公爵は、ディートリヒの愚かな振る舞いと、ミルディアスの落ち着いた対応を目の当たりにし、ミルディアス・ブルークアルという青年に確かな好感を抱いた。
晩餐が終わり、ミルディアスが公爵邸を後にすると、ルミナ王女はディートリヒに強い視線を向けた。
「ディートリヒ!あなたは本当に愚かですわね! ミルディアス様は、わたくしを命がけで助けてくださった、真の勇者ですのに!あなたの捻くれた根性と、その醜い嫉妬心には、心底うんざりしますわ!わたくしはあなたのそういうところが大嫌いなのです!」
ルミナ王女は怒りに顔を紅潮させ、ディートリヒを激しく非難した。ディートリヒはルミナ王女からの予想外の強い拒絶に、完全に打ちのめされた顔をした。コナー公爵夫妻も、ディートリヒの無礼な発言と、王女の苛烈な言葉に顔をしかめた。
「ルミナ王女殿下。ミルディアス殿は、まさしく真の騎士のようですな。ご自身を貶められても、殿下を慮り、冷静に場を収められた。殿下のおっしゃる通り、彼は良い青年です」
コナー公爵は、ルミナ王女を慰めるようにそう告げ、その日の晩餐は、嵐のように幕を閉じた。
ルミナ王女はため息をついた。
「もう少し、彼と一緒に過ごしたかったわ……本当に残念ですわ。」
こういうの難しいな。
少し距離が縮まってよかったねと思うけどさ。
王女はミルズのストーカーやって、ちょっと引かれる予定だったんだけど
うまくいかないもんだな。




