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1章 魔法大学入学 ジャガーノート5

本格的な戦闘に


ギルドからの緊急依頼を受け、ミルディアスとガルドのパーティーは、再びダンジョンの深部へと足を踏み入れていた。ダンジョンの異変、そして第三王女の捜索。二つの重責が彼らの肩にのしかかる。ミルディアスは先頭を歩き、その魔力網を最大限に広げて、周囲の異変を警戒していた。


中層へと差し掛かる7層で、彼らは異様な気配を察知した。それは、これまで経験したことのないほどの、おびただしい数の魔力の奔流だった。


「ガルド、止まってください」ミルディアスが、静かに、しかし有無を言わさぬ口調で言った。

ガルドは指示に従い、足を止める。「どうした、ミルズ?何かあったか?」

「前方に、魔物の大群。これまでの比ではありません。異常な数です」ミルディアスの声には、わずかな緊張感が滲んでいた。


次の瞬間、ダンジョンの通路の奥から、地鳴りのような咆哮が響き渡った。そして、通路いっぱいに広がる、おびただしい数のゴブリン、オーク、そしてこれまで浅層では見られなかったケルベロスなどの魔物が、濁流のように押し寄せてくるのが見えた。その数、数百体。ダンジョンの壁や天井を埋め尽くすような、途方もない数だった。


「な…なんだこりゃあ!」ガルドが目を見開き、驚愕の声を上げた。

リリアも顔色を変えた。「こんな数の魔物、見たことない!スタンピード…いえ、ダンジョンブレイクの予兆じゃないですか!?」

エリックも青ざめた顔で杖を握りしめる。「ここまで大規模な魔物の発生は、通常の異変ではありえません…」


ミルディアスは、押し寄せる魔物の大群を冷静に見据えていた。彼の脳裏には、ギルド職員の言葉がよぎる。『ダンジョン深層部から、これまで確認されていない大規模な魔力の変動が観測されている』。この異常な魔物の発生は、まさにその魔力変動によるものなのだろう。


「ガルド、リリア、エリック」ミルディアスは振り返り、はっきりとした口調で言った。「貴方方は、ここで引き返してください。そして、直ちにギルドへ報告を」

ガルドはミルディアスの言葉に反論しようとした。「おい、ミルズ!何を言ってる!?こんな大群を相手に、お前一人で…!」

「この異変は、おそらくモンスターの大量発生、あるいは大規模なスタンピードです。この数を私たちが突破することは不可能ではないが、消耗は計り知れない。それよりも、ギルドへこの現状を正確に伝えることが最優先です」

ミルディアスの言葉は理路整然としていた。この情報がギルドに伝われば、より大規模な討伐隊が編成されるはずだ。


リリアは心配そうに問いかけた。「でも、ミルズさんはどうするんですか!?」

エリックも焦ったように言った。「貴方一人では危険すぎます!一緒に戻りましょう!」


ミルディアスは、ゆっくりと魔物の群れへと視線を向けた。彼の瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。

「依頼は二つある。ダンジョンの異変調査と、王女の探索です」

彼はそう告げると、ガルドたちの制止を振り切るように、押し寄せる魔物の群れへと迷いなく飛び込んでいった。


その姿は、あまりにも常軌を逸していた。ミルディアスの魔力が爆発的に膨れ上がり、彼の背後から、漆黒の魔力の腕が四本、まるで蛇のようにうねりながら現れた。自身の腕と合わせて六本の腕を縦横無尽に振り回し、魔物の群れへと突入する。


魔力で形成された腕は、瞬く間に最前線の魔物を薙ぎ払い、貫き、砕いていく。通常の魔術師であれば遠距離から魔法を放つところを、ミルディアスは敢えて肉弾戦のように群れの中へ分け入っていく。その動きは、見る者すべてに鬼神を思わせるほど猛々しく、それでいてどこか冷徹な美しさすらあった。彼の周囲は、魔物の断末魔の叫びと、血飛沫、そして黒い魔力の輝きに包まれていた。まるで、その場に彼一人だけが立つ、嵐の中心のようだった。その圧倒的な光景は、ガルドたちが見ても危なげなく、むしろ圧倒的な力そのものだった。


ガルドは、ミルディアスの背中を食い入るように見つめた。

深呼吸をして、冷静に判断した。「あれなら大丈夫だ。それに…俺たちがここに残っても、足手まといになるだけだ」

リリアはミルディアスが魔物の群れに飛び込んでいく姿を見て、息を呑んでいた。「ミルズさん…無事でいてください!」

エリックは震える手で杖を握りしめながら、ガルドに言った。「ガルドさん、リリアさん、彼の言う通りです。我々が報告に戻らなければ、この異変の全貌がギルドに伝わりません。彼の覚悟を無駄にしないためにも…!」


ガルドはぐっと奥歯を噛みしめ、決断を下した。「…よし、戻るぞ!ミルズの覚悟を無駄にはできねえ。ギルドへ、この状況を一秒でも早く報告するんだ!」

彼はパーティーに指示を出し、押し寄せる魔物の大群の脇をすり抜けるように、来た道を急いで戻り始めた。彼らの背後では、ミルディアスがたった一人で、悍ましい魔物の波を押しとどめるかのように、激しい戦闘を繰り広げていた。彼の孤高の戦いは、ダンジョンの闇の中で、王女の行方を探すための、新たな序章となるのだった。

とりあえず、どんどん魔物を倒します。


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