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1章 魔法大学入学 ゾラの依頼

ゾラさん登場です。

ゾラの依頼

数日後、ミルディアスの元に、ギルドから一本の依頼が届いた。差差出人は、同じくAランクに昇格したゾラだった。


ゾラはギルドマスターの執務室でミルディアスに語りかけた。ギルドの最高責任者が執務を行う、通常は関係者以外立ち入り禁止の場所。そこにゾラが呼ばれ、さらにミルディアスが呼び出されたこと自体が、今回の依頼の重要性を示していた。


「やあ、ミルズ!急に呼び出して悪いな。他でもない君に頼みたい、いや、君にしか頼めない厄介な仕事があるんだ。19層付近で黒い特殊個体が確認されたらしい」


ゾラの声は、普段よりもわずかに低い響きを持ち、彼の纏う仮面の内側から、確かな緊張感が伝わってきた。あの時の脅威を、ミルディアスもまた肌で感じていたからだ。


「そこで俺が討伐に名乗りを上げたんだけど、相手が相手なだけに取りこぼす心配があってね。もしそいつを取り逃がしたら、近くにいる他の冒険者に被害が出る、だから確実に仕留めたいんだ。」


「というわけで君に協力をお願いしたいんだよ。15層で見せてもらった実力と、あのジャガーノートでの実績から、君と俺なら確実に仕留められるって踏んだんだ」


「先に行っておくが、バアルは深層に遠征にいっていて連絡はつかないからな。今うちのギルドのトップはお前たちだ」ギルドマスタのジェイクが口を挟む。


「ゾラさんとご一緒できるなら、これほど心強いことはありません。この依頼お任せください」

ミルディアスは簡単にOKを出した。ゾラのような実力者との共闘は、自身の新たな能力を試す絶好の機会でもあった。


19層の探索

ミルディアスとゾラは、深いダンジョンへと足を踏み入れた。目指すは19層。道中、彼らは現れる魔物を次々と狩っていく。ミルディアスは魔物を討伐した後、マジックバッグの容量を考慮し、必要な部位だけを選んで手早く剥ぎ取り、収納していった。今回の探索で、ミルディアスは新たな魔力操作の感覚を確かめようとしていた。


ミルディアスは魔力の糸を足元に展開し、高速で移動する。ダンジョンの岩肌や空中へと細く青い魔力の糸を無数に放ち、それらをまるで足場のように踏み締めながら、通常の冒険者では考えられない速度と軌道で駆け抜ける。その動きはまさに常識外れで、ゾラさんの洗練された身体強化魔法を軽く凌駕する。


ゾラは、ミルディアスが魔力の糸を足元に展開し、高速で移動する様子を、興味深げに眺めていた。「…君のその移動法、独特で面白いね」


「ありがとうございます。今回の異変で、少しばかり新しい感覚を掴みまして」

ミルディアスは控えめに答えたが、その内心では、自身の魔力操作能力が着実に進化している、魔力操作にさらなる可能性を感じていた。


「…それにしても、ゾラさんの魔術は研ぎ澄まされていますね。それに、すべて無詠唱……本当に驚嘆するばかりです!」


ミルディアスは、ゾラの魔術の洗練さに感嘆して口を開いた。彼の強化された魔力視は、ゾラさんの魔術の深淵を垣間見せていた。

ゾラはふっと仮面の下で笑ったような気配を見せた。


「ん、ああ、俺の魔術のことか?ま、これでもそこそこ突き詰めたからね。無詠唱なんてのは、まあ基本みたいなもんだよ」


「基本、ですか?ミルディアスが見る限り、ゾラさんの周りには常に複数の魔力流が淀みなく循環しています。光の魔法が索敵のために展開され、風の魔法が身体強化と移動補助のためにゾラさんを包み込み、微細な土の魔法が足元の地形を補強している。それらが、まるで一体の術であるかのように、全く干渉せずに、かつ最小限の魔力で運用されている。以前見た、あの複数の魔法が同時に発動している様子は、常にこうだったのですね。訓練のためと言っていましたが、もはや呼吸同然に常時複数の魔法を運用している……」


ミルディアスの言葉に、ゾラはわずかに驚いたように「ほお」と声を漏らした。

「そこまで見えてるのか。さすが、俺が見込んだだけあるね。うん、その通り。複数の魔法を同時に発動するってのは、高度な集中力と演算能力が必要なんだけど、訓練に訓練を重ねて魔力を効率的に、寸分の無駄もなく運用できるようになれば、魔術そのものが自身の一部になったようになる。余計な動作も、余計な魔力も一切なくなる」


ゾラは得意げにそう語った。ミルディアスは、ゾラさんの洗練された魔術の運用から、自身の魔力操作の道筋に新たなヒントを得た気がした。ミルディアスは自身の無尽蔵な魔力を、もっと効率的に、もっと洗練された形で操れるようになりたいと、強く願った。


ゾラは、ダンジョンを探索する間も絶えず魔法を発動し続けていた。それはまるで、彼の日常の一部であるかのように。彼の目的は、常に魔法の可能性を追求することにあるのだろう。ダンジョン探索も、そのための魔法の探求の一環でしかない。その一方で、メイン装備として両手に手斧を携えているという、魔術師らしからぬ戦闘スタイルは、ミルディアスにとっては些か奇妙にも映ったが、ゾラの魔法への並々ならぬ熱意を思えば、それも彼の「探求」の一端なのだろうと納得できた。


「手斧が気になるか?理由は二つある、一つは魔術師は接近戦を強いられる、特にソロは。手斧使って高速移動しながら戦闘しているんだが、ぱっとみ魔術師に見えないだろ?」


「確かに、初見だとバーサーカーかバーバリアンにしか見えません。魔力の残滓を除けば」


「魔力の残滓はミルズだから見えるんだからノーカンな」


「それで二つ目の理由は?」


「趣味だ、ザクっと刺さる感触がなんとも、、、」

聞かなかったことにしようと、ミルディアスは思った。そうこうしている間も魔物たちを屠りつづけ階層を進んでいく


道中、魔物の気配が薄れる休憩地点で、ゾラはふと立ち止まり、ミルディアスへと向き直った。その仮面の奥から、探求心に満ちた視線が注がれる。


「なぁ、ミルズ」

唐突に話しかけられ、ミルディアスはゾラへと視線を向けた。


「CランクからAランクへの飛び級は、俺もギルドから話は聞いてたけどさ、実際に隣で見てみたら、その理由がよく分かるな。いや、分かるどころじゃない、マジで理解の範疇を超えてる」


ゾラは、普段の飄々とした口調を崩さずに、しかしどこか興奮したように語り始めた。

「君の身体から溢れ出す魔力、あれは尋常じゃないね。まるで尽きることのない泉みたいに、途方もない量を常に放出してる。俺が見た冒険者の中で、あれほど魔力を垂れ流してる奴は他にいない。効率で言えば最悪だ。さっきの移動だってそう。魔力の糸を足場にすれば高速で動けるのはわかる。だけど、あれは魔力効率で言えば、俺の風魔法を使った加速の方が遥かに魔力消費量は少ないんだよな」

ゾラは、腕を組みながら続ける。


「攻撃にしても、魔力の糸で構成した腕や武器を使うより、攻撃魔法を直接使った方が効果的な場面もあるはずなんだけど、君はなんでかそうしない。はっきり言って、君の魔力の使い方には無駄が多すぎる」

ゾラは遠慮なく、ミルディアスの魔力運用を酷評した。しかし、彼の口調は批判ではなく、純粋な探求の光を宿している。


「だけど、恐ろしいのはそこなんだよ。あれだけ無駄に魔力を消費しているのに、全く尽きる気配がない。まるで無限に湧き出すかのような魔力量……マジかよってレベルだ。俺の知る限り、いかなる魔術師も魔力量には限界がある。なのに君は、その常識を打ち破ってる。あれが、今回の『ジャガーノート』を生き延びた理由の一つなんだろうな」

ゾラの言葉に、ミルディアスは何も言い返すことができなかった。自身の魔力が尽きることを知らないという感覚はあったが、それを客観的に「無駄が多い」「無限」とまで言われたのは初めてだった。

ゾラはさらに続けた。


「そして、その膨大な魔力を使って君が行う『魔力操作』の多様性にも、正直驚かされた。魔力で網を形成して魔物を絡め取り、そのまま地面に叩きつける。あるいは、細い糸を無数に展開して索敵し、触手のように伸ばして攻撃する。あと、以前ギルドの報告で聞いた**『魔力の卵』……魔力を凝縮させたあの不可解な現象。まさか魔力だけでこれほど多様な芸当をこなすとはね。それは魔法の詠唱や術式を組むことなく、純粋な『魔力そのもの』を操る、類稀な才能だ。俺自身の空間魔法も特殊な方だけど、君のそれは、まるで魔力という生命体そのものを意のままに操ってるかのようだ。君の魔力操作は、もはや魔法という枠に囚われない、全く新しい領域にあるように見える」

ゾラの語る「魔力操作」の解説は、まさにミルディアス**自身が行っていることそのものだった。ミルディアスは、自身の行動がどれほど常識外れなのかを、ゾラの言葉で改めて突きつけられた気分だった。


「さらに、君の戦闘中の立ち居振る舞いも常軌を逸してる。魔力で形成した4本の腕を自在に操り、それぞれに異なる武器を持たせ、同時に攻撃を行う。それに加えて、魔力の糸で移動や索敵を行い、更に、何かの拍子に青い煙のような魔力まで撒き散らす……君は複数の行動を同時にこなすその姿に、俺はいつも驚きを隠せないよ」

ゾラは、仮面の下で首を傾げたような仕草をした。


「あれは、単なる器用さではない。異様なまでの演算能力と、その複雑な魔力操作を破綻させない精神力、そしてそれら全てを可能にする無尽蔵の魔力……君は一体、何者なんだ?俺には、君の頭が二つあるんじゃないかと思ったくらいだ。もし君が魔法を習得したら、一体どうなってしまうのか、想像するだけでゾクゾクするよ。是非そうなってほしいよ。」

ゾラの口から語られる分析は、ミルディアスの能力を深く掘り下げていた。まるで、自身の体内を覗かれているかのようだ。


「そして、一番俺の興味を引いてるのは、君が時折、意識せずに行っているかのように見える**『魔力放出』**だ。青い煙のように魔力が漏れ出てるかのような現象は、無駄に魔力を垂れ流してるだけのようにも見える。だけどね、俺の勘が囁いてるんだ。あれは何かを期待させる『兆候』じゃないかってね。まるで、新たな進化の扉が、その放出された魔力の先にあるかのように。俺の魔法探求心を掻き立てる、君、面白いな、ミルズ」

ゾラは最後にそう締めくくると、満足げに頷いた。彼の言葉は、ミルディアスにとって自身の能力を客観的に認識する貴重な機会となった。同時に、ゾラの魔法に対する飽くなき探求心と、その底知れない実力を改めて認識した瞬間だった。


夕方には、目的の19層の手前にある15層のギルド出張所に到着した。今夜はここで一泊し、明日改めて19層へ向かうことになっている。これほどの実力者であるゾラとの共闘は、ミルディアスにとって刺激的なものであり、今日は一日を通して得られるものが多く、純粋に楽しい時間だった。

なかなか会話でストーリー進めるのって難しいですね。

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