1章 魔法大学入学 ゾラの依頼2
黒いワイバーン登場して倒します。
書きたかったのはゾラさんとのやり取りだから、ワイバーンはおまけ。
19層の探索:後半
翌朝、15層のギルド出張所を後にしたミルディアスとゾラは、さらに深層へと進んでいった。ダンジョン内の空気はより一層重く、冷たく、不気味な静寂が漂っている。彼らは慎重に歩を進め、ついに目的の19層に到達した。
特殊個体の捜索
19層の広大な空間に足を踏み入れた二人は、さっそく目撃情報のあった場所の捜索を開始した。ミルディアスは、五感強化を最大限に活用し、かすかな音や匂い、空気の微細な変化までも捉えようと集中する。同時に、周囲に魔力網を張り巡らせ、広範囲の魔力反応を探った。しばらくすると、巨大なワイバーンの魔力反応を捉える。
「あそこにワイバーンがいるようですね」
ミルディアスが指差す先には、薄暗がりに紛れて通常のワイバーンが佇んでいた。しかし、ゾラが目撃したという「黒い特殊個体」とは異なる、見慣れた色合いだ。
「なるほど、普通のワイバーンか。ここには割とワイバーンがいるようだね。確かに、特殊個体を識別できる情報がないと、聴覚や嗅覚だけで見つけるのは難しいな。ちょうど飛んでいてくれれば見つけやすいんだけど、そう都合よくはいかないか」
ゾラは腕を組み、思案するように呟いた。特殊個体の正確な情報がない現状では、闇雲に捜索するだけでは効率が悪い。
ゾラは仮面の下で口元を動かすことなく、その身に宿した契約精霊たちを放った。小さな光の粒が空間に溶け込むように消え、それぞれが広範囲に散らばっていく。彼の精霊たちが、目当ての「黒い特殊個体」を見つけ出すための索敵を開始したのだ。
1時間ほどが経過した頃、放たれた精霊の一体、チッタが素早くゾラの元へと戻ってきた。彼女が持ち帰ったのは、まさに求めていた黒いワイバーンの情報だった。どうやら、比較的近い場所にいるらしい。
黒いワイバーンの討伐
精霊チッタの報告を受け、その日は無理に追わず、二人はダンジョン内で野営することにした。万全の状態で臨むためだ。翌日、夜が明けきらぬ薄明かりの中、ミルディアスとゾラは、チッタが示した場所へと向かった。
目的の地点に到達すると、そこには確かに黒い巨体が横たわっていた。通常のワイバーンとは一線を画す、禍々しいほどの漆黒の鱗を持つ特殊個体だ。その全身を覆う漆黒の鱗は光を吸い込み、周囲の闇すら濃く見せる。鋭い爪と牙、そして巨大な翼の膜に走る禍々しい紋様が、その存在がただの魔物ではないことを雄弁に物語っていた。
「よし、仕留めるぞ、ミルズ!」
ゾラの掛け声と共に、彼の身から膨大な魔力が溢れ出し、無詠唱で複数の魔法が同時発動する。空間をねじ曲げるような風の刃がワイバーンの周囲を駆け巡り、地面を抉る土の槍が突き出し、眩いばかりの光の鎖がその巨体に絡みつこうと伸びる。放たれた魔法の奔流が黒いワイバーンに炸裂し、その堅牢な鱗に火花を散らした。ワイバーンは不快そうに咆哮を上げ、体勢を崩した一瞬の隙を突き、ゾラは手斧を構えて猛然と突進した。
ワイバーンが怒りに満ちた雄叫びを上げ、その巨体を揺らして反撃の体勢に入ろうとしたその瞬間、ミルディアスの魔力操作が炸裂する。ダンジョンの床を力強く蹴りつけ、ミルディアスは空中へと跳躍した。彼の背後と両脇に、濃密な青い魔力が脈動し、まるで巨人の腕のように強固な四本の魔力腕が瞬時に実体化する。それらの魔力腕は、ワイバーンの巨大な片翼を掴み、その翼膜と骨格に容赦なく食い込んだ。
「グォォォオオォォォッ!!」
ワイバーンは苦痛に顔を歪め、激しく体を捩るが、ミルディアスの魔力腕の握力は桁外れだ。ギシギシと嫌な音が響き渡り、筋繊維が断ち切られ、分厚い翼膜が裂ける。バリバリと骨が砕ける不快な音がダンジョンに木霊し、ワイバーンはもはや飛ぶことが叶わず、その巨体が轟音と共にダンジョンの床へと叩きつけられた。巻き上げられた土煙が視界を遮るも、ワイバーンの苦悶の咆哮がその存在を明確に示した。
飛行能力を制限されたワイバーンは、もはや空の王者ではなく、地に縛り付けられた巨大な肉塊と化した。その巨体が地面で藻掻き、周囲の岩を砕くが、ゾラの動きはそれよりも速い。ゾラは土煙を切り裂き、閃光のようにワイバーンの側面に回り込んだ。彼の手に握られた手斧が、残されたもう片方の翼へと振り下ろされる。黒い鱗が火花を散らし、分厚い筋肉と骨を断ち切る感触がゾラの腕に伝わった。ワイバーンの翼が根元から切り裂かれ、その巨体は完全に無力化された。
それでもなお、生きようと首をもたげ、血走った眼でゾラを睨みつけるワイバーンに対し、ミルディアスの魔力腕が再び猛然と伸びる。二本の魔力腕がワイバーンの太い首を鷲掴みにし、地面に押し付け、その強靭な動きを完全に封じた。ワイバーンは断末魔の叫びを上げ、最後の力を振り絞って抵抗を試みるが、ミルディアスの魔力腕は微動だにしない。
そのわずかな隙を、ゾラは決して見逃さなかった。彼は一歩踏み込み、腰を落とし、手斧を流れるような切り返しで振り抜く。ゾラが放つ魔力が斧の刃に集中し、黒い鱗が敷き詰められたワイバーンの首を、まるでバターでも切るかのように易々と一閃した。
ごうりゅう、と空気が軋むような奇妙な音と共に、ワイバーンの首は胴体から切り離され、漆黒の血が激しく噴き出した。数秒間痙攣した巨体は、やがて完全に動きを止め、ダンジョンに静寂が戻った。
ゾラは黒いワイバーンの巨大な亡骸を見下ろし、満足げに頷いた。
「よし、任務完了だな」
彼は手際よく空間魔法を発動させ、ワイバーンの巨体を丸ごと自身の空間に格納した。これにより、ギルドへの持ち帰りも容易となる。
「では、ギルドに戻って報告して、今回の依頼は終了ですね」
ミルディアスもまた、無事に特殊個体を討伐できたことに安堵し、ゾラの言葉に頷いた。二人の規格外の冒険者の共闘は、完璧な形で完遂されたのだった。
おまけ完了、次は何書こうかな。
ダンジョンは深層まで行っていないし、他の依頼も粉サイトね。
学校始まるまでにギルドに貢献しとかないといけないから、次も冒険者活動かな。




